「完全自主管理で驚異の稼働率を達成している理由」ママチャリ大家インタビュー | 不動産投資を考えるメディア

「完全自主管理で驚異の稼働率を達成している理由」ママチャリ大家インタビュー

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今回は所有物件を自転車で通える地元に限定しママチャリを駆使して全ての物件を自主管理するママチャリ大家こと小林ヒロシさんに、不動産会社に頼らず『完全自主管理で驚異の稼働率を達成している理由』を直撃インタビューしました。
小林さんは外資系マーケティング会社に勤務する傍ら、副業として知識ゼロでマンション・アパート経営をスタート。現在は自宅兼用の二棟を含め計七棟のマンション・アパートを所有し、稼働率98%、年間収入4000万円、利回り10.4%に到達。
そんな先輩大家の小林さんがかつて高金利の銀行融資で賃貸経営せざるを得なかった事情とキャッシュフローが改善したきっかけ、不動産管理会社に任せきりで高金利のまま賃貸経営をしていた頃からの大逆転劇など完全自主管理の秘訣などについて伺ってみました。

満室経営の秘密とは?

編集部:株式会社タスの調査によると、23区内の空室率は11.56%。このような数字が出ている中で、小林さんが管理している物件は空室率わずか2%という驚異的な数字です。さらに自主管理で達成しているというのは本当にすごいですね。

小林:いえいえ、僕は本当に当たり前のことをコツコツとやっているだけです。物件に空室が発生しそうだなと思ったら、事前に動いて入居者を募集する。よりたくさんの人に見に来てもらえば、その中の幾人かが入居を決めてくれます。

編集部:より多くの人に自分の物件を見てもらうことが重要なのですね。

小林:知り合いの大家さんの話を聞いていると、空室のまま放っておく管理会社も実は多いことがわかりました。彼らは「空室率が高いですからね。この部屋は2年ぐらい空いていますよ」と言う。管理会社にとっては家賃の5%が管理料の相場ですから、2年ぐらい空室であっても収入的には問題ないのかもしれません。

編集部:調査データでは空室率は約1割でしたが、実際の空室率は3割とも4割とも言われています。空室率が高いので10部屋中3部屋が空いていても普通だと考えられるのですね。

小林:オーナーにとって2年間と言えば、相当な家賃収入のロスです。たとえば、月7万円の部屋が1室でも空いていれば、1年で84万円、2年で168万円のロスとなります。しかし大家さんのネットワークで聞いて見ても、1~3割の空室は仕方がない。埋まらないなんて言っています。でも僕のやり方だったら、ほぼ満室状態ですからね。

編集部:満室経営になる小林さんのやり方と空室が出てしまう通常の管理会社のやり方で何が違うのでしょうか?

小林:大きく違う点としては、管理会社は多くの物件を管理していますが、僕は自分の七棟の物件しか管理していないということ。だから、手間と時間をかけて管理が集中できているんです。特に大きいのは、客付け力を自分でコントロールできる点だと思います。そうやって考えるのは、管理会社が入居者をちゃんと募集しているのかという問題もあります。彼らも多くの管理物件を抱えていると思いますので、忘れてしまうということもあります。大家さんによって管理費用も違うと思いますので、多く払ってくれる大家さんには力を入れるなどの方法があるかもしれません。やはり客付けという直接収益に関わる要素をコントロールできるのは、とても大きいと思います。

編集部:なるほど。そうなんですね。

小林:管理会社に管理を依頼すると、流れ的に客付けもお願いすることになります。ところが、その管理会社の客付け力は未知数です。不動産投資は家賃収入が収益になるので、客付け力があるかないかで大きく収益が変わってきてしまいます。これは管理会社に委託することで出てくるデメリットだと思います。もちろん、所有物件が数十棟単位になったり、なかなか出向くことができない地方の物件を所有していたりしたら、管理会社を活用するしかいないのですが…。それを避けるために僕は物件を集中させて自主管理をしているのです。

編集部:管理会社自身が客付けをする場合もありますが、大手管理会社では客付け専門の不動産会社を利用するケースもあるようですが?

