渋谷マルキューも!?東京23区の5大危険ビルと耐震化が進まない理由 | 不動産投資を考えるメディア

渋谷マルキューも!?東京23区の5大危険ビルと耐震化が進まない理由

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倒壊の危険がある東京5大ビルとは

突然ですが、世界200ヶ国中で日本の国土はどのくらいの割合かご存知でしょうか。なんと、日本は世界中の土地の0.3%ほどの割合しか占めておらず、ランキングにすれば200ヶ国中60位以下となります。そんな小さな島国である日本ですが、マグニチュード6以上の地震の約2割は日本で起きていると言われており、どうやら日本が地震大国という事実は間違いないようです。

建物の耐震化は先の大地震によって急務だとされていますが、東京都が先日発表した「耐震診断が義務付けられている建築物の耐震診断結果等の公表について」という資料内容が各メディアで煽情的に報じられています。今回は、東京23区で倒壊の危険があるとされる5つの超有名ビルと、日本のビルの耐震化が進まない理由をお話させていただきたいと思います。

倒壊の危険がある5つのビル

下記にご紹介させていただくのは、東京都が公表した「要安全確認計画記載建築物(特定緊急輸送道路沿道建築物)の耐震診断結果」と「要緊急安全確認大規模建築物の耐震診断結果」による安全性を「Ⅰ~Ⅲ」の3段階で分けた評価です。なお、3段階の内訳は以下のようになっています。

  1. 震度6強から7に達する程度の大規模の地震の震動及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性が高い。
  2. 震度6強から7に達する程度の大規模の地震の震動及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性がある。
  3. 震度6強から7に達する程度の大規模の地震の震動及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性が低い。

では、この3段階で評価された建物の中から、安全性が低い「Ⅰ」と評価されたビルにどのようなものがあるか見てみましょう。

紀伊國屋ビルディング

1964年3月に竣工した、新宿のシンボルとも言える紀伊國屋ビルディング。昨年、築50年を超えたランドマークとして「東京都選定歴史的建造物」に指定されました。しかし、店舗棟、ホール棟共に安全性の評価はⅠとなっていることから、歴史的建造物指定による制限と耐震工事をどのように折り合いを付けていくかが課題となっているようです。

道玄坂共同ビル(SHIBUYA109)

若い人に知らない人はいない「渋谷マルキュー」ですが、実は「道玄坂共同ビル」というのが正式なビル名です。ビル名を意外に思われたかもしれませんが、実はこの渋谷マルキューのビルも、安全性の評価でⅠとなっています。1975年に竣工してから築年数が40年を超え、安全性評価はⅠとされましたが、2019年に耐震工事が行われることが決定しています。

ニュー新橋ビル

サラリーマンの聖地と呼ばれて有名な新橋。駅の西側にある日比谷口と烏森口を出てすぐに目の前に現れるニュー新橋ビルは、ハチの巣のような外観が印象的で、ニュース番組のインタビューの場所としても度々登場することから、知らないという人は少ないのではないでしょうか。竣工は1971年2月。築47年経過した同ビルは有名店も多く入っているため、耐震化への対応が急がれます。

六本木共同ビル(ロアビル)

東京メトロ六本木駅に程近いロアビル。ビルの外壁ある「ROI」という赤い文字を見たことがある方も多いのではないでしょうか。1973年3月に竣工したこのビルも、建物内はリフォーム等が行われて比較的にキレイにされていますが、今回の安全性評価でⅠとなったことをキッカケに解体されることとなりました。

アブアブ赤札堂 上野店

1970年竣工のアブアブ上野店。建物には「ABAB」と書かれていますが、上野近辺を歩いたことのある方は「なんて読むの?」なんて思われたことのある方も多いのではないでしょうか。安全性評価Ⅰとされましたが、現在は建て替えと耐震工事のどちらを行うか検討中との報道もあります。

■参考:東京都 耐震ポータルサイト「耐震診断が義務付けられている建築物の耐震診断結果等の公表について」
http://www.taishin.metro.tokyo.jp/tokyo/seismic_index.html

日本のビルの16%が倒壊の危険!?

