不動産投資で法人化する場合の節税メリット、運営・組織形態の選び方 | 不動産投資を考えるメディア

不動産投資で法人化する場合の節税メリット、運営・組織形態の選び方

不動産投資を始めたばかりの人の中には、個人事業として家賃収入を得ている人が多いかもしれません。しかし、収入が上がっていくにつれて見逃せなくなるのが税金の問題。実は、個人で不動産所得を得ていると最高税率は所得の半分以上にもなるのです。一生懸命、家賃収入を上げようと頑張っても高い所得税率によって収入のほとんどが税金で消えてしまうなんて事もあります。

特にサラリーマンで高い給与収入を得ている人は、将来の年金をカバーするためにスタートしたはずの不動産投資によって、今度は税金が高すぎて払えないなどという事態にもなりかねません。そうした問題を一気に解消する方法が「不動産投資で法人化する」事です。

不動産投資について勉強していくと、「法人化した方がお得」というフレーズをしばしば見かけると思います。果たしてそれは本当なのでしょうか。法人化の節税メリットから節税方法、運営・組織形態の選び方などをこの記事で詳しく解説していきます。

法人化を検討する前に

不動産投資をスタートして、「不動産投資のビジネスを法人化するのは、いつ頃始めればいいですか?」と聞かれる事がよくあります。考え方は人それぞれだと思います。専門家によっては「不動産投資の収入が1000万円超えたら法人化すべきだ」とか、「不動産所得の事業規模として認められる5棟10室を達成したら法人化すべきだ」という事を言われる事もあるでしょう。

しかし、実は法人名義で融資を受けられる金融機関があれば、できる限り最初から法人化したほうが、メリットが大きいのです。そして、購入した収益不動産は法人で所有した方が節税効果は非常に高くなります。このように話すと、設立したばかりの社会的な信用のない法人で融資を受けられるのかと考える人も多いかもしれません。しかしながら、実のところは金融機関の体制によって、新設法人でも十分に融資を受けられる金融機関はあるものです。

一般的には、不動産投資のために設立した法人は、金融機関からは個人の資産管理会社として見られる事になります。このため、融資審査も個人名義で融資を受けるのと何ら変わりはありません。世の中には、法人を設立してから3期黒字申告しなければ融資を受けられないと言う俗説などが、真実として語られていますが、そんな事はないのです。もちろん、賃貸経営で収益が上がっていれば、無論、金融機関の信頼度は上がりますが、収益を上げなければ融資を受けられないという訳ではありません。

ただし、法人名義で融資を受ける場合は、物件ごとに融資の商品をオーダーメイドする事になっているケースが多いので、融資が出せる物件が限られる事もあります。金融機関によっては個人名義で融資を行う場合に限り、本来借りにくい築古物件にも融資を出せるような商品開発をしている事があります。これも金融機関によって大きく変わります。

自分の限られた信用枠というのを有効活用しなければ、不動産投資で収益を着実に生み出していくのは難しいと思います。しかしながら、金融機関とのネットワークが限られている不動産会社は、自分が懇意にしている融資が下りやすい金融機関を利用するように、投資家に迫る事が多いものです。投資家は融資の事情など知りませんから、不動産会社の言いなりになって、自分の貴重な信用をうまく有効活用できていないケースも少なくはないのです。個人名義で融資を受けると、こうした問題が発生しがちですが、法人化していれば、こうした問題も避ける事ができます。

不動産投資をスタートしてすぐに法人を設立して、法人で収益物件を所有するメリットは、節税メニューがいろいろ選べるという事です。例えば、物件を売却するときにも、個人で所有している物件を売却する際に、その物件の所有期間によって税率が高くなったり、低くなったりします。場合によっては、売却のチャンスなのに税金が高過ぎて売却できないという事もあります。ところが、法人で所有している場合は、そんな事はありません。物件を売却するチャンスを見逃さずに行動する事ができます。

また、個人で収益物件を所有していると、サラリーマンとしての個人の給与所得と家賃収入による不動産所得がプラスされてしまう事になります。所得税は総合課税なので、全ての所得を合算した所得に応じて税率が決定されます。所得税は累進課税なので、所得が大きければ大きいほど税率が上がってしまうという事になります。所得が大きくなった事で、様々な助成を受けられなくなり、不動産投資をした事で生活が苦しくなったという投資家を何人も知っていますが、何の節税対策も取らないとそのような問題に直面する事になるのです。

一方、収益物件を法人で所有すれば、不動産所得は全て法人の所得になります。個人の給与所得と分けて、所得を分散する事ができるので、所得が低くなれば、税率も必然的に少なくなるという訳です。また、さらに配偶者や親族がいる場合には、法人の役員にして役員報酬を出す事でさらに所得を分散する事ができます。そうすればさらに税率を下げる事が可能なのです。

「不動産投資で節税」は、節税ではない!?