小林:これも問題があります。管理会社だけでなく、客付け会社にも手数料を支払うから、さらに費用がかかるということです。そして、囲い込みです。管理会社は、自分のところで決めたい物件は、客付け会社に依頼しなかったりします。それでなかなか決まらないケースも多いようです。

編集部:不透明な部分が意外とあるんですね…

小林:あります。空室を埋めるために、管理会社から提案されることは、最終的には「家賃を下げましょう」というものです。家賃を下げると収益が悪化して、手元にお金が残らなくなって失敗してしまう可能性があるのです。家賃を下げても埋まらないと、属性の悪い人を入れてしまう大家さんもいます。属性が悪い入居者が入ると家賃滞納が発生したりして、そういうケースが重なると大家業のモチベーションが下がっていきます。一旦、手放そうかという話になると、そこで管理会社が入ってきて仲介手数料を稼ぐ。どっちに転んでも管理会社が儲かる仕組みがあるんです。

成約率を上げるには「内見を増やすこと」

編集部:小林さんはどんな客付けの方法を採用しているのですか?入居者募集で客付け会社に1000件以上メールを送るなんて話も聞きましたが…本当でしょうか?

小林:はい、本当です。僕の場合、客付けは効率化するためにメールの雛形を作っていますね。空室発生予定の物件の概要や外観や内観写真をメールで添付して、メーリングリストで一斉に送信しています。現在、メーリングリストには東京の不動産会社や営業担当者のアドレスが1000件以上あります。どこの会社や担当者が良いとか、悪いという問題はありません。昔から懇意にしている会社が入居者を決める場合もあれば、全く知らない不動産会社が決める場合もあります。

編集部:どうやってメールアドレスを入手されたんですか?

小林:インターネットです。不動産会社のホームページを探して、問い合わせ先に送付していました。内容は「マンションオーナーですが、客付けをお願いします」というものです。その会社から、ぜひお客様を紹介させてくださいというメールがきた場合には、メーリングリストに登録します。なお、客付けは一つの不動産会社に委託する専任媒介ではなく、複数の不動産会社に仲介を依頼する一般媒介を行っています。

編集部:入居者獲得についてユニークな戦略があると聞きました。

小林:僕の公式で表現すると、『入居獲得の公式 = 内見者数 × 成約率』なんです。僕の考えでは、内見者数がゼロならば、成約率は上がりません。いろんな本や情報を見ると成約率を上げるノウハウを書いている人が多いのですが、部屋を最新式の設備にするとか、モデルルームのような家具をつける、広告費を増やす、フリーレントにするとか…大家にとってはお金がかかることばかりです。それを一生懸命やっている人がいるんですけれども、内見者数が上がらないと、成約率は上がらないんですね。いくらノウハウを駆使しても、物件の持つ条件に合わないというミスマッチは必ず起きますので。

編集部:本やインターネットで紹介されているノウハウは、結局のところクロージングのノウハウですよね。内見したアパートやマンションに住みたいと内心決めている人の心を後押しするような作戦というか…

小林:だからこそ成約に至るには、物件の条件にマッチした人をいかに増やすかが重要なのです。僕はどちらかというと内見者数を増やすことに注力しています。内見者数を増やせば、一定の率で入居者数は増える。内見者を増やし、5人内見すれば1人成約してくれるので、成約率は20%ぐらいですね。ところが管理会社に依頼している人に聞いてみると、成約を上げるノウハウをいろいろと実行している割には「内見者数は先月ゼロです」というのです。もちろん、僕も客付け会社のモチベーションを上げるために、広告費用1ヶ月分は払っています。しかし、それ以外は特に大したことはしてないです。リフォームをして、部屋は綺麗にしますけれども、フリーレントなどもしないですね。とにかく内見者数を増やすことに注力する。そのために自主管理をやっているというのもあります。

編集部:内見者数を増やすのに鍵を置いておくという方法がありましたが、他に実践していることはありますか?

小林:「この物件のこの部屋が空室です。」と定期的に不動産会社に空室のお知らせメールを出したりしています。内見をスムーズに進めるために、鍵の場所をきちんと教えておくということですね。あと問い合わせの電話は、いつでも受けています。内見中に仲介している不動産会社から「家賃を2000~3000円引いてください」と言われることもあります。オーナー直通の電話であれば、その場で成約させることもできます。これが管理会社経由の場合、管理会社に質問した時に担当者がいなかったらお客様の質問に的確に答えられません。仮に担当者がいたとしても「詳細は大家さんに確認します。」となりがちです。「大家さんに連絡を取っている時間がもったいないから次の部屋を見ましょう」という話になってしまって、成約ができなくなるということです。

自主管理は意外と簡単?

