不動産投資の重要指標「キャップレート」とは?計算方法と調べ方を解説

不動産業界知識
20190506

不動産投資の指標には様々なものがあってややこしいと感じる人は多いと思いますが、絶対に覚えておきたい重要指標の一つに「キャップレート」があります。ただ、キャップレートを知ろうとインターネットで調べてみても簡単にキャップレートを見ることができるサイトはほとんどありません。

キャップレートは不動産の価値を知ることができる非常に大事な不動産投資指標でありながら、複雑な考え方や計算の上に成り立つため、一概に表すことが難しいのです。では、どうしたらキャップレートを知ることができるのか。今回はキャップレートの意味を解説しつつ、その計算方法や調べ方までを詳しく解説します。

「キャップレート」と「実質利回り」の違い

キャップレートとは不動産に投資して得られる利益率を表す指標です。「Capitalization Rate(キャピタルゼーションレート)」という言葉が語源になっており、日本語訳で「収益還元率」「期待利回り」などとも呼ばれます。キャップレートは「不動産投資における利回り」とも言えますが、実は普通の利回りの考え方とは少し違います。不動産投資における利回りの種類を見てみましょう。

表面利回り
年間家賃収入 ÷ 不動産価格
実質利回り
(年間家賃収入 - 諸経費) ÷ 不動産価格
キャップレート
(年間家賃収入 - 諸経費) ÷ 不動産価格

実質利回りとキャップレートはほぼ同じ計算方法ですが、実質利回りとキャップレートでは利用目的と算出までの過程が異なります。実質利回りは実際に不動産を運営して家賃収入がどの位あったか、諸経費がどの位かかったかの結果から算出できます。

それに対し、キャップレートは不動産を運営する前に「その物件が生み出す収益率」を把握するための指標ですので、事前に諸経費等がどの位かかるかを把握しないと算出できません。つまり、実質利回りは不動産投資の結果、キャップレートは不動産投資で得られそうな収益性といった考え方で分けるとよいでしょう。

キャップレートの考え方と調べ方

キャップレートの算出方法は実質利回りとほぼ同じとお伝えしましたが、正確には不動産の立地や建物の質、築年数、地域の特性など様々な要素を加味して算出されます。実質利回りと同じ計算で算出しても間違いではありませんが、本来はもっと難しい計算式で算出されるのです。多くのメディアで解説されているキャップレートの考え方は以下3つに分かれています。

  • 不動産鑑定評価基準に基づいたキャップレート
  • 「(年間家賃収入 - 諸経費) ÷ 不動産価格」で求めるキャップレート
  • 不動産投資家などの意向などマーケットが決めるキャップレート

1つ目の不動産鑑定評価基準に基づいたキャップレートは、超難関の国家資格である不動産鑑定士と同等の知識があって知ることができるものです。よほど勉強をしていない限り個人投資家が気軽に使用できるものではありません。

そのため、他2つが一般的に使われるキャップレートになりますが、どれを使うべきと正解が決まっているわけではなく、キャップレートは自分自身でランニングコストの相場を詳しく確認して算出するか、マーケット情報を集めてキャップレートを知るしかありません。

では、具体的にどうすれば良いのかというと、以下のような方法が考えられます。

  • 一般財団法人日本不動産研究所の「不動産投資家調査」で期待利回りを確認する
  • IREM JAPANの「NOI率」を参照して計算する
  • 各種ツールを使用してキャップレートを知る(もしくは算出する)

まず「不動産投資家調査」ですが、日本不動産研究所では定期的に大手不動産会社や銀行、J-REITの投資法人などに協力を仰いで「期待利回り」を公表しています。

■参考:一般財団法人日本不動産研究所「不動産投資家調査」

その他の2つですが、これはもう少し詳しく解説が必要になります。

NOI率からキャップレートを知る

キャップレートを知る方法としてご紹介した「IREM JAPANの「NOI率」を参照して計算する」という方法ですが、まず以下のサイトからNOI率を調べます。

■参考:IREM JAPAN「全国賃貸住宅実態調査」

注意点として、NOI率のNOIとは家賃収入から諸経費を差し引いたものですが、諸経費には減価償却費やローンの利息等は含まないことを覚えておきましょう。これは以下の記事で詳しく解説しています。