「不動産投資で節税」は、節税ではない!?

ところで、不動産投資の節税に関して勘違いしてはいけないのが、法人名義で購入した収益物件であれば、節税効果が高いのですが、個人名義で購入した収益物件で節税にならないという事です。「新築区分マンションを購入して節税しよう!」という不動産会社のセールストークに引っかかる人は、未だに多いものです。繰り返しますが、個人名義で購入する収益物件は節税にはなりません。

結局、この節税セールストークが、投資家としての自分の首を絞める事になり兼ねません。なぜ首を絞める結果になるのか、少しご紹介をしましょう。「節税しましょう」というセールストークの中身は、正しくは節税ではなく「所得税還付」を行おうというものです。所得税還付とは、納め過ぎた所得税が、確定申告によって戻ってくるというものです。

前述したように、所得税は総合課税。サラリーマンでもらう給与所得と収益物件から得られる不動産所得は合算して、所得税がかかります。ところで、所得税には損益通算という仕組みが存在します。この仕組みは、不動産投資で発生した損失を他の所得から控除すると言う仕組みです。給料が赤字になるという事はありませんから、所得税の還付を受けるときには、不動産所得が赤字になっているという事になります。物件を取得した初年度は、新築の場合は当初、入居者もいないため家賃収入が少ない状態が続きやすい一方で、建物の減価償却費や経費となるローンの利息分、管理会社に支払う管理費、修繕積立金など赤字が発生しやすい状態にあります。

所得税の還付金が戻ってきて一時的にお金が入ってきていても、実質は家賃収入では収支が合っていない状況が続いていると言う事なのです。つまり、なんの節税にもなっていません。新築区分マンションを持っていても、単なる負の遺産です。ローンを払い終われば、確かに資産にはなるかもしれませんが、ローンを払い終わった後は、築25年の築古物件になっているでしょう。設備も古くなりますし、立地条件がよほどよくなければ、借り手もいなくなってしまいます。不動産投資で節税ができるケースを正しく把握する事が大切です。

不動産投資に使える法人の節税方法

自分の手元にお金を残すためには、経費を増やすか、それとも控除を増やすか、税率を減らすか、その3つのうちどれを減らすかが大切です。控除として使えるのが、中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済制度)です。この共済制度は、取引事業者が倒産する事によって、中小企業が連鎖倒産に陥る事を防ぐ目的で設立されました。共済制度としては、倒産した会社の売掛金分を最高額8000万円まで貸し付けできる制度になります。

掛金は5000円から20万円まで5000円単位で自由に選択でき、掛金総額が800万円になるまで積み立てする事ができます。掛金は税法上、法人の場合は損金として算入する事が可能です。また、共済は800万円の限度額まで前納できます。期末に利益が出過ぎで対処する時に、共済に加盟すれば掛金の前納分を損金として算入する事ができます。ただし、1年以上の掛金を前納する場合は、損金算入されるのは、当期の事業年度分のみ。つまり、1年分、最大で240万円までしか損金算入できません。

例えば、掛金を最高月額の20万円に設定すれば、1年間で最大で240万円まで掛金として損金算入する事ができます。ただし、前述したように上限が800万円までしかないので3年弱で積み立てができなくなります。節税を継続するためには、一旦、共済を解約して、また再び加盟して共済金を積み立てて節税をする事になります。

解約をした時に、問題になるのが、解約返戻金は全て益金になってしまうと言う事です。仮に積立の限度額まで積立をして解約した場合、800万円は全て益金になります。800万円は法人税の最高税率がかかる金額になります。その時に、解約金の節税方法を考えておかないと積み立てた意味がなくなります。

共済を解約した時の利益を損金にするやり方

共済の解約金を損金算入するには、役員退職金でまとめて損金にする事ができます。仮に800万円の解約返戻金を役職退職金として支給します。退職所得には税制上の優遇措置があり、益金として処理をするよりも大幅に節税する事ができます。ただし、勤続年数が5年以下の場合は、さらに大幅に税額を下げる措置を取る事はできません。ですので、共済金を役員退職金で損金処理をする場合には、5年以上在職している役員に支給すべきでしょう。

法人で生命保険を活用した節税方法とは?

