高視聴率を叩き出した「ポツンと一軒家」に見る地方物件への需要

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最近人気のバラエティ番組「ポツンと一軒家」という番組をご存知でしょうか。その人気ぶりは大きな話題になっていますので、知っている方も少なくないと思います。

ただ人気番組というだけではありません。ポツンと一軒家の番組内容とその人気ぶりを考えると、空き家の増え続ける地方不動産への活路が見えてきます。今回は人気番組「ポツンと一軒家」に見る、地方不動産への需要を考えてみたいと思います。

人気テレビ番組「ポツンと一軒家」とは?

「ポツンと一軒家」とは、周りに人家のない一軒家をGoogle マップで探し、そこに暮らす住民の生き方や考え方を紹介する住宅バラエティ番組です。所ジョージと林修がメインパーソナリティを務め、テレビ朝日で放映されています。

このポツンと一軒家、深夜番組からゴールデンに昇格するや否や、これまでダントツの視聴率を誇っていた日本テレビ「世界の果てまでイッテQ!」をあっという間に抜き去ったのです。2019年6月9日の放送では番組初の20%超えを達成。同月23日には20.7%と番組最高視聴率を更新した今ノリに乗っている番組です。

芸能人や有名人ではない一般人の古民家暮らしを紹介するだけの番組が、何故こんなにも支持されているのでしょうか。調べていくと、どうやら現代日本の不動産事情も深く関係していることが分かってきます。

■参考:テレビ朝日 ポツンと一軒家

田舎暮らしを紹介するポツンと一軒家が人気の理由

「ポツンと一軒家」が人気の理由として考えられるのは主に以下の2つです。

  • 自分には無縁に思える田舎暮らしへの憧れ
  • 田舎の様子を映すのが上手い番組構成

自分には無縁に思える田舎暮らしへの憧れ

今の日本は、多くの人が仕事や人間関係、介護問題など、大きな不安を抱えながら生活しています。一度は煩わしいしがらみから離れて田舎でのんびり暮らしたいと考えたことがある人も多いでしょう。東京一極集中と言われながら、UターンやIターンで田舎の土地に移住する人もいます。

もちろん番組に登場する人は、ただ呑気に田舎暮らしを満喫しているわけではありません。田舎の土地事情から現地の人は様々な問題や事情を抱えています。分かりやすい例として、空き家問題や所有者不明土地の問題などが挙げられます。

上記のような理由から、実際に田舎暮らしに踏み切る人はほんのひと握り。田舎に暮らす人たちをテレビで見て、憧れを抱く人も多いと考えられます。ポツンと一軒家は、そんな田舎の不動産事情に対するポジティブな一面を映し出す番組とも言えます。

田舎の様子を映すのが上手い番組構成

ポツンと一軒家という番組は、番組スタッフが本当に何もない山の中などにある一軒家をGoogleマップで探すことから始まります。人里離れた場所にある一軒家を見つけたら、スタッフが事前調査なしで現地に向かうのです。

当然、道は整備されておらず行き止まりにぶつかったり、到着してみれば単なる空き家だったりなんてこともしばしば。この「冒険感」が人気要素の一つとも言えるでしょう。

  • 「どんな家なんだろう?」
  • 「どんな人が住んでいるんだろう?」
  • 「何でこんな辺鄙な場所に?」

こういった疑問が一気に解けるのが番組後半部分です。古民家に住む住民へのインタビューが進むにつれて、その人生ドラマが徐々に明らかになっていきます。ともすれば重くなりがちな住民の辛い過去も、所ジョージと林修の軽妙なまとめで明るい人生バラエティとして番組が進行します。

都会に住む人から見れば信じられないほどの土地も、「住めば都」と言わんばかりの明るい話題に仕上げる。自分の住む住宅事情とはかけ離れた別世界。それがポツンと一軒家の人気の秘密なのです。

田舎へ移住してポツンと一軒家は実現できない?

