差別化戦略「DIY可賃貸」の需要、その現状とは? | 不動産投資を考えるメディア

差別化戦略「DIY可賃貸」の需要、その現状とは?

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最近では、賃貸物件を探す際のカテゴリが増えてきています。その証拠に、大手不動産ポータルサイトでは絞り込みできる条件が増えており、その中に「DIY可」というカテゴリ検索があります。DIYと言えば、メディア等で紹介され世間にも馴染みのあるワードです。このようにDIYが可能な「DIY可賃貸」は、エンドユーザーの需要に対応できているのでしょうか。今回は、DIY可賃貸のような差別化戦略の実態ついてピックアップしていきたいと思います。

DIY可賃貸に期待できる効果

国土交通省では空き家対策として、2016年から「DIY可賃貸借」の普及を進めています。不動産投資において空き家問題は収益に直結する要因となるため、このDIY可賃貸借によってどのような効果が期待できるかが気になるところです。

長期的な入居が見込める

実は、壁紙などのカラーにこだわっている借主は多く、契約を左右する決め手となるケースもあります。そのため、現在の壁紙が気に入らなかったとしても、借主自身が好みのDIYを行うことにより、飽きることなく長期的な入居に繋がる可能性が期待できます。

手間がかからない

通常リフォームや修繕などの手間がかかるところ、借主自身がDIYをするおかげでオーナーである貸主の手間や費用がかからないというメリットがあります。また、その分賃料も相場より低めに設定することが可能なため、「借主が契約しやすい」環境を作り出すことができます。

DIY可賃貸で抑えるべきポイント

ただ単に「DIY可」を看板に掲げるだけでは上手く賃貸経営できるとは限りません。そこで、最低限抑えておきたいポイントをまとめてみました。

(1)コスト問題

所有物件をDIY可賃貸とする場合、貸し出す時点での修繕負担は少ないですが、入居してDIYを行った借主が退去した際はコスト問題に注意が必要です。次の募集にかけて新たに壁紙などを貼り替えるのであれば、“原状回復費用以上のコストはかけない”ということを意識すべきです。そのため、敷金の設定価格が重要となるでしょう。

(2)仲介会社との意思疎通

DIY可賃貸を取り入れるにあたって、仲介会社や管理会社との意思疎通は欠かせないものになります。特に入居希望者が仲介会社に訪れて質問のあった際、「物件のオーナーに聞いてみます」という事態は避けたいところ。仲介会社はなるべく早く契約に持っていきたいため、不明点を先延ばしにする可能性があり、結果的に“借主に想定外”となるケースが発生する可能性があるのです。

(3)時期の設定に注意

DIY可賃貸を繁盛期となる「2~4月」などの期間に実施することはあまりお勧めしません。この期間は、新生活を迎えるユーザーが多く、できるだけ内覧回数を増やす方が効率的だからです。DIY可賃貸であれば、閑散期となる「7~8月」あたりのスケジュールがお勧め。時期によって方向性を変えることも仲介会社との意思疎通が重要になってきます。

(4)契約条件の設定

長期間入居してもらうためには、初めてDIY可賃貸を利用する入居者を放置しないことが大切です。入居者の希望を第一に考え、そこから相手のライフスタイルや環境に合ったカスタムを提示しながら一緒に進めていくことにより、空室問題へのアプローチが期待できます。また、カスタムしたのにも関わらず、早々に退去されてしまうと大きなダメージとなってしまうため、契約時に「1年未満の退去は違約金が発生」などの契約条件を付けると良いでしょう。

DIY可賃貸の実態とは?

大手不動産ポータルサイトでは「DIY可」のカテゴリーがあるものの、実際に登録している物件はそれほど多くありません。理由の1つにはまだ世間に浸透していないことが考えられますが、DIY可賃貸自体がまだまだ模索段階であるため「効果が享受できない」というオーナーの体験もあるからです。

具体的に言うと、実際にDIYできるボリュームが限定されていることが挙げられます。DIYとなれば通常壁紙程度が限界で、それ以上はリフォームになってしまいます。また、部屋を原状回復工事前の状態で内覧すると、工事やDIYが終わった後の状態をイメージしにくいため、どうしても入居成約率が低くなってしまいます。

よって、DIY可賃貸を取り入れる場合は、賃料などのコストを抑えてカスタムの範囲は借主に任せる「消極的カスタマイズ」、あるいはグレードの高い物件を対象にしてカスタムの範囲はオーナーが限定する「積極的カスタマイズ」のように極端な振り分けが必要になってくるのではないかと考えられます。

まとめ

現状のニーズに対応できているとは必ずしも言えない差別化戦略、DIY可賃貸。今のところはメリットよりも、個人オーナーが実践するハードルの方が高いと言えます。しかし、賃貸には「壁紙や設備にダメージを与えてはいけない」というイメージが根付いており、快適性が最大限に発揮されるとは限りません。

一方のDIY可とすることによって、自分の住みやすい賃貸を求めることができます。この点は、空室対策などに繋がる可能性が十分にあるため、空室問題に悩まされているオーナーにとっては逆転の一手となるかもしれません。

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