シェアハウス事件から見るサブリースと家賃保証の違いとリスク | 不動産投資を考えるメディア

シェアハウス事件から見るサブリースと家賃保証の違いとリスク

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シェアハウス問題の何故?サブリース、家賃保証の違いとリスクとは

ここ最近、シェアハウス問題や負動産、建築基準法違反に違法残業、民泊の規制強化など不動産業界のネガティブなニュースを目にする機会が増えたと感じる方は多いかもしれません。ニュース記事では主に「こんなことがあった」という事実のみが書かれているため、 不動産投資の初心者や不動産に関わる機会の少ない一般の方がそれを読んでも、「結局問題の根本は何だったのか」といった核心部分までを理解できる方はそう多くはありません。

今回は、直近のシェアハウス問題やサブリース事件などを中心に不動産投資に関するニュースを紐解き、「シェアハウスの何が問題だったのか」「サブリースと家賃保証の違いとは何か」という事やそれらのリスクと問題点、回避方法などを詳しく解説させていただきます。

直近のシェアハウス・サブリース問題

昨年の中頃から今年の初めにかけて、レオパレスやスマートデイズといった会社のニュースがよく報道されていたのは記憶に新しいところ。しかしその後、これらの問題は解決するどころか各訴訟に持ち込まれて泥沼化している様相がうかがえます。まずはこれら直近のニュースの概要と問題点を振り返ってみましょう。

レオパレスのサブリース問題まとめ

2017年9月に最も不動産業界で話題になったのが「レオパレス集団訴訟問題」。LPオーナー会を代表として、物件の修繕費用の返還を求めて集団訴訟を起こしたというものです。

しかし、問題は修繕費の返還だけに留まらず、「サブリース契約の内容からして、その実態には違法性がある」ということで、原告と提訴を検討する人を合わせて実に100人近くにも上りました。

その後も、様々な理由で訴訟を起こされているレオパレス。本件は、本サイトでも以前取り上げさせていただいています。

レオパレス問題悪化!明らかになる建築基準法違反と隠ぺい体質
レオパレス問題悪化!明らかになる建築基準法違反と隠ぺい体質
サブリースに端を発したレオパレス問題。2014年1月に設立された「LPオーナー会」が被害者の会を設立することが明らかになりました。 昨年9月...

では、レオパレスは何を理由に訴えられることになったのか。主な理由は以下のようなものです。

  • 10年間、変わらぬ家賃で経営できると言われたが、実際には業績悪化を理由に家賃を減額された上、業績回復後も減額家賃のまま
  • 物件設備の修繕費用を支払っているが、実際には修繕されていない
  • 賃料減額を拒否したら、サブリースを解約するという話になった

これらの事実を確認するためにレオパレス21の公式サイトを見ると、10年どころか「30年一括借り上げシステム」という魅力的なサービスを大々的に謳っていることが確認できました。しかし、レオパレス訴訟で争われているのは、まさにその家賃保証の部分。同ページを確認すると、

「家賃保証や管理委託手数料の分、賃料収入を低く設定する」
「借上げ賃料は2年毎に見直し」
「30年一括借り上げ契約は建物完成後」
「3ヶ月の募集期間中は借上げ賃料は支払わない」

といった不安を覚えざるを得ない内容が書かれていることに気付きます。そして最後に、このような注意文言で締められています。

「その他、詳細につきましては建物賃貸借契約書をご参照ください。」

■参考:レオパレス21公式サイト
https://www.leopalace21.jp/land/apartment/system/sublease.html

実際の契約書を見ないと何とも言い難いですが、全国で訴訟が起こっていることから、契約書の内容、サービス内容、営業担当の説明とは異なる部分があったのではないかと推測されます。

≪問題のポイント≫
この問題のポイントは「家賃が保証されると説明された」「賃料減額を求められた」「サブリースの解約」という3つとなります。

スマートデイズのシェアハウス問題まとめ

続いて最も記憶に新しい、「かぼちゃの馬車」「スマートデイズ」「シェアハウス」「スルガ銀行」といったキーワードからなる事件。

スマートデイズ社が立ち上げた女性専用シェアハウス事業「かぼちゃの馬車」は、以前あのベッキーさんもCMに出演していました。ベッキーさんからしてみると、例の騒動が沈静化した復帰直後に出演したCMでこのような大問題が発覚したわけですから何とも皮肉なものです。