ポツンと一軒家を知る人の中には、真剣に地方移住を考える人もいらっしゃるでしょう。しかし、実際には「田舎へ移住してポツンと一軒家暮らし」を簡単に実現することはできません。これにはやはり不動産事情が深く関係します。

  • 自然な環境に不慣れな人が田舎に快適な住まいを作ることは困難
  • 一般的な不動産市場で売買されているような土地ではない

自然な環境に不慣れな人が田舎に快適な住まいを作ることは困難

「at home」や「LIFULL HOME’S」などを見れば、ポツンと一軒家らしき山奥の土地はいくつかあります。しかも100万円台の物件などもあり、一般人でも簡単に手が届く価格帯です。

問題は「自然な環境に不慣れな人が田舎に快適な住まいを作ることは困難」という現実。見渡す限り人家もなく、豊かな自然に囲まれた土地。逆に人家がないということは、水道・電気・ガスなどの生活インフラが整っていないということです。

ガスはプロパンガスで対応できるにしても、水は井戸水か近くの川から引いてくるしかありません。井戸を30mも掘ることになれば、ポンプ込みで最低でも30〜40万円はかかります。また場所によっては、木を何本も伐採して道路を作り、人が住めるような整備が必要になるでしょう。こういった作業を業者に頼めば数百万円はかかります。

一般的な不動産市場で売買されているような土地ではない

最も大きな問題は「山奥の土地はたいてい誰かが所有する農地」であること。「農地だとなにか問題が?」と思うかもしれませんが、実は農地法という法律で「農家でない限り、農地は買えない」と決められているのです。

「ポツンと一軒家を買う前に農業を始めなければいけない」これがポツンと一軒家暮らしを始めるための大きなハードルです。一般の人にとって、かなり厳しい条件ではないでしょうか。

そもそも自治体がその土地を「市街化調整区域」と定めていた場合も同様に住宅は建てられません。市街化調整区域とは「住宅の建築を制限して緑を残しましょう」という指定を受けた土地。農具を保管するための小屋を建てることすら制限されることもあります。

生活インフラを全て自分で何とかできる。そして住まいとしての土地を確保できるかどうか。ポツンと一軒家を実現するためには厳しい現実だらけなのです。

不動産として見たときの地方物件の需要

しかし、一般人にポツンと一軒家が絶対不可能ということもありません。数は少なくても田舎暮らし専門の不動産会社もありますし、雑誌やテレビでも頻繁に田舎暮らしの特集を組んでいるのを見かけます。

例えば、地方移住の専門誌「田舎暮らしの本(宝島社)」では、2013年から毎年「住みたい田舎ベストランキング」を発表。NPO法人ふるさと回帰支援センターでも、毎年約1万人にアンケート調査をする「移住希望地ランキング」を公開しています。

ふるさと回帰支援センターでは、直近で以下のようなランキングが公表されています。

【2018年移住希望地ランキング】
【1位】長野県
【2位】静岡県
【3位】北海道
【4位】山梨県
【5位】新潟県
【6位】広島県
【7位】福岡県
【8位】富山県
【9位】宮崎県
【10位】福島県
【10位】佐賀県
【10位】大分県
【13位】高知県
【14位】群馬県
【14位】山口県
【16位】愛知県
【17位】香川県
【18位】宮城県
【18位】和歌山県
【20位】長崎県

■出典:認定NPO法人 ふるさと回帰支援センター 2018年移住希望地域ランキング公開

更に、田舎の物件ばかりを大量に紹介する「田舎ねっと.日本」といった有名サイトも、田舎暮らしを検討する人に絶大な人気があります。
田舎ねっと.日本キャプチャ

■出典:田舎ねっと.日本

田舎暮らしとは少し違いますが、日本テレビが放映する「幸せ!ボンビーガール」の条件が悪いワケあり物件を紹介するコーナーも非常に高い人気を誇ります。

田舎の土地を持て余している地主や空き家の処分に困っている相続人などは多くいます。そういった不動産を見つけることができれば、田舎暮らしや昨今人気のサブスクリプション住宅として不動産投資に活用することもできるでしょう。農地や市街化調整区域に関しても、きちんと地元の人と人間関係を作り、適正な手続きを踏めば決して不可能ではありません。

都会での生活に疲弊し、自由にのんびりと暮らしたいというニーズは確実に存在します。田舎暮らしが注目される今だからこそ、地方物件の情報は大きな価値を持っているといっても過言ではありません。

田舎暮らしへの憧れをくすぐるポツンと一軒家を始めとしたメディアの人気ぶり見る限り、地方不動産の需要は高いと言えます。供給過剰と言われる住宅事情において、今後の不動産人気は地方にシフトしていく可能性も否めないでしょう。

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