編集部:自主管理の内容についてお伺いしたいのですが、入居時の審査はどうしていますか?入居者の属性は見ていますか?

小林:客付けの会社からメールで入居申込書が送られてくるんですけれども、その時に入居者の属性は書類で添付されてきますので、確認しています。年収がどのくらいとか、どんな会社に勤めているかなどが書かれていますが、事前に家賃保証会社の審査に通過した人だけを見ています。僕がOKを出せば、入居OKということになります。保証会社の審査を通らない人は断ります。過去に何かがあった人なのです。審査さえ通れば、家賃滞納が発生したら保証会社が本人に代わって支払ってくれます。

編集部:家賃の入金管理はどうやっているのですか?

小林:月末に銀行のサイトを見るという感じです。今は、口座の情報をネットで見られるのでとても便利ですし、手間もかかりませんね。入金された家賃はエクセルの表に入力します。エクセル表で家賃が遅れている人を一覧できるので、携帯電話のショートメッセージで催促します。滞納してしまった理由の多くは忘れているだけなので、すぐに振り込んでくれることが多いですね。連絡がつかなくて滞納でも保証会社に連絡すれば問題はありません。保証会社が入居者に連絡してくれます。それでどうしても連絡がつかなければ、保証会社が入居者の代わりに払ってくれることになります。

入居者トラブルを軽減する方法

編集部:入居者はどんな方が多いのでしょうか?

小林:入居者は色々で若い夫婦の人もいるし、子どもが小さい人もいれば、リタイアして夫婦で住んでいる人もいれば、もうまちまちですね。

編集部:入居者の中には問題を起こすような人はいませんか?

小林:中にはいらっしゃいます。過去に生活保護を受けている方で住人に迷惑をかけて警察沙汰になった人がいました。生活保護の支給は毎月あるので、家賃保証会社も審査を通しているのです。

編集部:なぜ警察沙汰になってしまったのでしょうか?

小林:理由はその人が部屋で暴れ出し、バットか何かで壁を叩き出したということです。あとで部屋を見に行った時に、窓ガラスが全部割られていたので相当ひどい影響があったのではないでしょうか。さすがに、住人が恐怖を覚えて警察を呼んでしまったということでした。僕にも警察から連絡が入りましたが、本人が落ち着いたので、立会いは不要でした。生活保護にはケースワーカーの人がついて定期的にチェックをしてくれるのですが、よくよく話を聞くと本人は心の病を患っているということでした。心を安定させる薬を処方されたのですが、きちんと服用をしていなかったのが暴れ出したのが原因でした。「入居審査の際になぜそのことを話してくれなかったのか」と問いただしましたが、「個人情報保護の観点から教えられない」とのことでした。難しい問題だとは思いますが、オーナーとしては他の住人への影響もありますから、何とかして欲しいと思いました。

編集部:その後、どうなったのですか?

小林:そのケースワーカーと話し合いをして、その方は入院されることになりました。原状回復作業ですが、前述したように窓ガラスも全て割られていましたし、部屋の中は家具が散乱し、めちゃくちゃになっていました。家賃保証会社は家賃は保証してくれますが、問題が起きた時にリフォーム費用を出してはくれません。結局、原状回復費用として50万円ぐらいかかりました。とても痛い出費です。

編集部:その費用はどうしたんですか、自腹ですか?

小林:結局、自腹ですね。仲介してくれた不動産会社と一緒に彼女がいる病院に行って費用についてその方が払うと覚書を書いてもらいました。退院後、生活保護を受けるのでその費用の中から2万円ずつ振り込むというお話でしたが、その後、その人は消息不明で振り込まれませんでした。僕はその人と電話で話したことがありますが、薬が効いている時は、とてもまともなんでわからなかったですね。

編集部:他にトラブルはありますか?