そんなスマートデイズ社ですが、物件に興味を持ったオーナーに対して「30年間サブリース!利回り8%!」を謳い、次々とシェアハウス物件を販売していきました。売り上げも一時は300億円を超えており、このまま事業拡大かと思われた矢先に事件が発覚します。この事件の概要を時系列で見てみましょう。

  1. 賃料を支払えなくなったとオーナーに通知が来る
  2. 実際に賃料の支払いがストップ
  3. 実は賃料保証できるほどの家賃収入はなく、新たな物件購入で得られる利益とスルガ銀行の融資が頼りの「自転車操業」だったことが発覚
  4. スルガ銀行による不正見逃しも発覚し、集団訴訟に発展
  5. スマートデイズ社の破綻

まとめると、スマートデイズはシェアハウス事業による家賃収入が実際にはほとんど得られておらず、スルガ銀行が融資を停止した事で家賃保証ができなくなり、1億円以上の負債を抱えるオーナーが続出、更に最悪なことに自殺者まで出る事態になりました。

スマートデイズ問題については、当メディアでも何度か取り上げています。

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3つ目の記事にもあるように、元々シェアハウスという事業自体にリスクが山積しており、簡単に「30年サブリース」と謳えるような代物ではありません。

家賃保証されなくなれば、高額債務の返済は当然オーナーが全て負担しなければならず、仮に1億円の物件をスルガ銀行の3%を超えるローンで購入していたとすると、毎月40万円の返済となります。

スマートデイズのシェアハウス案件には、入居者に職を斡旋して起業から斡旋料を得る仕組みも説明されていたようですが、いずれにしろここまで高額な案件であれば、「本当に家賃保証してもらえるのか?」「そもそもサブリースする会社の経営状態は?」「物件価格と賃料は妥当か?」といったことを疑ってかかるべきだったのでないでしょうか。

サブリース・家賃保証契約には盲点が?

もう一つ、今度は弁護士ドットコムにある相談内容からの抜粋です。区分マンションを所有する相談者の話ですが、サブリース会社と家賃保証契約を結んでいるものの、以下のような理由から家賃保証契約の解除を検討しているそうです。

  • 入退去の際に発生したリフォーム料金が高い
  • その会社がリフォーム業者を一方的に決めた
  • 次回以降は他業者でと依頼するも守られず
  • 「マンション投資で失敗して自殺した人もいる」という脅しとも取れるメールが送られてくる

何とも酷い内容で、一見すぐにでも解約できそうに見えます。しかし、相談者の言う「家賃保証契約」がどのような内容なのかによって解釈が異なってきます。

もしこれが、サブリースなどの賃貸借(転貸借)契約、もしくは家賃保証の定められた賃貸借契約等であれば、サブリース会社が賃借人。
ご存知の方も多いと思いますが、日本の法律では賃借人有利になっていますので、オーナーからの解約は簡単にはできません。この相談に答えた弁護士も契約内容を「賃貸借契約」と受け取って回答していますが、もしそうであれば、そう簡単には解決できない問題と言えるでしょう。

■参考:弁護士ドットコム「サブリース契約の契約解除に関する正当事由にあたるかに関する質問です」
https://c-1012.bengo4.com/c_11/c_1745/c_1746/b_565551/

≪問題のポイント≫
相談者もある程度知識をお持ちのようで「これらの行為は家賃保証契約解除の正当事由にあたるか」と言うことを質問しています。
それも大事なのですが、弁護士も確認しているように「どのような契約か」というところから説明、確認する必要があります。
賃貸借契約であれば、抽象的になりがちな「正当事由」を証明して裁判で争わなければなりません。なぜなら、「解約したいのにできない」というのは、サブリース問題で見落としがちな大きなリスクだからです。

「サブリース」「家賃保証」「マスターリース」の違い

サブリース?家賃保証?マスターリース?

ここまで、世間一般によく耳にするようになったサブリースや家賃保証といった問題について、実際のニュースや事例等を見てきましたが、恐らく最後の事例を読まれて「サブリースと家賃保証って違うの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

そう、サブリースと家賃保証は似て非なるものなのですが、その違いによってリスクや問題点にも違いが生まれることがあります。
そこで、上記のニュースや事例から見えてくるリスクを洗い出すため、まずはサブリースと家賃保証の違いを見てみましょう。

トラブル原因となった問題の共通点

まず、上記までの事例で問題となったポイントを絞り込むと見えてくる共通点があります。それは以下の2点です。

  • サブリース契約は先方都合で解約できてしまう
  • 家賃保証されるという説明があったが、実際には賃料減額、未払いがあった

サブリースや家賃保証でトラブルになる事案は多く、相談内容も複雑になりがちなため個々のケースがまるで違った原因のように思えますが、多くの場合、問題の根本は以上の2点にまとめることができます。

次にサブリースと家賃保証の違いについて見ていきましょう。

「サブリース」とは?

