賃貸契約は最初の一社で決まる?!調査から考えるニーズと空室対策 | 不動産投資を考えるメディア

賃貸契約は最初の一社で決まる?!調査から考えるニーズと空室対策

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賃貸経営で長期的な収益を実現するために、「空室対策」や「更新率を上げること」は、終わりのない課題とも言えるのではないでしょうか。

築年数と共に建物は老朽化し、それに伴って家賃は下がり修繕費も増えていきますから、不動産を所有するオーナーも決して楽ではありません。

そんな空室対策の一つとして「客付け力のある不動産会社を探す」ということがよく語られますが、腕の良い営業マンばかりの不動産会社でもない限り、会社ごとの営業力はそう大きな差はないため、客付け力のある不動産会社を探すのはあまり意味のない事と言えます。

その裏付けとも言える調査データと不動産会社の営業マンをやる気にさせるコツ、一般的に空室対策でよく語られる手法とは少し違った視点での工夫などをこの記事でご紹介します。

賃貸ユーザーが訪れる不動産会社は1社のみ?!

不動産投資を投資として成り立たせるためには、とにかく「入居者」の存在が必要不可欠です。

マンションやアパートを所有するオーナーの多くは、考え得る限りの空室対策を行ったり、客付け力のある不動産会社を探したりと、日々様々な努力と模索を繰り返します。

そんな涙ぐましい努力とは裏腹に、実は賃貸ユーザーが訪れる不動産会社は「1社のみ」という驚きのデータがあります。

賃貸情報サイト「ウチコミ」を運営する株式会社アルティメット総研は「部屋探しと入居後のトラブル対策に関する意識調査」という調査を行い、2019年3月にその結果を公表しました。

同調査の中に「お部屋探しで訪問した不動産会社の店舗数を教えてください」という設問があり、結果は以下のようになっています。

部屋探しで訪れた不動産会社の数
1件 32%
2件 29%
3件 22%
4件以上 10%
0件 7%

■出典:@Press「部屋探しと入居後のトラブル対策に関する意識調査」
https://www.atpress.ne.jp/news/180241

最も多い回答が「1社」です。家電や家具を比較して購入するために量販店をハシゴする人もいる中、比較的大きな費用のかかる賃貸物件探しで1社しか訪れない人が全体の3割以上というのは少々驚きの結果ではないでしょうか。

この結果について同社では、「インターネットの活用により、実際に会社に行かないと内見できないような物件がある時のみ不動産会社に行っている」と分析しています。

確かに、希望に合った物件があるのを知っていてもネット上には掲載せず、来社したお客様優先で紹介する営業担当もいます。

また、オーナー都合により現地待ち合わせを禁じている物件もあることから、上記の分析内容も決して的外れとは言えないでしょう。

しかしながら、先ほどの調査結果だけでは「たまたまじゃないの?」と感じた方もいらっしゃるでしょう。

確かにご紹介したアンケート調査は372人に対して行われた結果ですので、回答数が増えれば結果が変動する可能性は十分あります。

それでは、似たようなアンケートでより規模の大きい調査結果も見てみましょう。

昨年リクルート住まいカンパニーやLIFULL、アットホームなど有名不動産ポータルサイトで組織される「不動産情報サイト事業者連絡協議会」が行った「訪問した不動産会社数は?」というアンケート調査では、以下のような結果が出ています。

物件を契約した人が訪問した不動産会社の数
1件 34.9%
2件 30.2%
3件 19.2%
4件 8.7%
5件 5.2%
6件以上 1.7%

■出典:不動産情報サイト事業者連絡協議会
https://www.rsc-web.jp/pre/img/181025.pdf

調査結果は売買と賃貸で分かれて公表されていますが、上記は賃貸における不動産会社の訪問数です。やはり1件と回答した人が最も多く、3件以上は2割もいないという結果になっています。

アルティメット総研の調査では372人へのアンケートでしたが、こちらの不動産情報サイト事業者連絡協議会では1651人です。

アンケートは回答者数に大きく影響されますが、どちらの結果も賃貸ユーザーが訪れる不動産会社の数は1件が最多で次いで2件訪れる人が多いという事がアンケート結果から見てとれます。

なお、過去の調査結果については以下の記事でもご紹介しています。

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訪問する不動産会社の数の変化

ご紹介したアルティメット総研の調査において、「実際に行かないと内見できない物件がある時のみ不動産会社に行っている」という分析をご紹介しましたが、もう一つ忘れがちなことがあります。

それは「賃貸ユーザーはどの不動産屋に行っても紹介される物件は同じだと知っている」という事実です。

その裏付けとなるデータとして、不動産情報サイト事業者連絡協議会の不動産情報サイト利用者意識アンケートによる「物件を契約した人が訪問した不動産会社の数」の過去15年間の推移をご覧ください。

物件を契約した人が訪問した不動産会社の数の推移
2018年 2.3社
2017年 2.2社
2016年 2.2社
2015年 2.3社
2014年 2.2社
2013年 2.1社
2012年 2.3社
2011年 2.3社
2010年 2.3社
2009年 2.2社
2008年 2.5社
2007年 2.3社
2006年 2.9社
2005年 2.4社
2004年 2.7社