小林:はい、ありますよ。夜逃げも2回ぐらいされたこともありました。夜逃げは急にいなくなるものですが、必ず前兆があるんですね。夜逃げ前に滞納が続き、3ヶ月分の家賃を溜めたところで夜逃げになりました。もちろん、家賃は回収はできませんでした。こうした夜逃げの問題に対処するために家賃保証会社に入るように義務付けたのです。2回目は保証会社に入っていて本当に助かりました。実は夜逃げは、裁判所を通じて「建物明渡訴訟」を行う必要があります。この訴訟をしない状態で、勝手に住人の部屋の中に入ると住居侵入罪に問われる可能性があるのです。ところが、住人が家賃保証会社に加入してくれていると、滞納した家賃も保証してくれるだけでなく、明け渡しの手続きを家賃保証会社が担当してくれます。

編集部:管理のリスクを減らすために家賃保証会社に加入することを義務付けるのは重要ですよね。

小林:そうですね。ただ、家賃保証会社の手数料は、入居者が支払うので嫌がられるケースもあります。連帯保証人で何とかして欲しいということなのですが、親族が遠くにいる場合は、リスクは軽減されません。なぜかというと、家賃を滞納した時に連絡をしても連絡がつかない場合があるからです。リスクを軽減するのに一番いいのは、家賃保証会社に加入してもらい、さらに連帯保証人を付けることですね。

同じ商圏に収益物件を持つ必要性

編集部:今は物件価格が上がっていて物件も品薄状態です。このような時にはどんな物件を購入したら良いのでしょうか?

小林:まず、僕の投資スタンスからご紹介します。僕は何十棟も持つ不動産投資はイメージしてないんですね。内見数を増やし、成約率を向上させる「自主管理」と同じ商圏に収益物件を持つ「ドミナント不動産投資」の両輪で不動産投資をするというイメージでおります。現在は家賃収入で4000万円ありますが、規模を増やし続けたら自主管理は無理でしょうし、規模を増やすには地方にも物件を購入する必要性が出てくるかもしれません。

編集部:では、具体的にはどのように物件を探すのですか?

小林:「楽待」とか「建美家」に自分の希望物件を登録して探しています。何社か探して、不動産会社とコミュニケーションを取りながら、懇意になっていくと「小林さん、こんな物件はどうですか?」と提案してくれるのです。もちろん「楽待」や「建美家」に掲載されていない未公開物件です。

編集部:そういう未公開物件の中ではどんな物件に注目されていますか?

小林:物件が自分の土地勘があるエリアにあるかどうかを見ています。物件の周辺に病院やスーパーがあるかどうか、駅に向かうまでに何軒ぐらいコンビニがあるか、治安がいいとか駅前は活気があるとか土地勘がないとわからないものです。たとえば、都心に近い駅が栄えているかというと、そうでもない場合がよくあります。そうすると、入居需要が意外と少なかったりするものです。逆に都心から遠い方が入居需要が多かったりする可能性もあります。こういうことは土地勘がないとなかなか難しいと思います。慣れてくると、この物件は買った方がいいとか、買わない方がいいというのが見ただけでわかるようになります。

不動産会社が勧める銀行で借りたら…

編集部:不動産投資をスタートした当初は金利が高くて大変だったという話を聞きました。

小林:2017年4月現在、僕は七棟の不動産を所有しているのですが、一棟目と二棟目に関しては、どちらも家族で住む住居用に購入しました。三棟目の中古マンションの購入が、僕の不動産投資人生の本格的なスタートになります。三棟目の融資は不動産会社に勧められるがままで、金利が高いと言われるS銀行で借りることになりました。それまで不動産投資の勉強をしてきたのですが、収益物件の一棟マンションを購入して、本格的に運用をするのは初めてでした。ですので、その時には金利が高いとかそういうことを考える余裕はなくて、融資をしてくれる金融機関があるということだけで心強かったことを覚えています。むしろ心配していたのは、本当に不動産投資を失敗しないでやっていけるのかどうかということでした。だから、銀行マンがお金を貸してくれる物件だから、ちゃんと収益が上がるだろうと安心したのを覚えています。

編集部:同じ年に三棟目と四棟目を購入したそうですが?