キャッシュフローシミュレーションに使える不動産投資10の指標まとめ
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NOI率は、不動産収入から諸経費を差し引いたNOIが満室時の不動産収入の何割かを示す指標です。以下の計算式で算出できます。

NOI ÷ 年間家賃 = NOI率

もし、NOIが80万円で満室家賃が100万円ならNOI率は80%という事です。このNOI率が分かれば、簡単にキャップレートを調べることができます。「一般的なキャップレートの計算式」と「NOI率を使ったキャップレートの計算式」を比較してみると、得られる答えは同じということが分かります。

一般的なキャップレート
(年間家賃収入 - 諸経費) ÷ 不動産価格
NOI率を使ったキャップレート
(年間家賃収入 × NOI率) ÷ 不動産価格

表面利回りが分かっている場合は「表面利回り × NOI率」でも同じ答えを得ることができます。

計算不要!キャップレートが一目でわかるツール

もう1つ「各種ツールを使用してキャップレートを知る方法」ですが、オススメなのは以下の2つです。

  • 「VALUE AI」でNOIを確認して計算する
  • 株式会社ICHIの「キャップレートマップ」を使用する

VALUE AIは株式会社コスモスイニシアが提供する不動産投資のAIシミュレーターです。物件情報を登録すると不動産の将来価値や賃料の推移、想定される諸経費やローン残債の推移などが一目で確認できます。6000万件以上の取引データを基にして、AIが自動で不動産投資シミュレーションしてくれるツールで、もちろんNOIを確認することもできます。

よって、今回ご紹介した「(年間家賃収入 - 諸経費) ÷ 不動産価格」という計算式の諸経費をVALUE AIで表示されるNOIに置き換えれば、キャップレートを知ることができます。

■参考:VALUE AI

そして、株式会社ICHIの「キャップレートマップ」を使ってキャップレートを調べる方法ですが、キャップレートマップ上に表示されるマークをクリックすれば、「NCF利回り」と表示されます。これがキャップレートです。

■参考:株式会社ICHI「キャップレートマップ」

NCFは修繕費等の資本的支出も含んで算出する利益でNOIとはまた違う方法で算出されます。このNCF利回りがキャップレートと考えてよいでしょう。

キャップレートによる不動産価値のシミュレーション

キャップレートは収益性を計るだけでなく、不動産の価値を見定めることもできます。キャップレートは大口の不動産投資家やプロの個人投資家も使用する投資判断で重要な指標です。キャップレートを使用して以下の計算式で不動産価格を求めることができます。

NOI ÷ キャップレート = 不動産価格

NOIが100万円でキャップレートが5%の物件があった場合、その不動産の価値は以下のようになります。

100万円 ÷ 5% = 2000万円

NOIが100万円でキャップレートが8%だった場合は以下のようになります。

100万円 ÷ 8% = 1250万円

キャップレートは立地や建物の質、築年数、地域の特性等に左右されるため、地方など投資リスクの高いエリアならキャップレートは高くなり、不動産の価値は安くなります。上記の例では、キャップレート5%のエリアは不動産の価値は高くリスクは低いと言えますが、キャップレート8%のエリアは不動産が安い分リスクが高いと言えます。

キャップレートは不動産の収益性を事前に知るのが目的ですから、ランニングコストや将来的にどう変化するか分からないと正確な算出はできません。だからこそ「期待利回り」と呼ばれているのです。国が公表する公示地価や研究機関が発表するマーケットデータなどのように簡単に考えられる指標ではないものの、不動産投資家なら必ず知っておきたい重要指標という認識はしておいた方がいいでしょう。

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