究極の不動産テック目前?「不動産共有プラットフォーム」とは? | 不動産投資を考えるメディア

究極の不動産テック目前?「不動産共有プラットフォーム」とは?

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前回、2018年リリース注目のリアルエステートテック新サービス7選という記事のブロックチェーンを応用した「不動産情報プラットフォーム」において、株式会社LIFULL、NTTデータ経営研究所、NTTデータ・グローバル・テクノロジー・サービス・ジャパンが中心となって開発を進めている、新たな不動産情報の提供サービスについてご紹介させていただきました。

その後、この話題について調べてみると多くのメディアが注目していることが分かり、どうやら「不動産共有プラットフォーム(仮称)」と呼ばれ始めているようです。

特に「ITmedia エンタープライズ」で公開された記事が興味深い内容となっており、上記の開発に参加した機関の代表者発言が今後の不動産業界の変化を感じさせるのに十分な内容となっています。

■参考:ITmedia エンタープライズ「全国の不動産情報をブロックチェーンで共有へ――前代未聞のプロジェクトが動き出した理由」
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1808/07/news038_2.html

さて今回ですが、かねてより不動産テックの一つとして注目されてきた「不動産情報共有化におけるコンソーシアム」の説明会での内容を含め、ブロックチェーン技術が不動産業界にどのようなメリットをもたらすのかを改めて考察。そこから考えられる7つのメリットを解説させていただきます。

物件情報の正確性が向上

ブロックチェーンの主なメリットとして、一つの情報は接続された他のノード(一つの端末と繋がりデータを分散して記録する媒体)にも同じように書き込まれるため、情報の改ざんができないというものがあります。

つまり、これを不動産テックとして応用したのであれば、賃料や間取り、入居者の有無、築年数、修復履歴といった物件情報を完全に共有化し、情報の修正を誰がいつ行ったかという履歴も確認できるため、常に正確な情報を得ることができるということになります。

公平性や中立性を保てる

不動産業界ではこれまで「おとり物件」や「囲い込み」「抜き行為」という、法による明確な罰則はないものの公平性に欠く営業手法が恒常的に行われてきました。

ブロックチェーン技術を使ったプラットフォームが提供されることになれば入居中物件を広告することができないばかりか、市場にどのような物件が流通しているかを漏らさず確認できるようになります。

つまり、正確な不動産情報が提供されることは、公平性や中立性を保つことに寄与します。営業ツールとして活用されることがあれば、顧客が他の会社で契約してしまうといったことも少なくなるかもしれません。

情報のスリム化とコスト削減

売買・賃貸に関わらず、物件探しにおいて「この物件、他のサイトにもあったやつだ」と気付く経験をされた方は多いのではないでしょうか。

つまり、良さそうな物件だと気になって見てみても、既に閲覧済みの同じ物件情報だったことで無駄に時間を浪費していたということが多々あります。これは同じ不動産情報を各会社が独自に広告するため、一見して同じ物件であることが分かりづらいため起こることです。

今回のプロジェクトでは、そういった重複したデータをテクノロジーで解決すると宣言。具体的な方法は明かされていないようですが、各企業が広告するのに必要な入力用インターフェースを整備することで情報を共有できると言っていることから、重複するデータをシンプルにし、物件を探しやすくするという試みが進められていると考えられます。

また、それらのメリットにより、今までFAXや郵送で行われていた取引や情報交換という作業が一つにまとめられますので、不動産情報を公開するまでのコストが大きく削減できることにもなります。

契約の自動化

ブロックチェーン技術のもう一つのメリットとして「スマートコントラクト」というものがあります。至極簡単にご説明すると、過去の取引履歴や契約情報、物件情報といったあらゆるデータが書き込まれたブロックチェーンを活用して、「契約の自動化」ができるというもの。

IT重説への取り組みも既に始まっているのはご存知の方も多いかと思います。不動産の契約は何かと細かな確認を必要としたり、大きな紙の隅から隅までを読み上げる重要事項説明などがありますが、契約が自動化できれば不動産の契約や管理業務が大幅に簡素化できることになります。

企業と利用者の関係が変わる

今回のコンソーシアムでは以下のような質問があったようです。

Q.企業努力で蓄積された情報資産の流出にならないか?
Q.プラットフォームはどうマネタイズするのか?

