2020年以降、首都圏でのマンション売買は”中古”が主流になる理由

当サイトでは、これまでにも何度か首都圏マンションの市場動向についてお伝えしてきましたが、今後の首都圏マンションの取引は「中古マンション」が主流になりそうなのをご存知でしょうか。中古マンションと言っても築浅から築古まで数多くありますが、現在のところ概ね築20年前後の物件が多く取引されています。

ただ築年数がどうあれ、首都圏でマンション購入を考えている人の多くが中古マンションを選ぶ傾向にあるのは事実。首都圏におけるマンション需要は、新築マンションよりも中古マンションにシフトいくのは間違いなさそうです。

なぜ上記のように断言できるのか。今回は過去5年の首都圏マンションの取引動向から、2020年以降に買うべき首都圏マンションは中古マンションである理由を解説します。

【理由1】新築マンションより中古マンションの資産価値は安定的である

新築の魅力に敵うものは無いはずですが、なぜ中古マンションが好まれると断言できるのか。実は新築マンションと中古マンションの価格差に秘密があります。

※「レインズデータライブラリー」「不動産経済研究所」のデータを基に筆者作成

上のグラフを見る限り、新築マンションと中古マンションの価格差は一定幅を保ちながら推移してきました。新築マンションに比べて中古マンションは、概ね3~4割安いのが相場です。中古マンションのお得感は、住まいとして購入を考えている世帯層には非常に魅力的と言えるでしょう。

もう一つ見逃せない事実もあります。上のグラフの通り、新築マンションは市場動向に左右されやすいため価格幅にかなりのブレがあります。対する中古マンションの価格は非常に安定的。つまり取引価格がブレないため、資産価値という点でも安心して保有し続けられるのです。

もちろん、新築マンションも中古マンションも市場に大きな変化があれば変動します。必ずしも中古マンションなら資産価値の騰落に心配する必要はないと言えません。ただ少なくとも、不動産価格の暴落という事態が起こったとしても、最初から安く買える中古マンションはダメージが少ないのです。

【理由2】新築マンションは価格が上がっているのに専有面積が狭くなっている

前章のグラフで「新築マンションも中古マンションも、㎡単価が徐々に上がっている」という点に気付かれた方もいらっしゃるでしょう。2012年の安倍政権発足とアベノミクス発動、そしてオリンピック特需が重なったため、首都圏のマンション価格はずっと上がり続けてきたのです。

ではマンションの資産価格が高そうな今こそマンションを買うべきかというと、全くそんなことはありません。むしろ慎重になったほうが良いでしょう。

ここで過去5年の取引における1戸あたりの専有面積と㎡単価の推移を見てみましょう。まずは中古マンションの推移です。

※「レインズデータライブラリー」のデータを参考に筆者作成

㎡単価は徐々に上がってきていますが、専有面積はほとんど変わりありません。中古マンションに対し、新築マンションの専有面積と㎡単価は下のグラフのようになっています。

※「不動産経済研究所」のデータを基に筆者作成

ご覧の通り、㎡単価は上がっていますが専有面積が徐々に狭くなってきているのが分かります。事実、昨今の新築マンションは狭くなっていると言われており、上のグラフはそれを裏付けるデータと言えるでしょう。

専有面積について「大した変化はない。こじ付けではないか。」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。2015年の平均専有面積は70.7㎡ありましたが、2019年は7月時点までの平均専有面積が67.17㎡。3.53㎡の差があります。また過去5年の専有面積の推移で最も広いのが72.69㎡、最も狭いのが63.3㎡。その差は実に9.4㎡にです。

間取りにもよりますが、一般的なファミリータイプの分譲マンションならバルコニー面積が概ね7~10㎡程度。つまり、首都圏マンションの専有面積は過去5年の間に少なくとも畳2帖分、最悪の場合バルコニー1つ分は狭くなったと言えるのです。

「首都圏の新築マンションは価格が高くなっているのに専有面積が狭くなっている」というのが現在の首都圏マンション市場。一般の買い手が購入をためらったとしても不思議ではありません。