法人契約の生命保険の保険料を損金として節税する方法があります。個人の生命保険の控除額は、生命保険と介護保険と個人年金の3つのグループで、それぞれ最大4万円ずつの控除があります。それぞれの控除額を合計しても12万円にしかなりません。しかしながら、法人であれば生命保険の契約内容により、保険料を損金処理ができます。なお、損金計上できるのは4つのタイプがあります。保険料を全額損金にできる全損金タイプは、生活障害保険や養老保険などが代表的の保険です。

2分の1損金タイプは、保険料の半分が損金として計上できる保険で逓増定期保険などが代表的です。3分の1損金タイプは、33%が損金として計上できます。保険料を損金として全く計上できない資産計上タイプというのがあります。保険なら全て損金として計上できると勘違いしている人もいるかもしれませんが、そうではありません。商品設計書をよく見てどのくらい損金として計上できるのかを調べておきましょう。

不動産投資の生命保険節税方法は、出口戦略が重要

保険料の満期保険金や解約返戻金は、益金として処理する事になりますが、損金をどのくらい計上できるかで、益金の処理の方法も変わってきます。例えば、全額損金タイプは、保険料の全額が損金になるので、解約返戻金も全額益金になってしまうので対策が必要です。退職金で全額支給すると言ってもあまりにも高額な金額になると税務署から指摘を受ける事もあります。

また、節税のために生命保険を活用するためには、返戻率(戻り率)の事も考えなければいけません。生命保険は支払った保険料が解約時や満期時に全額戻ってくる事はありません。生命保険の返戻率は基本的に山なりに設計をされていて、4年から8年ぐらいが返戻率のピークとなります。そのため、1~2年目の返戻率は低く、さらに8年以上、保険をかけ続けると返戻率が下がってしまう事があります。そこで、ピーク時に一旦解約してから、入り直すほうが、返戻率が高い状態で維持できる事になります。

法人として不動産投資を行う時の5つの節税メリット

法人として不動産投資を行う時の5つの節税メリット

法人として不動産投資を行った場合、節税メリットがいくつかあります。

不動産所得の所得分散ができる

個人だけでなく、法人へ所得を分散する事によって、税率を低くする事ができます。不動産所得を個人1人で得ると所得額が高くなるので必然的に税率も高くなります。

法人の最高税率の方が低い

個人の所得税の最高税率は45%。一方、法人税の最高税率は、23.4%です。年800万円以下の中小法人については軽減税率の特例によって19%になります。所得が高ければ高いほど法人のメリットがあります。

収入の少ない親族に所得分散ができる

他の収入がない親族を役員にすれば、不動産所得を分散する事ができます。例えば、働いていない両親を役員にして、給料を出し、所得を分散すれば、税率が必然的に下がります。

法人ならではの節税が活用できる

生命保険の保険料を経費にする事ができるなど、保険を活用した節税など法人にメリットの大きい節税策を選択する事ができます。

法人ならではの税制上の優遇措置がある

赤字の9年間の繰越しや損益通算などの税制上の優遇措置があります。

不動産投資を法人で行うデメリットとしては、別にコストがかかるという事です。法人をつくるには、初期投資費用だけではなくて、維持費用もかかります。ただし、会社の組織形態によっては、維持費用をなるべく抑える事も可能です。

不動産投資の節税をする時に選びたい3つの法人

不動産投資の節税をする時に選びたい3つの法人

不動産投資で法人を設立する際には、次のような3つの運営形態がメインになります。

  • 不動産管理法人
  • 不動産一括借上(サブリース)法人
  • 不動産所有法人

それぞれどのような特徴があるのかを説明していきましょう。

「不動産管理法人」

不動産管理法人は、収益不動産の管理でビジネスを行う運営形態です。自分の収益物件を自分の法人で管理するというものです。収益不動産は個人で所有しています。法人に譲渡(売却)したらマイナスになってしまう場合など、不動産を法人に所有させられない事情がある場合に検討したい法人になります。