最初にサブリースの解説をさせていただくにあたり、下図をご覧ください。

サブリースの仕組み

サブリース(sublease)とは、直訳すると「代わりに借りる」。つまり、サブリース会社が物件を借りて、入居者に又貸しをする「転貸借契約」となります。

この契約においてサブリース会社は借主であり貸主でもありますので、一般的には物件管理や入居者対応、滞納家賃の督促といった業務を一括して行ってくれる場合が多く、その代行手数料として家賃の10~20%程度の金額+敷金礼金をサブリース会社で徴収し、残った賃料のみをオーナーに支払うという仕組みであることが多くなっています。

「家賃保証」とは?

対する「家賃保証」ですが、これは少々ややこしい部分がありますので、同じく図をご覧いただきながら解説させていただきます。

家賃保証の仕組み

家賃保証には2つの意味があり、「滞納があった場合の家賃保証」と「空室になった場合の家賃保証」に分かれます。

賃貸物件に住んだことのある方ならイメージしやすいと思いますが、連帯保証人不要の代わりに保証会社へ保証料を支払って保証人になってもらうという内容で賃貸契約をするケースがあります。これが、上図の「家賃滞納があった場合の保証」です。

そして「空室になった場合の家賃保証」のイメージが下図です。

空室になった場合の家賃保証

この場合の家賃保証はサブリースと混同されがちですが、明確な違いがあります。

まず多くの場合、家賃を保証するにあたって「新築か築浅の物件」や「管理はオーナーが行う」「数ヶ月の免責期間を設ける」といった条件を付けられます。

この家賃保証の形態は「空室保証」と呼ばれることもあり、家賃保証会社が物件を借り上げるわけではなく、入居募集や家賃収納代行などの物件管理以外の業務を行う代わりに家賃収入から手数料を徴収するという仕組みとなっており、空室になっても家賃を保証してくれるというメリットがあります。

こうした家賃保証を行う会社はサブリースと比べて賃料の一部の手数料のみが利益となるため、上記のように条件付きでの契約となる場合が多いのです。

「マスターリース」とは?

サブリースと家賃保証の違いが随分ハッキリしてきました。ただし、もう一つ「マスターリース」という言葉があります。これもサブリースと混同されがちですので、併せて違いを覚えておきましょう。

マスターリースは、どちらかというと商業用不動産、つまりビルやテナントなどの賃貸借で使われる用語です。
例えば、5階建ての中規模ビルを所有していたとします。それをサブリース(転貸借、又貸し)されることを前提として、オーナーが企業や信託会社に貸し出す。これが「マスターリース」です。

一般のアパートの一括借り上げシステムと同じ仕組みですが、通常の不動産投資でマスターリースという言葉を使うことはあまりありません。とはいえ、稀に営業マンから「当社にマスターリースでお貸しいただき…」と説明される場合もありますので、頭の片隅にでも入れておくと良いでしょう。

シェアハウスやサブリース事件。どうすれば被害を防げたのか

どうすれば…

さて、後回しになっていたシェアハウスやサブリースの事件から見えてくるリスクや問題点ですが、改めてこれらの事件に共通する点と整理すると以下のようになります。

  • サブリース契約は先方都合で解約できてしまう
  • 家賃保証されると説明があったが、実際には賃料減額、未払いがあった

それぞれのリスクや問題点はこの2点に集約されていると言っても過言ではありませんが、もう少し深く掘り下げて考えてみましょう。

まず、サブリースに関するリスクや問題点ですが、そもそもサブリース会社は賃借人にあたるため、解約が比較的自由にできてしまいます。
賃貸契約においては、契約書に「解約は〇ヶ月前に通知する事」といった取り決めがされていることがほとんどですが、これは賃貸人の収益の安定性を保つためでもあり、民法でも定められています。

では逆に、オーナーが賃貸契約を解除する場合はどうかというと、「住まい」という賃借人の最低限の権利を守る目的から、正当事由が認められない限りは簡単に解約できないことになっています。

どうしても解約したい時には、裁判等で正当な事由があることを明らかにする必要があり、必ずしもそれが認められるわけでもありません。
つまり、サブリース契約において「入居者が見つからなくなった途端にサブリース契約を解除されてしまった」「サブリース会社が信用できないからサブリースを解約したいのにできない」といった問題が発生しがちなのです。