【理由3】買い手の意識が新築マンションから中古マンションへシフトしている

2020年以降に買うべき首都圏マンションが中古マンションである3つ目の理由は、一般個人である買い手の意識の変化です。

日本は新築信仰の国と言われてきましたが、そんな常識にも徐々に変化の兆しがあります。その証拠として、首都圏マンションの成約件数を新築と中古で見比べてみると、中古マンションの需要が伸びていることに気付きます。

まず中古マンションですが、毎年の引っ越しシーズンになると取引件数が増えます。更に下のグラフのように、ここ数年の間で徐々にシーズン中の取引件数が増えてきているのです。

※「レインズデータライブラリー」のデータを参考に筆者作成

対する新築マンションは、毎年11月頃から取引件数が一気に増える傾向にあります。ただ以下のグラフのように、最近は取引件数が大きく落ち込んでいるのが事実です。

※「不動産経済研究所」のデータを基に筆者作成

つまり、需要の伸びる時期に顕著になる取引件数は、新築マンションより中古マンションが多くなっているということ。言い換えれば新築マンションより中古マンションの人気が高まっていると言えるでしょう。

「人気が高まると価格も高くなるのでは?」と思われるかもしれませんが、「理由1」でもご紹介したように価格に大きな変動はありません。概ね相場通りに動いているため、これまでどおり安心して物件探しをできるのが中古マンションなのです。

購入する中古マンションは築20年がもっとも合理的

ここまでのデータを見てきた限りでは、今後、首都圏マンションの取引において中古マンションのポテンシャルに改めて注目すべきと言えるでしょう。

ただ築年数がどのくらいの物件を買うべきかが問題です。築浅なら価格は高く、築年数が古いほど価格は安くなるとするのが普通の考え方。ただ実は、築20年以降の中古マンションだと資産価値の騰落に悩まされず安心できます。

その裏付けとして、東日本不動産流通機構が公表しているデータより、2014~2018年に取引された築年数別の㎡単価をグラフ化しました。

※東日本不動産流通機構の年報マーケットウォッチより筆者作成

新築から確実に㎡単価が落ちていく中古マンション価格。ただ築20年を超えたところから、価格の下落がピタリと止まります。むしろその後は㎡単価が少し上がる傾向です。特にここ数年で築31年を超える物件の㎡単価が高くなっているのも分かります。

住宅用のマンションは、税法上の耐用年数では47年が寿命と定められています。ただ47年はあくまで「税金を計算する上での暫定的な年数」。物理的には、鉄骨鉄筋コンクリートの建物なら100年以上は優に使用できるとする専門家や研究者は多くいます。

中古マンションの需要や資産価値を考えると、今後購入を考えるなら築20年を超える中古マンションをメインに検討していくと良いかもしれません。

今後の首都圏マンションに考えられる変化

では今後、首都圏のマンション市場はどう変化していくのでしょうか。まずはここまでにご紹介したデータで分かった事実をまとめてみましょう。

【昨今の首都圏マンション市場の傾向】
  • 資産価値として見た首都圏マンションは新築マンションより中古マンションのほうが安定的
  • 新築マンションは価格が高くなる一方なのに対して専有面積が狭くなっている
  • 首都圏マンション市場の需要は新築マンションから中古マンションへシフトしている
  • 中古マンションを購入するなら築20年超の物件がベスト

もし今後、上記の傾向が続くようであれば以下のような変化が現れる可能性を否めません。

【今後の首都圏マンション市場の動向】
  • 新築マンションの売れ残りが増えて新築マンション価格が下落する
  • 中古マンション需要が伸び、価格が高騰する
  • 中古マンション購入とリノベーションをセットにしたローンの需要が高まる
  • 不動産の買い取り業者が積極的に買い取るようになる
  • 首都圏マンションの買い控えが起こる
  • etc……

新築から中古へ需要がシフトしますので、可能性として考えられる変化はまだまだあるでしょう。少なくとも不動産業界は、新築よりも中古の取り扱いを増やす必要があります。また中古物件を買い取ってリノベーションする買取再販事業が、今後急激に規模を拡大するといった可能性も否めません。

「今すぐ購入!」と慌てる必要はありません。ただ2020年以降に買うべき首都圏マンションは、新築よりも中古マンションであると言っても決して大げさだとは言えないでしょう。

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