現在の不動産業界における構造は、不動産会社が広告費を支払って物件情報を公開し、無料で閲覧できる物件情報に対して利用者がアクションを起こすというものになっています。

しかし上記の質問があったことから、NTTデータ経営研究所の桜井氏がこう発言しています。

「商用化にあたっては利用者への課金制を検討している」
「データベース構築への貢献度によって利用者からのお金の配分割合を決めるなどの議論をしている」

これらの事から予想されるのは、物件情報にアクセスする側に費用が発生するため企業側はより正確で公平な情報を公開せねばならず、もし企業側で悪質な行為があった場合は、企業が得られる物件情報公開による報酬が減るという仕組みです。

もしこの仕組みが実現したなら不動産業界に溢れる情報はより正確になり、企業側の利用客に対するアプローチ方法や姿勢も変わることが予想されます。

企業と顧客がより強く繋がる

また、今回のコンソーシアムでは全保連株式会社の中村大輔氏による興味深い発言もありました。

「1度のサービスで顧客との接点が途切れてしまうことがなくなり、企業同士が繋がって顧客に価値あるサービスを提供できる」

ブロックチェーン技術により無駄な情報が削ぎ落された物件が多くなり、契約事務まで自動で行われることになれば、企業は顧客に対してより便利なサービスを生み出すことに繋がるだろうと読み取ることができます。

確かに、不動産業界では契約による報酬が得られれば、その後は管理会社に丸投げということが慣例となっています。顧客からしてみると報酬だけ取られて投げ出されたと感じることが多い反面、企業からすると契約後の顧客の要望は管理会社に一任して新たな利益を追求していかなければいけないという使命があります。

不動産業界における業務が簡素化されれば、より顧客と接点を持とうという新たなサービスの提供といった動きが生まれるかもしれません。ブロックチェーンは情報だけでなく、企業と顧客をも結び付ける効果があるのだということが分かります。

不動産業界の競争が加速

上記までにもお話させていただきましたが、不動産の情報がシンプル、かつ正確になってくれば、その情報を各企業で共有することになります。

現在もレインズを始めとした不動産会社が共通して利用できる不動産情報システムは存在しますが、そのシステムにはない情報は各社で確認をとり、それぞれが独自のスタイルで広告する仕組みとなっています。つまり、一つの不動産情報に対して各社で肉付けをしていくような状況なのです。

例えば、新たに募集開始された物件がトイレとバスルームが一緒になっている3点ユニットだったとします。それに対し、A社ではオーナーがバストイレ別にするリフォームを行う予定があるという情報を入手しているため間取りもそのように作成しますが、B社ではその情報を持っていない為、3点ユニットの間取りのまま募集することになります。もし同じ情報を各社が共有できれば、このような違いが生まれることも少なくなるでしょう。

結果として、不動産会社が扱う情報はみな同じということになりますから、物件情報だけを売りにするのではない動きが生まれることになります。1契約を追求する傾向にあった不動産業界で各社が競争することになりますので、サービスや費用面などにおいて顧客側に喜ばれるサービスが広がる可能性に期待できます。不動産業者とデベロッパーが定めた賃料や売買価格、各取り決めなどが圧倒的に優先されてきたという歴史を大きく変えるかもしれません。

まとめ

ブロックチェーン技術による不動産テックには様々な魅力と将来性が見込まれていますが、現在の懸念事項は、一度書き込んだら削除や修正が簡単にできないことによる「個人情報の扱い」があります。

不動産には人が深く関わることですので、住人情報をどう扱うかということが課題となっています。この点はコンソーシアムでも認識しており、技術面において解決を探る方向にあるようです。

とはいえ、今回ITmediaエンタープライズが公開した記事の内容には、変わる未来を想像させるには十分なもの。企業が得た個人情報を企業だけが管理する仕組みにも限界があります。

今後、個人が自分の情報をどう管理するのかが問われる時代になるかもしれませんし、今後の不動産業界においては、企業と個人の繋がりこそが未来を変えるのではないか。そんな風に考えさせられる記事でした。

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