管理料は、一般的に家賃収入の7?15%です。デメリットとしては、その範囲でしか所得の分散が図れないという事です。管理料の金額は、管理の実態に合わせて設定されるため、ほとんどの人が7%ぐらいを目安に設定していますが、相場に見合わない、あまりに高い管理料を設定していると税務署から認められない事があります。ただし、不動産管理法人は導入も簡単で、条件も緩いというのが大きなメリットでしょう。

「不動産一括借上(サブリース)法人」

こちらの運営形態も収益物件の所有者は個人になります。自分の法人が個人で所有している物件を一括して借り上げて、運営する方式です。サブリースで得られる利益は、一般的に家賃収入の20%前後ですので、不動産管理法人よりは節税効果が高い運営方式となります。不動産一括借上法人のサブリース料の設定にはさまざまな方式があります。例えば、実際に入金した家賃に対して何割かサブリース料を取る方式では、実際の家賃に連動して法人の利益を計上する事ができます。

一方、節税を重視する場合には、満室の場合には、特別にサブリース料を高める契約にしたり、毎月定額でサブリース料を計上したりする方式が良いでしょう。個別の事情に合わせて利益を設定していください。

なお、不動産の維持に必要な固定資産税や火災保険料などは、所有者の負担となりますが、入居者募集などの広告宣伝費や仲介手数料などは、不動産一括借上法人の負担としなければなりません。少し経費の振り分けが面倒になるかもしれません。しかし、曖昧に処理をしておくのは、オススメできません。なぜならば、一括借上法人の実態がないと税務署から認められないケースもあるからです。

「不動産所有法人」

不動産所有法人とは、収益物件を法人自体が所有している運営形式です。もちろん、家賃収入は100%すべて法人の所得になります。一旦、家賃収入を法人の所得にして、オーナーは給与所得として法人から給料をもらいます。法人と個人に所得を分散する事で、節税効果を高めます。

家賃収入の管理や融資の返済、経費の処理などをすべて法人で行う事ができて、自分の分身として活用する事ができます。もちろん、不動産投資を副業として行なっている事もバレにくいというメリットがあります。また、オーナー個人が得られるのは給与所得になるので、個人の確定申告は不要です。

なお、収益物件を購入するときには、個人で購入するのではなく、法人で購入するようにします。金融機関によっては設立したばかりの法人の信用にこだわりを持つところもあるので、法人で収益不動産を所有する事を許容してくれる金融機関を探す事が必要です。そうした金融機関を紹介してくれるアドバイザーを見つける事も重要です。

また。個人名義で収益物件を所有している人が、不動産所有法人を設立する場合には、法人へ物件を譲渡(売却)する必要があります。このときにバカにならないのが、不動産取得税や登記費用が掛かるだけでなく、ローンの残債が残っている場合には借り換えの必要が出てきます。なぜならば、売却するためには、一端、全額を返済して、新たに法人で借り入れを行う事になるからです。金融機関が認めなければ、売却はできません。また、違約金が別途必要になる事もあります。

節税するための会社組織を選ぶ

節税するための会社組織を選ぶ

運営形態を決めたら、どのような組織の会社にするのかを検討します。会社組織は、以前は有限会社か株式会社かでしたが、現在は、商法が改正され、「持分会社」か「株式会社」のどちらかを選ぶ事になりました。

持分会社とは、社員が会社の経営権を持っている会社の事です。株式会社と違って、会社が得た利益の利益配分や、誰がリーダーとして会社を率いるかなどの組織形態を自由に決められる自由度の高い組織です。持分会社には「合同会社」「合名会社」「合資会社」の3つの組織形態がありますが、一般的には、合同会社を選ぶ人が多いようです。持分会社なので会社のトップは、代表取締役ではなく、代表社員となります。

また、株式会社の取締役は任期があり、10年に1度、役員変更をする必要があります。もちろん、同じ人が取締役になる事は可能ですが、同じ人が取締役になったという事を知らせるために、別途、登記が必要になり、登記費用が2?3万円かかります。合同会社では、代表社員が変われば、登記の必要がありますが、そもそも代表社員には株式会社のように役員に任期がないので、登記費用はかかりません。

設立したばかりの会社は株式会社であっても、合同会社であっても社会信用という面では同じです。もちろん、金融機関の融資の審査も変わらないという事になります。株式会社の設立には、設立登記をするための登録免許税が15万円、定款認証で5万円+印紙税4万円、実印などの諸経費がかかります。合計で25万円ほどの費用が必要になります。