■出典:不動産情報サイト事業者連絡協議会
https://www.rsc-web.jp/pre/img/181025.pdf

インターネットの普及で不動産会社に訪れる人が減っていると思った方もいるかもしれませんが、この15年もの間、賃貸ユーザーが訪問する不動産会社の数はほとんど変わっていません。

つまり、基本的には1社~2社程度の訪問が多いという賃貸ユーザーのスタンスは、昔も今も大差がないのです。

そもそも賃貸に限らず、「物件情報はどの不動産会社に行ってもほぼ同じ」というのは、今や誰もが知っている常識と言っても過言ではありません。

情報化社会となるまではあまり知られていませんでしたが、Webメディアの普及により、この事実は広く知られるようになりました。

特定の不動産会社でないと見つからない物件はそう多くないため、インターネットで物件を探し、「行ってみてもいいかな」と思える不動産会社なら訪問するというのが、賃貸ユーザーの基本姿勢をと言えるでしょう。

検討物件に入れてもらう7つのコツ

賃貸ユーザーはあちこちの不動産屋に行かないと分かりましたが、その事実に対し、肝心の不動産オーナーは何をすべきでしょうか。

ここでは少し視点を変えて、検討物件に入れてもらうための「物件力を付ける」ことについて考えてみましょう。

ここでの物件力とは、新築物件だったり、ハイグレード設備の設置有無ではなく、不動産会社に「案内したい」と思ってもらうこと、そして何より賃貸ユーザーに「内見したい」「見てよかった」と思ってもらえることです。

そこで物件力を高めて検討物件に入れてもらう方法として、賃貸オーナーができる工夫と想定される効果をご紹介します。

1. 入居募集の広告には必ず写真を掲載する
よほど条件の良い物件でない限り、写真掲載のない物件は真っ先に検討物件から除外されます。

2. ユーザーニーズに合わせた設備を設置する
防犯カメラや宅配ボックスなど、賃貸ユーザーの需要が高い設備があると内見の際に印象に残ります。

3. 物件の清掃や共有部の破損の修繕をマメに行う
いざ内見の際に共有部などが汚れていたりゴミが散乱していれば、やはり検討物件から外されます。

4. 室内の分かりやすい場所に間取り図面を用意する
賃貸ユーザーは冷蔵庫や洗濯機、ベッド、カーテンなどの家具・家電をどこに置こうか必ず検討します。不動産屋から渡される間取り図は小さくて見づらい場合が多いため、大きめの間取り図を室内に置いておきましょう。

5. ボールペン、メジャー、スリッパは必ず室内に用意する
間取り図で家具の配置を検討したら、今度はその置き場に困らないか、高確率で室内のサイズを計ります。そのため、間取り図と合わせてメジャーやボールペンを用意しておきましょう。こうした配慮により、内見後に「サイズが分かっているあの部屋に決めよう」と考えてもらえる可能性を高めます。

6. 室内の設備等にPOPを付けておすすめポイントをアピールする
不動産仲介業者の営業マンは時折、大事なアピールポイントを案内し忘れることがあります。案内漏れを防ぐためと大家としてのやる気を見せるためにも、POPは有効な手段と言えます。

7. ホームステージングを行って生活感を出す
ガランとした物件より、家具を配置して生活感を出すと、引っ越し後の生活を具体的にイメージしてもらえます。また、内見した物件の中でも強く印象に残るため、数ある物件の中から有力候補に挙がる可能性も高まります。

検討物件に入れてもらうためには、「内見後の印象に残る物件」を意識することが大事だとお分かりいただけたかと思います。

こういった大家のやる気は賃貸ユーザーのニーズに応えるだけでなく、不動産仲介業者の「案内したい」という気持ちにもつながり、結果的に成約率の大幅アップも見込めます。

空室対策となると不動産会社に頼りがちですが、上記のような工夫により、家賃を下げたり広告料を上乗せしたり、大掛かりなリフォームをせずとも不動産業者が自主的に案内してくれるようになり、空室が埋まりやすくなる好循環を生み出します。

賃貸ユーザーは何社も不動産会社を回らず、その日に紹介された物件の中から契約を決める人が3割もいます。それならば、賃貸ユーザーや不動産業者の印象に残る物件を目指すことが空室対策の近道と言えるのではないでしょうか。

まとめ

物件情報は、賃貸住宅だけでなく分譲マンションなどの売買物件においても、不動産業者が共通して使用する「レインズ」というシステムに登録され、不動産仲介業者はそれを基に物件を紹介します。

囲い込み行為により物件を隠す業者でない限り、基本的にはレインズに登録するのが不動産業界のルールです。

どの不動産会社に行っても、紹介される物件は同じであると賃貸ユーザーは知っていますが、それと同時に不動産会社の営業マンも、賃貸ユーザーがそのように考えていることを当然把握しています。

これは筆者の経験上、間違いない事実であり、だからこそ一度来店したお客様を逃さないよう努力をするのです。

多くのメディアで語られる「空室対策!」に踊らされることなく、賃貸ユーザーと不動産業者の両方にとって魅力的な物件にするため大家として何をすべきか、今一度考えるきっかけになれば幸いです。

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