サービスアパートメントは日本でも普及するのか

不動産コラム

20190531
空室対策にも先人の知恵が結集された様々な方法がありますが、少し視点を変えるとこれまでの賃貸住宅の概念を打ち破る新たなサービスも続々と登場してきています。その一つが「サービスアパートメント」です。

「サービス」と「アパート」の組み合わさった謎の名称に、いまいちピンとこない方もいらっしゃるでしょう。そこで、今回はサービスアパートメントとは何かを解説しつつ、果たして日本でも普及するサービスなのかを既存の賃貸住宅と比較しつつ考えてみたいと思います。

サービスアパートメントとは?

サービスアパートメントとは、「ホテル並みのサービスが受けられる家具家電付き高級賃貸住宅」を指します。礼金や仲介料は不要で、契約期間は1か月や1年以上と自由に設定可能です。

日本でも既に期間限定契約による家具家電付きのマンスリーマンションはあります。サービスアパートメントとの最大の違いはやはり「ホテルのような手厚いサービスを受けられること」です。

まずはサービスアパートメントで受けられる、具体的なサービスをご覧ください。

  • キッチン、家具、家電、日用品類を完備
  • 部屋タイプも好みで選べる(1R〜3LDKなど)
  • コンシェルジュ、24時間緊急サポート、ハウスキーピングなどホテル並みのサービス
  • 施設が併設されていれば、プールやジムが無料で利用できる
  • 朝食が提供される
  • 安心して暮らせるセキュリティも充実

サービスアパートメントは賃貸住宅であるにも関わらず、掃除やベッドリネン、クリーニングから緊急時の24時間サポートまであります。もちろん家具や家電のグレードは高く、日用品も完備されているのですから驚きです。

あくまでアパートメントですから部屋にキッチンや洗濯機もあるため、炊事洗濯もいつでも可能です。サービスアパートメントはまさに、スーツケース一つですぐに充実の生活をスタートできる高級アパートと言えるでしょう。

大手不動産会社もサービスアパートメント業へ続々参入

実はサービスアパートメントへは、不動産会社やハウスメーカーなどが続々と参入しています。古くからサービスアパートメントを展開してきた森ビルや住友不動産をはじめ、積水ハウスやダイワハウスなども参入してきているのです。

例えば、住友不動産は東京都内に8つのサービスアパートメントを展開していますが、2001年に神田でサービスアパートメント「ヴィラフォンテーヌ大手町」をスタート、そして2016年には六本木で最高級グレードの「六本木グランドタワーレジデンス」をオープンさせています。

では、もうすこし具体的にサービスアパートメントの中身をご紹介するため、六本木グランドタワーレジデンスのサービス内容を見てみましょう。

  • コンシェルジュサービス付きのフロント
  • ハウスキーピング
  • ベッドメイキング
  • 室内清掃
  • 水回り清掃
  • 朝食付き(パン・コーヒー無料)
  • 高速インターネット回線の無料使用
  • 多チャンネルケーブルテレビ無料視聴
  • 専用フィットネスルームの無料利用
  • 24時間英語サポート

もちろん物件によりサービスの違いはありますが、「家電家具・日用品完備」「手厚いホテルサービス」といったところはどの物件でも期待してよいでしょう。

水道光熱費も料金に含まれている上に追加料金が発生しないという、ハイグレードなサービスアパートメントが六本木グランドタワーレジデンスです。

■参考:住友不動産 六本木グランドタワーレジデンス

サービスアパートメント・民泊・OYO・賃貸を比較

先日、以下の記事にて「スマホ賃貸サービス OYO LIFE」なるものをご紹介しました。

OYOが提供するスマホ賃貸サービスで賃貸需要はどのように変わるか
「契約手続きなしで、すぐに入居可能」そんな斬新な賃貸サービスが始まっています。その名も「OYO LIFE」。 読み方は「オヨライフ」...

OYO LIFEはサービスアパートメントほどの高級サービスはありませんが、煩わしい契約手続きがないことや1か月から利用可能という点、家具家電やキッチンがあることを考えると、スマホ賃貸サービスは差し詰め「大衆版サービスアパートメント」といったところでしょう。

そして、数年前から注目を集め始めた「民泊」もあります。いよいよ日本も、住まいと宿泊という線引きが取り払われようとしているのを感じますが、一般の賃貸と比較しながらそれぞれの違いを見てみましょう。

 サービスアパートメント民泊OYO LIFE賃貸
契約方法賃貸契約なし定期借家契約賃貸契約
契約期間1か月以上1泊から1~3か月通常2年以上
入居審査ありなし予約時の審査ありあり
手数料等礼金・仲介手数料なしなしなし(退去時に清掃費用を支払う)敷礼・仲介手数料あり
賃料30〜70万円(月)2千円〜3万円(1泊)おおむね10~30万円物件による
主な設備家具家電・キッチン・フィットネスなどテレビ・寝具など家具家電付き・Wi-Fiなど建物の基本設備のみ
主なサービス24時間フロント・ハウスキーピングなど基本的に宿泊のみ特になし特になし

まず根本的に違うのが「契約方法」です。サービスアパートメントはホテルではなく、あくまでも長期滞在アパートメントですから一般の賃貸と同様に賃貸契約を結びます。また一般の賃貸は2年契約ですが、サービスアパートメントは最短1か月以上でも利用できます。

そう考えると宿泊サービスと言えるのは上記のうち民泊のみですが、どれにも共通している「賃貸住宅を活用したサービス」という点では、やはり時代が変わった証拠と言えるでしょう。

不動産投資としてのサービスアパートメントの可能性

近年では先行企業と競うかのように大手不動産会社やハウスメーカーもサービスアパートメント事業へ参入してきています。

積水ハウスフレイザースイート赤坂東京が2020年春開業予定
近鉄不動産ローレルタワー名古屋栄が2020年12月開業予定
野村不動産タイで積極的にサービスアパートメントを展開中

東京オリンピックが終了すれば次は大阪万博ですから、しばらくは建設ラッシュが続くものと考えられます。不動産投資という面では歓迎される状況と言えるでしょう。

ただ、サービスアパートメントが日本全国で流行るかというと、サービスアパートメントを利用する主な客層を考えると少し疑問です。サービスアパートメントは外国人ビジネスマンや富裕層がターゲットですから、その需要は東京23区や三大都市圏に限定されるだろうということも容易に想像ができます。

サービスアパートメントの一番のネックは「高額な賃料」です。快適なサービスや英語が話せるコンセルジュといった高品質のサービスを常に提供し続けなければならず、そこに多額の費用を払う文化は日本にはありません。

とはいえ、2020年の東京オリンピック以降のイベントを控え、今後もますます海外から訪れる人が増えることが見込まれます。サービスアパートメントの数が増えて競争原理が働くようになれば、賃料の低価格化が実現しないとは言い切れないでしょう。

そう考えると、時代の変化によってサービスアパートメントも案外ポピュラーなライフスタイルとして受け入れられる可能性もゼロではありません。今のうちに情報収集を始めてみても良いのではないでしょうか。

4.5/5 (4)

記事の平均評価