ちなみに、定款とは、その法人の目的や組織、活動、構成員などについて記されたものです。定款を有効にするには公証役場にいる公証人が公的な手続きで証明する「認証」という行為を経なければなりません。この認証のために5万円の費用がかかるのですが、電子認証の費用は無料です。ただし、電子認証を受けるために、定款の文書はPDFなどで作成する必要があります。なお、すべての作業を行政書士や司法書士などの専門家に依頼する場合は、25~26万円ほどかかります。

合同会社を始めとした持分会社では、登録免許税は6万円。株式会社と異なり、定款認証は必要ありませんが、定款に4万円の印紙を貼る必要があります。もちろん、電子定款の場合は必要ありません。合同会社は6万円でできます。

専門家に依頼すると、一般的に13万円が相場です。自分でやっても10万円ぐらいかかるので、専門家に依頼したほうが面倒がなくて良いでしょう。法人の維持費用は、赤字でも必ずかかってくるのが、住民税の均等割。毎年7万円です。資本金が1000万円以上になると住民税の均等割は21万円になります。会計費用、税理士費用などを入れると最低でも20万円ぐらいは維持費用がかかると考えて良いでしょう。

法人設立前に準備すべき事

法人設立前に準備すべき事

法人を設立するとなるといろいろな準備が必要です。例えば、会社名一つとってもきちんと決めておかないと融資に響く事があります。なぜならば、社名の由来を融資の時に聞かれる事があるからです。冗談のような名前をつけるのではなく、不動産経営を真面目にやっていくという気概に満ちた名前にするというのも良いでしょう。もちろん、同じ会社名だと認められない場合があるので、いくつか候補を用意しておきましょう。

地方に収益物件を持っている人やこれから地方に収益物件を持ちたいという人は、会社の所在地にも気をつけなければいけません。本店を収益物件のある地方に設定する事で地方銀行から融資をもらえる事もあるからです。ただし、役員や代表社員の自宅と本店の場所が離れている状態で法人が作れるかどうかは正しく確認する必要があります。

法人の定款づくりで、事業目的を記載する箇所がありますが、不動産投資や管理賃貸など不動産投資に関わるものに限定したほうがいいと思います。定款の書き換えにはお金がかかるので、いろんな事業を入れる人が多いのですが、金融機関から見ると悪く判断される事もあります。不動産投資一本で専門的にやっているという事をきちんとアピールしましょう。資本金は1円から会社を設立できますが、あまりに低い金額の資本金だと資金繰りが危ういと判断されてしまいます。最低でも50万円ぐらいは入れておきましょう。

また、法人は事業年度をいつから始めるかを自分で決める事ができ、決算期を自由に設定する事ができます。ただし、注意しなければいけないのが、決算日から2カ月後が申告納税の時期となります。ありがちな失敗として設立してすぐに決算の時期を迎えてしまう事です。初めての決算で収入がない場合が多いので赤字になりやすく、また控除の青色申告にも間に合わないという問題もあります。なお、法人の中間決算は不動産投資関連の法人は行わないケースがほとんどです。

不動産投資と節税の種類

不動産投資と節税の種類

今、マンション経営をしている人がとても増えています。以前は土地持ちの資産家が自分の土地でマンションを立てるというのが基本モデルでしたが、サラリーマンでもマンションを所有している人が増えています。これはマンションの増加に伴い個人オーナーだけではなく、マンション内の一部の部屋を所有し他人に貸し出すなど、土地がない人でもマンションへの投資がしやすくなった事が要因の一つです。

日本では場所とタイミングさえ合えば、高利回りの物件が数多くあり、中には年20%近くのものもあります。とはいえマンションの価値の盛り上がりには限界があります。かつて日本がバブル景気に沸いた時代の土地の価格の高騰が背景としてあります。

そして土地の価格を制限した途端に収益源を失った人たちは一斉に売却を始め、土地の価格は大きく下落しました。このようにものの価値は青天井という上限がない状態ではなく「上がったものは必ず下がる」という経験をしてきました。

そのため、万が一このような事態になりかねない場合には、まず取得時や年間の維持費などでかかる費用を削減します。更に利益に対して課される税金を極力安く抑え収益性をあげる方法もあります。この時個人であれば住民税と所得税が、法人では法人税がポイントとなります。