23区における倒壊の危険性のある主な有名ビルを取り上げましたが、まさか、若い人に知らない人はいない渋谷マルキューまで含まれているのに驚いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

つい先日、国土交通省内にある建築分科会で行われた「建築物等事故・災害対策部会」が行われ、そこで報告された内容もまた、世間を驚かせる内容となっています。調査報告では震度6~7程度の大規模地震に見舞われた際、和歌山県を除く全国45都道府県の要緊急安全確認大規模建築物1万600棟のうち、なんと16%にあたる1700棟が倒壊する危険が高いⅠ、もしくは危険性があるⅡであったとしています。しかも、倒壊する危険性のあるⅡよりも倒壊する危険が高いⅠの建物の方が割合が多く、9%にあたる約1000棟が倒壊する危険性が高い建物となっているのです。

■参考:国土交通省「建築物等事故・災害対策部会」
http://www.mlit.go.jp/common/001232674.pdf

同資料によると、平成24年に内閣府が発表した南海トラフ地震が起きた際の被害は建物被害で最大で240万棟、死者は最大で32万人にのぼるとしています。そして翌年には、一定の基準を設けた大規模建築物に対して耐震診断の義務付けを行う「建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律」を制定し、診断結果は公表することとされていました。

実は、先ほどご紹介させていただいた東京23区の倒壊の危険があるビルの公表は、この改正された建築物の耐震改修の促進に関する法律に則って診断結果を公表したものなのです。ビルオーナーや入居する人たちからは、ビル名の公表でイメージが落ちるといった反発の声もあるようですが、かといって事実から目を背けてはいられないほど、事態は芳しくない状況と言えるのではないでしょうか。

なぜ日本のビルは耐震化が進まないのか

ではなぜ、日本のビルの耐震化はなかなか進まないのでしょうか。
一つ目の理由は、耐震工事を行ったところで、建物の寿命が著しく延びるということはないという理由です。事実、産経ニュースの取材に答えたニュー新橋ビルの担当者は「耐震工事をしても建物寿命が極端に延びるわけではない」と語っており、対応に苦慮しているようです。

■参考:産経ニュース「震度6強で都内251棟が倒壊の危険 紀伊国屋ビル、ニュー新橋ビルも 都の耐震診断」
https://www.sankei.com/affairs/news/180330/afr1803300027-n2.html

そして二つ目の理由は、ビルにより様々な制限や事情を抱えているためです。例えば、新宿の紀伊國屋ビルディングに関しては、歴史的建造物と指定されたことから建物外からの耐震工事ができないという制約があるため、建物内部からの耐震工事を行う予定となっており、店舗内は狭くなることが予想されます。また、再開発などを予定していたビルに関しては、地区の再開発事業と連携しつつも話し合いがまとまらなかったり、入居者やテナントからの理解が得られないとの事情を抱えるビルもあるようです。

最後の三つ目は、やはりコストの問題です。工事内容にもよりますが、解体や耐震工事には1坪あたり数万円かかるというのが一般的です。仮に延床面積が2万㎡近くある六本木ロアビルを解体するとなると、1坪5万円という単価の場合、約3億円もかかることとなります。当然、修繕積立などしているビルであれば多少の蓄えはあるかもしれませんが、一度に数億円のコストとなると、建て替えはどうするのか、入居者への補償等はどうするのかといった問題も出てきます。

まとめ

東日本大震災の際には、西新宿にある京王プラザホテルや新宿センタービルが目に見えて揺れている映像が多くの人を驚かせましたが、それでも倒壊に至っていないことはもちろん、安全性の評価ではⅢとなっています。それを踏まえ、倒壊の危険が高い建物16%を全国のたった2割弱かと思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、ビルが立ち並んでいるという事は、そこに人が多く集まっているという事でもあります。

大規模地震は一度で収まることはなく、大きな余震が暫く続くことがほとんど。本震で倒壊しなくても余震で倒壊する可能性は十分にあると言えます。事実、熊本の震災の際には、一度目の本震で倒壊しなかったものが、二度三度と余震が続いたために倒壊してしまったという報告があるのです。日本の地震研究は進んでいるとされてはいますが、まだまだ未知の部分も多いのも事実。安全性Ⅲの評価であっても、絶対に倒壊しない、絶対に被害はないと保証されたものではありません。ビルオーナーやテナントオーナーの一部からは反発の声もあるようですが、全国の人が集まる東京だからこそ、耐震化を推し進める政策は今後も強化されるべきと言えるのではないでしょうか。

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