「不動産価格指数」とは?驚きの調査方法と特徴・活用方法を解説 | 不動産投資を考えるメディア

「不動産価格指数」とは?驚きの調査方法と特徴・活用方法を解説

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「2018年8月29日、最新の不動産価格指数が発表されました。」これを聞いてピンときた方はどの位いらっしゃったでしょうか。

不動産価格指数は国土交通省が発表する不動産関連の指標ですが、ニュースや報道で見かける機会はあまりありません。今回はあまり知られていない不動産価格指数とは何か、どんなデータで何のためにあるのかといった解説をさせていただきます。

不動産価格指数とは?

不動産価格指数とは、2010年7月を100として2008年4月以降からのデータを集計して指数化したものです。レインズや他調査会社が市場の取引事例や価格を提示して前年比や前月比をデータとして公表することが多い中、不動産価格指標は主に国土交通省が運営する「不動産の取引価格情報提供制度」のから抽出されたデータを元にしたものになっています。

国土交通省のホームページにおいてもそのことは書かれており、主に以下3つの情報を基に不動産価格指数を算出しているとのこと。

  • 登記異動情報を基にした情報
  • アンケート調査票による情報
  • 現地調査

何となく曖昧な表現と感じた方も多いかと思います。まず「登記異動情報」というのは、その物件の所在や取引を調べた結果の事を指します。そして最も曖昧に感じる2番目の「アンケート調査票」ですが、後ほどご紹介する「不動産の取引価格情報提供制度」によるものです。

そして最後の「現地調査」。これは公示地価などのように各地点の価格を調べるというような大掛かりなことではなく、過去データなどの一部の項目に関してのみ不動産鑑定士が現地に赴いて、土地の種類や周辺環境、築年数などを調べ、大元のデータの補完的な役割を果たすようです。

■参考:国土交通省「不動産価格指数」
http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000085.html

不動産価格指数の実際のグラフ

ともあれ、実際の不動産価格指数による、全国の不動産価格の推移がどのようになっているのか見てみましょう。

不動産価格指数グラフ

■国土交通省「不動産価格指数(平成30年5月・第1四半期分)の公表」より作成
http://www.mlit.go.jp/report/press/08kakakushisu.html

2013年以降から緑の線が急激に伸びていますが、これはマンション価格です。それ以外の戸建てや宅地については、ほぼ横ばいが10年以上続いており、マンションとの差が40ポイントもあるのが驚きです。都内の方が「マンションが買いづらくなった」と漏らしているとの報道もありましたが、それも頷ける結果です。

メディアによってはこのデータから「マンションは投資家に買われやすいため、オリンピック開催が決定すると同時に伸び始めた」とする向きもありますが、グラフから見ると、オリンピック開催の決定前から既にマンション価格の上昇は始まっています。レインズのデータを見てみてもそれは同じで、赤い棒グラフの成約㎡単価が2013年前半から伸び始めています。

■首都圏・中古マンション㎡単価の推移

■レインズ「月例マーケットウオッチ(2014年)」より作成
http://www.reins.or.jp/trend/mw/2014.html

どうやら、オリンピック需要というよりも第二次安倍政権発足後の金融緩和がキッカケとなり、それに弾みをつける結果となったのがオリンピックだったというのが正確な表現となりそうです。

不動産の取引価格情報提供制度の信憑性

さて、先ほどご紹介した「不動産の取引価格情報提供制度」ですが、こういった不動産関連指標を見るにあたってはそのデータの信憑性が重要です。上記のようにレインズのデータと比較しても、さほど大きな違いもないので問題はないだろうと考えられるのですが、少し気になる事実があります。

実はこの制度、不動産会社やその関連企業などの取引情報による情報ではなく、実際に取引がなされた際の購入者宛に国土交通省が直接アンケート調査票を送り、その返信内容からデータを反映させているのです。つまり、完全任意の一般の方から寄せられたアンケート結果ということです。簡単に言えば、そのアンケート結果を基に不動産の取引価格情報提供制度というホームページの情報が更新されているのです。

■不動産の取引価格情報提供制度
http://www.land.mlit.go.jp/webland/

となると、少々その信憑性に心配なところも感じざるを得ません。せめてアンケートの結果の数さえ多ければ信憑性も増すかと思い、実際に不動産の取引価格情報提供制度のホームページを確認すると、2018年8月30日の時点で約345万件と表示されています。

レインズにおける首都圏の中古マンションの新規登録件数が年間18~20万件、中古戸建の新規登録件数が6万件前後ということを考えると、それなりにアンケート数が稼げている印象です。しかし、不動産の取引価格情報提供制度のサイトをよく見てみると、気付くことがあります。

不動産取引価格情報検索というコーナーから平成30年第1四半期の東京の物件件数を検索しようとすると「590件」と表示されます。つまり、345万件というのは過去から今に至るまでの件数であり、今年の第1四半期では東京都だけでも数百件しかデータが集まっていないということです。

不動産価格指数は一体何のためにあり、信頼できるデータと言えるのでしょうか。最後に、そもそもこの不動産価格指数が何を目的に作られ、何を見ることができるのかを解説いたします。

不動産価格指数で何が分かるのか

レインズを始めとして、既に各社で不動産市況を公表していますが、なぜ国土交通省がこのような指標を出すに至ったのでしょうか。

これは、かつてのサブプライムローンをキッカケに起こった世界的な金融危機が理由となっています。簡単に言えば、金融危機をきっかけに国際機関が中心となって「金融システムの監視が必要」「国際的な比較が可能な住宅価格指数を作ろう」という機運が高まり、それに日本も賛同したということです。

しかしながら、少ないアンケート結果から指数を出したのでは心許ないのが正直なところ。おそらく不動産に関連する指標が定期的に報道される中で、この不動産価格指数だけが何故か注目されていないのはそこに原因があるのではないかと考えられます。他の不動産関連指標と明確に違うのは以下の2点です。

  • 不動産の取引市況としては比較的に新しいデータが確認できる
  • 全国のデータが確認できる

レインズが定期的に公表するのは首都圏、中部、関西圏、西日本とエリア別のもので全国的にまとまったデータはありません。他には公示地価や路線価といったものもありますが、これは土地の価格です。そして、他の会社が公表するデータにおいても全国的、かつ不動産全般の取引を明確に示す指標というのはありません。

よって、不動産取引の全国的な市況を見るとなれば、不動産価格指数が今のところ最も信憑性のあるデータという結論になります。タイムラグこそ3~4か月ほどありますが、それでも直近の不動産価格の動向が確認できる唯一のデータとも言えるでしょう。

まとめ

今回はあまり聞き慣れない「不動産価格指数」についてご紹介しました。目新しいものに感じますが、その中身は解説の通り、アンケート結果が元であるためまだまだ課題の残るものとなっています。なお、不動産価格指数を公表するページでは、他にも不動産取引件数や商業用不動産の価格指数も確認することができますので、気になる方は一度下記ページを覗いてみてはいかがでしょうか。

■国土交通省「不動産価格指数(平成30年5月・第1四半期分)の公表」
http://www.mlit.go.jp/report/press/08kakakushisu.html

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