小林:三棟目は築17年の軽量鉄骨のアパートで全6室の1Kです。2008年2月に購入しました。購入価格は5700万円。JRと私鉄駅から徒歩5分の物件です。四棟目は2008年6月に購入しました。築19年の重量鉄骨のアパートで全6室の2DKのアパートです。購入価格は6600万円です。三棟目と四棟目の利回りは両方とも8%でした。しかし、金利は4.5%でした。表面利回りと貸出金利の差(イールドギャップ)は3.5%で本当に手元にお金が残らない苦しい状況が続きました。物件を常に満室状態にしていたということと、当時はサラリーマンで収入があったので何とか持ちこたえられたという感じですね。今、不動産投資を始めようと購入している投資家の人は、物件価格が高いので僕よりももっと低い表面利回りになっています。金利が安いところで融資を受けていれば別ですが、僕と同じように高い金利の金融機関で借りていたら、賃貸経営はかなりキツイ状態になってしまいます。

編集部:しかしながら、イールドギャップが3.5%もあったら、素人の考えだと手元に余りそうなイメージですけれども…

小林:自然に出てきてしまう退去に伴うリフォーム、毎年課税される固定資産税、設備が壊れた時のちょっとした修繕などの出費で手元にはほとんど残りませんでした。それでも賃貸経営を続けられたのは、満室で経営できていたということがあると思います。僕は満室でキープすることができていましたが、多くの大家さんは1~2割は空室が出てしまいます。そうするとギリギリか、最悪の場合、収支がマイナスになって自分の給料から持ち出しが発生することもあるのです。

編集部:リフォーム代もバカにならないですね…

小林:ただでさえ出費がかさんで大変なのに、管理会社から送付される見積りは高い場合が多いんです。管理会社が作成するリフォームの見積りは、だいたい管理会社の利益を2~3割を乗せるというのが業界の慣習みたいなところがありますから結構高いんです。高い見積りがバーンと来て、「早く判断をしてください。入居者から文句が出ています。」と言われる。そう言われたら、払わざるを得なくなってしまう大家さんも多いはずです。

編集部:それでは何のために不動産投資をしているのか分からなくなる人も出てきますよね。

小林:そうですね。ローンの元金は毎月減っていくので、ローンを払い終われば自分の資産になるということを信じて継続していく感じの人も多いと思います。将来は自分の不動産からの収入があるから、今はサラリーマンの収入がマイナスにならなければいいという人も多いです。しかし、やはり不動産が好きでないと継続し続けるのは難しいかなとは思います。

編集部:ところで三棟目、四棟目を購入した時に収支シミュレーションをしているはずですよね。お金がほとんど残らないのに投資をスタートした理由は何でしょうか?

小林:購入した当初から不動産投資はそんなに儲からないなと思ったんです。一方で、こんなもんかなという気もしていました。僕はプラマイゼロでもいいと。給料があるので最悪ローンが払い終われば、物件は自分のものになる気はしていました。その時には、他にも銀行が開拓できるという話を知りませんでしたしね。不動産会社は物件が売れれば仲介手数料が手に入るので、審査が通りやすいS銀行を勧めます。その後、高い金利で苦労をしていても助けてはくれません。「頑張ってください」というだけでしょう。僕もサラリーマンで普通に昼間働いているので、金利を下げることができるなんて知らなかったですし、そこまで気を回すこともできませんでした。

編集部:満室経営以外に、利回りを上げるために実践したことは何でしょうか?

小林:結構、色々やりましたね。たとえば、三棟目の物件には駐車場が付いていたのですが、月極めで貸していた駐車場を時間貸しのコインパーキングに変更しました。このおかげで利回りは9.6%まで跳ね上がりました。時間貸しのコインパーキングは非常に収益率が高いので、購入を検討している物件に駐車場があれば、コインパーキングへの転用ができるかどうかを検討することも物件選びのポイントになります。四棟目は駅から徒歩7分で地下鉄の始発駅なので、座って会社や学校に通えるという好立地でした。その立地の良さを活かして、家賃を上げたり、余っていたスペースにバイクの駐車場を設けたり、自動販売機など設置して利回りを10%以上に上げました。満室経営のための努力と、資産の有効活用を行ったことで、少しずつ手元にお金が残るようになって来ました。

銀行を自力で開拓したきっかけ

編集部:金融機関を開拓しようと思ったのは何かきっかけがあったのでしょうか?

小林:2010年に五棟目を買おうと思って、取引銀行であるS銀行に物件を持って行きました。築19年の重量鉄骨で購入価格は1億4000万円です。土地は98坪で私鉄の駅から徒歩8分の好立地になる物件です。ところが、S銀行は規定があるので貸せないと言って来たのです。「小林さんは、上限が来たのでもう貸せません。」と言われてしまいました。その時は不動産投資をするには、S銀行しか融資をしてくれないと思っていたので、目の前が真っ暗に。不動産会社にも聞いても、S銀行しか知らないと言われてしまいました。その時に自分で開拓しなければと思いました。

編集部:金融機関を自分で開拓すると決断するほど、五棟目はどうしても買いたかったんですか?