この場合においてかかる費用とは管理費、修繕費、固定資産税などです。特に収益性の高い物件では所得税及び法人税が減額できる可能性がある税金となります。これらを節税する事により、現在の収益をもっと手元に残す事ができます。

個人と法人で変わる毎年の費用と税金

個人と法人で変わる毎年の費用と税金

不動産投資で節約できる部分は税金の部分であり、それを節税するかどうかで実際に手元に残る金額が大きく変わります。不動産投資の基本は取得費用よりもっと先の事を考え、高い賃料で長く貸すという事になります。その一方で節税の基本は、かかった費用をできるだけ多く申告し、支払う金額を少なくする事です。この2つが最大限発揮された時が、収益がもっとも高くなるときです。

一般的には不動産所得に関して、30%前後の税率になる場合が多いです。所得税は累進課税の対象のためサラリーマンでは給与所得と同様に見なされます。この場合においては給与との合計所得に対しての課税であるため、どうしても不動産投資に対しての税率が高くなる傾向があります。

日本では給与所得が高くなるにつれて税率が高くなる仕組みですので、頑張る分だけかかる税金が高くなり税金として納めるために働いている時間が長くなります。不労所得のために購入した物件でただ働きの時間が増えるという悪循環に陥ってしまいます。

それに比べ法人として物件を所有した場合はどうでしょうか。実は毎年のように法人税が引き下げられているため、ある程度まとまった収入がある場合は個人所有よりも税率が低くなる場合があります。不動産投資と給与所得の合算に関しては、双方の収入が年間800万円を超える場合、いくら頑張っても法人所有の税率を下回る事はありません。それ以下の場合でも法人化した方が概ね6%から10%近くの税金額が変わります。年収が800万円ほどの方では40万円以上の差があるので、法人で所有する事により節税という効果が現れます。

法人化で大きな金額の取引ができる

法人化で大きな金額の取引ができる

不動産投資をする上で大きなネックとなるのが巨額になる初期投資費用です。サラリーマンが個人で1億円以上のローンを組むのは難しいです。もちろん投資で回収できた場合は全く問題になりませんが、複数の建物を抱える投資はできなくなります。

この点に関しても法人として有する事により解決ができます。特に中小企業のサラリーマンは企業としてのサイズや信用性からマンション投資用の資金をねん出する事が難しくなります。新規で法人を設立して銀行と取引をする場合では、資金の使用目的と回収率が上がる事からローンを組める上限金額が高くなります。やはり不動産投資も投資商品であるので、場合によっては一時的にマイナスになる事があります。

そういった時、税金上はマイナスとなった部分に関して法人であれば消費税の還付が受けられる事や保険料を安く抑える事も可能です。また法人で所有した物件は毎年減価償却をする事により、個人所有との税金の差だけではなく、法人税額を減額する事ができます。

法人化するときに事業税という税金が発生します。不動産投資でマイナスとなった場合はこれも免除となるため、法人で不動産投資をする事への事実上のリスクがありません。また不動産投資とは経営的な側面を持つ事からも、各種費用が経費として申告でき節税に繋がります。

こういった面からも銀行への信頼作りが必要な不動産投資家にとって便利な面といえます。不動産投資といえば中古マンションを購入する事や新築マンションを建てる事で将来的な利益を得ようという投資ですが、その中で1つや2つ工夫する事で税金を減らし、利益を最大化する事ができます。

まとめ

不動産会社のセールストークで「節税」というキーワードが出てきたら、どのように節税をするのか、詳しくその仕組みを聞いてみる事が重要です。そのほとんどが節税ではなく、所得税の還付金の話をしているケースが多いと思います。本来の節税は、所得を減らして税率を下げる方法しかありません。節税ができると飛びついて投資をスタートしてしまっては、不動産投資に失敗する可能性も高くなるのです。

法人を活用すれば、さまざまな節税メリットがあります。副業で不動産投資をする時にも、法人を設立して親族を代表にすれば会社にバレにくいというメリットもあります。しかし収益物件の所有形態によっては、あまり節税のメリットが高くない場合もあります。法人を維持するのにもコストがかかります。法人設立で得られる節税メリットと初期費用や維持費用をトータルで考えて、法人化を考える必要があります。

法人化した場合、消費税の還付を受けたり保険料が安くなるというメリットに加え、取引できる金額も大きくなりますので、個人で不動産投資を進めて定期的かつ長期的に利益が見込めるのであれば、法人化を検討してみてはいかがでしょうか。

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