そして家賃保証に関するリスクと問題点です。これはもはや、その会社の信頼性を見極める他ないとも言えますが、スマートデイズ社のように上辺はメリットだらけの説明をしておきながら、会社内部で何が行われていて、どんな経営体制なのか等を説明しない企業も少なくありません。

つまり、家賃保証をすると言った会社が、本当に保証できるスキームや企業としての体力があるかどうかが見えづらいのです。一連のシェアハウス問題は、それらを確認せず物件を購入してしまったために起きた事件とも言えるでしょう。

では、これらのリスクや問題を回避する方法はなかったのでしょうか。

リスク回避方法1「サブリースや家賃保証の契約書をよく確認する」

もう一度レオパレスのサブリース問題の部分を読み返してみましょう。
「30年一括借り上げ!」と明確に謳っておきながら、小さな文字でレオパレスに有利な注意書きが並んでいました。

例えば「2年毎に賃料を見直す」という部分。これは明らかにサブリース契約における明確なリスクです。

さらに怖いのは「30年一括借り上げ契約は建物完成後」という部分。
建物完成前なら入居できませんので当然のようにも思えますが、アパートを建築する当初は「30年一括借り上げのサービスがありますから」と説明されても、実際に契約するのは建物の完成後です。
契約を確約して貰うか、2年毎の賃料見直しという文言自体を見直してもらわないと正直リスクが高すぎるのではないでしょうか。

しかも、レオパレス21のホームページには「一括借上げシステムの適用につきましては一定の基準があります」という文言もさらっと記載されており、「適用外になったらサブリース契約は解約される」というリスクがある事も分かります。

このように、サブリース契約は会社側に有利な内容になっていることが多いため、その場で決断することは避け、専門家などに相談するのがベストです。

リスク回避方法2「入居者が見込めなければ物件を持たない」

これは賃貸経営における大原則です。もちろんサブリース会社や家賃保証会社にとっても同様で、それら会社の収益源となるのも「家賃」であることを再度認識しておきましょう。

つまり、家賃が入ってこなければ保証も何もありませんし、その会社の経営自体も危うくなります。よって、サブリース会社が家賃を得られなくなった際に、何かと理由をつけて契約解除や保証家賃の減額交渉をしてくるのは、ごく自然なこととも言えます。

基本的に入居が見込めない立地で物件を持つこと自体がリスクであり、明らかに入居が見込めないのに何故家賃保証できるのかという部分は深く疑ってかかるべきです。そもそも、入居が見込める立地や物件であれば、サブリースや家賃保証自体が必要ないのですから…

リスク回避方法3「会社の評判、信用、経営状況は念入りに確認する」

残念ながら、今回ご紹介させていただいたような問題はレオパレスやスマートデイズだけに限らず、サブリースを行っている会社の多くで似たような問題が数多く報告されています。ニュースや報道などで表沙汰になっていないだけで、口コミを調べてみると何とも酷い話がゴロゴロ転がっています。

社名を出して批判することは業務妨害になる可能性がありますが、インターネット上ではそれを知ってか知らずか、とにかく酷い誹謗中傷で溢れかえっています。ただ、これらの情報はオーナーとしては貴重な情報源であり、その会社を信頼すべきかどうかの1つの判断材料にもなります。

よく火のないところに煙は立たずと言いますが、圧倒的に誹謗中傷の多い会社や、自社サイトに財務状況すら公表していない等、信頼のおけない企業とは絶対に契約すべきではありません。

まとめ

今回は昨年から今年にかけてニュースやメディアで大きく話題となったシェアハウス問題やサブリース問題について解説させていただきました。

「サブリース」と「家賃保証」は混同されがちですが、実はこの違いをよく理解していないのは一般の方だけでなく、不動産業者にも存在します。
そもそも、サブリースと家賃保証に明確な定義が定められているわけではありませんので、サブリース契約のことを「家賃保証サービスです」と謳うこともありますし、逆に家賃保証サービスの事を「一括借り上げなので家賃が保証されます」という風に説明する担当者もいます。

改めて申し上げますと、これらの違いや契約内容により賃貸経営におけるリスクヘッジの方法は変わります。どのような契約形態であって、オーナー不利となるような条項が記載されていないか、そして契約するその会社自体は怪しくないのか。
目先のメリットだけにとらわれず、こうした隠れたリスクを探して潰していくことが、トラブルに巻き込まれないための最善策となるのではないでしょうか。

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