小林:五棟目はどうしても買いたかったんです。もう会社員生活を長くやりたくないし、そのためには確固とした収入源がないと辞められないと思いました。三棟目、四棟目でキャッシュフローが約60万円ぐらいあったと思います。年間収入で720万円ですが、もちろん満室想定です。今後、少しでも空室が出ればリタイアは無理でしょう。ここは買うしかないと思って、金融機関の開拓をしていきました。アポイントを取らずにいきなり銀行に行ったりして、開拓していきました。

編集部:どのように調べたのでしょうか?

小林:インターネットの検索窓に「不動産投資 銀行」と入れて、ちょっとでも検索に引っかかった銀行をバーっと当たって行きました。当時は銀行も冷たくて「何?」と全く取り合ってくれなかったところもありましたし、「小林さんは借金が多くて無理です。」というところもありましたし、「不動産投資なんてそもそも貸しませんよ」というところもありました。全部で40行ぐらい回ったのですが、門前払いのところが続いたので、最初は心が折れましたよ(笑)。拒絶されますからね。やはり。

編集部:そうした状況が改善したのはいつ頃ですか?

小林:地方銀行のT銀行の支店がすぐ近くにあって、電話したのがきっかけです。それまで拒絶されていたのが、ちょっと検討したいという話になりました。いろいろな物件資料を出したり、話したりしているうちに融資が下りそうだという話になりました。物件資料を見せた時に、三棟目が「建築申請と違う仕様で出来上がっている違法建築ではないですか?」と言われたりしたのですが、よく調べてもらったら違法建築でないことがわかりました。ちょっとビビったんですけれども、そこがダメだったらもう融資は無理だと思っていたので良かったです。

編集部:融資の条件も良かったと聞きましたが?

小林:最初はかなり頭金を入れなければならないと覚悟していたのですが、ほぼフルローンで五棟目の物件を購入することができました。S銀行と異なり金利も0.5%だったので、その時に頑張って良かったと思いました。

編集部:S銀行では貸せないと言われたのに、T銀行で評価された点は、どんなところだったと思いますか?

小林:サラリーマンの属性も良かったというのもあると思います。もちろん、不動産投資の家賃収入も継続的に入っています。都内で100坪近い物件なので、選んだ物件の担保評価も高かったと思います。金融機関によって融資方針が違うというのがわかったというのも大きかったですね。

金融機関の開拓をさらに続けると…

編集部:さらに、根気よく金融機関の開拓を続けたんですよね?

小林:はい、T信用金庫を開拓しました。自分で開拓しておいてなんですが、その時に信用金庫も貸してくれるんだと思ったんです。検索窓に「不動産投資 信用金庫」で情報も出てきたからアプローチをしたのですが、当時は信用金庫が不動産投資に融資してくれるなんて知られていなかったと思います。検索してもほとんど引っ掛からない感じでしたから。そこで六棟目の築22年のRCの物件を購入しました。

編集部:七棟目は金融機関が複数手を挙げたと伺いました。

小林:七棟目を購入する時にはD信用組合を開拓しました。しかし、七棟目を購入する時に自分の借り入れ状況を知ってもらうために、取引先のT銀行とT信用金庫にもその話を伝えました。その時に七棟目の物件に融資したいと提案がありました。当たり前のことですが、すでに取引がある銀行に信用がありますし、一番融資をしてくれやすいものです。それぞれの金融機関に物件概要を渡して、一番有利な金融機関に決めることにしました。それぞれの金融機関に出してもらったのですが、3つとも金利も期間もだいたい同じだったのです。新しく開拓した信用組合を取引銀行に入れると管理が煩雑になりそうだと思って迷っていたところ、信用組合が僕の資産背景を見てS銀行の融資を借り換えしてもいいと申し出てきたのです。それが借り換えのきっかけですね。もちろん、七棟目は信金で借りることにしました。

編集部:金利はどのくらいになったのですか?

