IR法案のカジノ誘致。不動産投資家が手放しで喜べない5つの理由 | 不動産投資を考えるメディア

IR法案のカジノ誘致。不動産投資家が手放しで喜べない5つの理由

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カジノ・ルーレット

まさに賛否両論。未だ意見の割れたままの状態が続くIR法案ですが、参院審議入りが決定し、IR法案がそのまま可決されるだろうと見られています。立憲民主党などの反対政党もありつつ可決へ一直線となっていますが、世論に対するIRへの理解も浅い状態のまま進められていることから、与党への不信感の要因にもなっているようです。

さて、そもそもIR法案によるカジノ誘致は、周辺地域の活性化や地価上昇などの良い影響があると言われていますが、果たしてそれらは本当に手放しで喜べるものなのでしょうか。今回は法案可決を前に、改めてIR法案とカジノ誘致がどのようなもので、デメリットが解消できているのか考えてみたいと思います。

IR法案をおさらい

カジノ誘致の話題に上るようになったが2013年以降。それ以前からIR法案の先駆けとなる動きはありましたが、2013年に日本維新の会がIR推進法を衆議院に提出したのが最初と言えるでしょう。そこから一気にIR推進法は現実味を帯びるようになり、今年に入りIR実施法案が閣議決定した上、今年6月に賛成多数で可決されました。

IR法案とは

そもそも、IR法案と一言で表されることの多いカジノ誘致の話ですが、正確には「Integrated Resorts(統合型リゾート)」を指しており、法案の正式名称は「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」となります。つまりカジノだけでなく、ホテルや商業施設、レストラン、MICEと呼ばれる国際会議場やイベント場などを統合した施設整備を進めるための法案です。

IR法案の中身

IR法案の目的は、観光や地域経済の活性化による財政基盤の強化を目的としており、主に以下のような事が定められます。

  • 観光産業や地域経済を行うため民間企業が設置運営する
  • 地方自治体の構想は尊重する
  • 関係者に対する規制
  • 施設の数は3を超えてはならない
  • カジノ運営による悪影響の排除
  • 日本人による利用の制限
  • 入場料の設定

進捗としては、参議院への審議入りと上記3施設という制限、日本人への入場料の設定などが主な話題として取り上げられることが多くなっています。

IR法案による3つのメリット

では、このIR法案が成立することでどのようなメリットがあるのでしょうか。一般的に言われているのは以下のような3つです。

観光客の増加

2020年東京オリンピックに向けて海外からの観光客が増えることは間違いないでしょうから、その経済効果が見込まれます。その効果は2兆円を超えるとも言われており、オリンピック後の経済の落ち込みが懸念されている政府としては、何としてもIR法案を通過させたいと考えるのは当然のことでしょう。

雇用の創出

別名「カジノ法案」と言われることもあるIR法案ですが、本来は統合型リゾート施設を作るためのもの。よって、IR施設の運営が始まれば、レストラン、ホテル、温泉、ジム、映画館、劇場などの様々な場所で働く人が増えるわけですから、雇用の創出にも大きく寄与することになります。

インフラ整備による周辺地域の活性化

外国人観光客だけでなく、日本人もその場所に訪れるという事は、周辺地域の商業にも良い影響を与えることになります。訪れる人を歓迎する以上、道路、鉄道、空港、各施設などのインフラ整備も進むことになります。結果、周辺地域の人々の利便なども向上し、さらに観光客による周辺の商業も盛り上がることに繋がります。

IR法案とカジノ誘致。不動産投資家は喜べない5つの理由

メリットだけ見れば、良いことずくめのようにも思えますが、問題が無いわけではありません。不動産投資家視点で一般的なデメリットを見てみると以下のようなものがあります。