小林:アベノミクスで低金利政策が取られているので、すでにS銀行で借りていたローンに関しては、僕も頑張って交渉をして3.1%まで下げてもらっていました。しかし、実際に金融機関の開拓をして色々な金融機関の融資情報を調べているうちに、自分が借りていた金利がいかに高いかということに気がついてしまいました。そこで、さらに金融機関と交渉をして下げてもらおうと考えたのです。S銀行は2%台まで下げるとは言ってくれましたが、借り換えで提案してくれている信金と同じぐらい金利を下げることは不可能だろうという結論に至りました。そこで三棟目と四棟目を信金に借り換えたのです。2013年に信金に借り換えして、三棟目と四棟目の金利を1.7%まで下げることができました。2017年4月現在では1.2%まで下げることができています。

編集部:地方銀行から借りたローンも金利は低くなっているのですか?

小林:はい、地方銀行のT銀行から借りて購入した2010年に購入した五棟目は、当初は1.95%で借りました。その後1.4%になり、2017年4月現在は0.59%まで下がっています。2010年にT信用金庫から借りて購入した六棟目は1.7%で借り入れをして、2017年4月現在は0.925%になりました。2011年にD信用組合から借りて購入した七棟目は、D信用組合から1.7%で借り入れをして、2017年4月現在は1.2%まで下げることができています。D信用組合の金利はもう少し下げられそうなので、それに成功することができれば、さらにキャッシュフローが改善しそうです。

金利交渉のポイントは「他の動向を少しだけ伝える事」

編集部:金利交渉のポイントを教えてください。

小林:金利交渉といっても、こちらの主張を相手に無理やり通すというわけではありません。自然な形で交渉をする地方銀行のT銀行は3年固定で融資を受けていたのですが、更新時期がたまたま来た時に「変動金利に変えたいので金利を下げてもらえませんか?」と打診をしました。「借り換えを提案してくる金融機関があります。」と伝えておくのも良いと思います。T銀行には保険もお願いしていますし、定期預金も行なっています。他の金融機関に借り換えされては困るということで、交渉がスムーズにいったのかなと思います。金利が下がった理由については、はっきりと聞いているわけではないのですが、借り換えされるぐらいであれば、金利を下げて取引を続行したいと考えられたんだと思います。

編集部:なるほど。そうなんですね。

小林:不動産投資は取引高が大きくなりがちで、借り換えられないように他の金融機関の動きを警戒しています。お互いに競争相手ですので、借り手(小林ヒロシ)に対する情報交換をすることもありません。金融機関はローンの総額がわかるぐらいで、何%で借りているかはわからないと思います。この間、金利が0.5%になったことを他の金融機関の担当者に見せたところ、その担当者は驚いていましたから。ですから、僕に他の金融機関の動向を聞くしかありません。「他の銀行は何か言ってきていませんか?」と聞いてきたら「借り換えはしないけど、ちょっと今の金利をもう少し下げられないか?」などと打診すれば、「ご相談に応じさせていただきます。」とこちらに主導権があるように対応してくれるのです。こうして金利の交渉をして、大幅に金利を下げることができましたので、その分、楽になりました。

金利が低くなってキャッシュフローが改善

編集部:具体的にはどのくらいキャッシュフローが改善されたのでしょうか?

小林:三棟目の物件をたとえとして、ご紹介しましょう。借入金は5700万円で借入期間は30年(360回払い・変動金利)返済方法は、元利均等払いです。当初、年利4.5%で借りていたので1ヶ月の返済額は28万8810円、1年の返済額は346万5720円です。これが借り換えによって年利が1.2%まで圧縮できたので、1ヶ月の返済額は18万8617円、1年間の返済額は226万3404円となります。30年間で支払う利子の金額だけでも約3600万円も圧縮できるのです。

編集部:借り換えするとペナルティーがあると聞きました。

小林:たとえば、S銀行の場合は融資を受けてから5年以内に借り換えする場合には、ペナルティーがあります。僕の場合は100万円だったんですが、先ほどの試算でも紹介した通り、短期的にもトータルで考えてもペナルティーを支払ってでも借り換えした方がいいと思います。先ほども申し上げましたが、S銀行は2%台にするという引き留めもありました。しかし粘っても1%台にしてもらう事は無理、良くて2%台の後半だろうと思ったのです。それで他の金融機関に変えました。ペナルティーではありませんが、注意しなければならないのは、新たな金融機関と金銭消費貸借契約を結ぶ必要があり、その分の手数料や抵当権設定などで登記費用がかかるということです。ペナルティーの他に様々な手数料がかかることを想定して、借り換えを考えるべきでしょう。金融機関が一番嫌がるのは、急に借り換えをするということです。何の前触れもなく急に支店に来店して「今日、借り換えるので手続きをしてください。」という投資家もいるそうです。これでは担当者の立場も丸つぶれになってしまいます。長い期間お付き合いするのですから、僕は必ず情報を共有して報告をしていますね。

編集部:不動産投資をスタートする時には、融資対策を考えることはとても重要なんですね。

小林:そうですね。僕も何も知識がなかったので。不動産会社が「S銀行で融資をしましょう。」と収益物件とセットで持ってくるんですよ。ある意味スキームみたいになってしまっていて、もちろん融資もほぼ確実に下りますし、フルローンもいけるんですけれども。投資家にとっては楽ですよね。書類を揃えるのは不動産会社が代行してくれるので銀行に行く必要もないですし。しかし、それは楽な反面、金利を下げる努力を怠っているということです。そういうスキームに乗って購入をしていました。ですから、これから始める人はそういうスキームにできるだけ乗らずにスタートを切って欲しいと思います。

編集部:金融機関の開拓もやってしまうなんてすごい行動力ですね。

小林:大変なのは、行動している一時期だけだと思って行動しました。ここで動いた結果が、あとで効いてくるんです。やはり自分で動くと何かが見えてくる気がしています。ただ、今もサラリーマンで安定していたら、借り換えはしなかったと思います。やはり、ゆくゆくはサラリーマンを辞めたいという動機が大きかったんだと思いますね。

編集部:五棟目、六棟目を購入して、家賃収入が増え、ビジネスが軌道に乗ったところで、サラリーマンを辞めたんですよね?

小林:はい、2011年に辞めました。辞めた理由はもう会社がなくなってしまったからです。僕が勤めていた会社は外資系だったんですが、業績が芳しくなく身売りをした感じです。身売りされた会社に一時、出社していたのですが、家賃収入も増えているし会社を辞めても大丈夫だろうという見通しが立ったので、会社を辞めました。七棟目は会社を辞めて半年後に購入しました。七棟目を買って家賃収入が4000万円に到達したんです。サラリーマンを辞めていたので、融資は無理かなと思っていたのですが、それなりの規模の家賃収入が毎月あるので意外に貸してくれましたね。

編集部:今は法人で不動産を所有して節税しながら賃貸経営する方法もあるようですが、小林さんは個人で所有されていますよね。それはなぜでしょうか?

小林:一番大きな理由は、物件の所有権を法人に譲渡しないといけないので、税金や手数料がかかるということです。今のところ法人化のメリットを感じてはいませんね。

編集部:最後に、これから不動産投資をスタートする人にアドバイスをお願いします。

小林:ここの何かに注意しろということも大切なのですが、まずは物件を購入してみないことには話になりません。やはり買ってからがスタートだと思います。不動産投資をスタートする時に、リスクばかり考えて結局何もやらない人も多いかと思うんです。でも、それでは自分の人生は何も変わりません。リスクを本当に考えたいのであれば、情報を収集することだと思います。僕が不動産投資をスタートした時には、今ほど情報はありませんでした。書籍も少ないですし、インターネットにも情報は落ちていません。ところが、今は情報が収集できるので失敗をする可能性も低いと思うし、失敗してもリカバーすることができると思います。つまり、リスクは減っていると思います。これまで話してきたように、金利も低いし買いやすい条件は揃っているので、まずは買ってみることだと僕は思いますね。

インタビューを終えて…

ママチャリ大家こと小林ヒロシさんのインタビュー「完全自主管理で驚異の稼働率を達成している理由」をお届けしてきました。
とにかく売ることだけを考えている不動産会社に任せると、金利の高い金融機関を紹介されてしまうこともあるようです。金利の安い金融機関を見つけるためには、複数の金融機関と付き合いのある良心的な不動産会社にアレンジをしてもらうのが良いのかも知れません。

小林ヒロシさんの不動産投資手法がわかる『自主管理で年4000万円稼ぐマンション経営術』(洋泉社)。
自主管理で年4000万円稼ぐマンション経営術

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