嫌悪施設としか見られていない

近所に大型パチンコ店があったらと想像してみてください。住宅関連の不動産関係者にとって開発の邪魔としか見られず、近隣住民からしても嫌悪施設とされます。同じくアパートや戸建てなどの賃貸を生業とする不動産投資家から見ても、家賃収入減となる可能性があるため、歓迎できない理由の一つになります。

治安の悪化に対する懸念

もう一つはパチンコ店が近くにあった場合の懸念です。ギャンブルには反社会勢力が付き物と言っていいことは周知の事実ですが、ギャンブルに負けた人が周辺地域で問題を起こしたり、反社会勢力が地域で暗躍するなどの問題は排除しきれません。不動産投資という視点からして治安は大変重要です。平和だった街に突如としてならず者が現れるようになれば、地域としての魅力が落ちる可能性は否めないでしょう。

必ず地価が上がる保証はない

IR法案により地価上昇の期待が高まっている地域は確かにあります。しかし、確実に地価上昇が起こるとは限りません。むしろ、現在候補として有力な大阪、長崎、横浜といった場所は既に地価上昇が見られており、今からキャピタルゲインを狙った不動産投資をするというのはいかがなものかという向きもあります。

東京スカイツリー周辺の土地も結局一時的に価値が上がっただけだったという調査結果もある事から、地価が上がる事だねをIR法案成立のメリットとして考えるのは一旦見直したほうが良いかもしれません。

周辺地域の商業が活性化する保証はない

IR施設ができることで周辺地域も潤うと言われていますが、実はそうとも言い切れない可能性があります。例えば、近所のスーパーなどで考えてみましょう。細々と営業していたスーパーが、当然近所に大きな商業施設ができて潰れてしまったなんてことはよく聞く話です。これと同じことがIR施設周辺でも起こるのではないかと言われています。

確かに、多くの魅力的な商品やサービスが整うIR施設があるのに、わざわざ周辺の商業施設で同じものを買おうという人は少ないでしょう。値段の違いはあっても、カジノや温泉、プール、映画館まで揃った施設に行こうという人の方が圧倒的に多いと考えると、一概に周辺地域が盛り上がるとは言い切れません。物件周辺に利便性の高い施設があるかどうかは、不動産投資家にとって重要なポイント。IR施設がある事を本当に売りにできるかというと疑問が残ります。

キャパオーバーと違法民泊が増える可能性

さて、最後の懸念ですが、ずばり周辺地域が訪れる人を支えられるかということです。IR施設ができれば、観光客が増えることはほぼ間違いないでしょう。

しかし、その受け皿となる周辺地域のキャパシティは大丈夫なのかという疑問の声もあります。特に大阪は、IR施設の開発だけでなく大阪万博の誘致の話もあることから、それらの宿泊施設がキャパシティオーバーになると言われています。

既に民泊に対して前向きに取り組みが行われている大阪ではありますが、逆に違法民泊も多いのも事実。ホテルよりも安いところに宿泊したいという観光客も多いでしょうから、違法民泊が増える可能性も懸念されます。

あくまでこれは一つの例ですが、宿泊施設以外にも、観光客が激増した場合の周辺地域のキャパシティは一つの問題として考えられており、溢れ出た観光客による風紀の乱れは不動産投資としての魅力を減退させる可能性が否めません。

まとめ

政府は時に、机上の理論で話を進めてしまって「こんなはずでは…」という結果となる政策を無理やりに進めることがあります。直近の例でいうのであれば、プレミアムフライデーが良い例でしょう。当初、消費改善や雇用改善を狙ったものでしたが、導入した企業は10%にも満たないと言われており、効果はほとんどないと言っても良いでしょう。「こうしたらこうなる」という、不確定要素の多い法案を強行採決で可決させてしまう事も多い日本国政府は、今回も自ら作ったIR法案という大きな課題で自らの首を絞めることにならないだろうか。既に今回解説させていただいた以外にも多くの反対論がある中、失敗した時のシワ寄せは結局のところ自治体に行くのではないかと思わざるを得ません。

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