スタートアップやベンチャーがビル以外を事務所にすべき理由


IT技術やインターネットの普及により、これまでにない斬新なアイディアや技術で起業する人が増えています。しかし、実際に起業した人たちも潤沢な資金を基に起業しているケースは多くありません。事業の為に必要な資金は支援者と呼ばれるインキュベーターを探したり公的機関から融資を検討したりと意外と地道な努力を行っています。

そんなスタートアップやベンチャーの起業ですが、イニシャルコストが最初の障害と言っても過言ではありません。0円起業という言葉はあっても実際は起業に多額の費用がかかるものなのです。この記事ではスタートアップやベンチャーはビルの賃貸オフィスではなく、ビル以外を事務所にすべき合理的な理由を不動産の観点から解説します。

会社設立から事業開始するまでの費用

そもそも会社を立ち上げて事業を開始するまでで多額の費用がかかります。いわゆるイニシャルコスト(初期費用)です。法人として起業したことのある方はご存知かと思いますが、法人登記自体はさほど大きな金額になりませんが、それ以外の費用が非常に高くつくのです。

では、自分以外に従業員やパートナーが2人いたと想定して、東京の賃貸オフィスで起業する際の費用例を見てみましょう。

法人登記関連​約24万円
会社印​​1万円
資本金(仮)​​100万円
必要機材(PC×3台、その他備品やプリンター等と仮定)​​50万円
オフィス契約費用(賃料10万円×8ヶ月分と仮定)​​80万円
その他販促費(仮)​​30万円
合計​​285万円

いくら株式会社は0円から設立できると言っても、何ら不自由のない企業を果たそうと思うと300万円近くかかります。もちろん法人種別や業種によりコストカットできる部分はありますが、どちらにしても100万円前後は見込んでおいたほうが良いでしょう。

イニシャルコストを大幅削減できるビル以外のオフィス

会社設立費の中で特に大きな割合を占めるのが「オフィス」です。オフィスは最初の費用だけでなく、事業を開始した後のランニングコストでも割合的に大きな金額になります。最低でも賃料の半年分を用意しないと契約できない物件が多く、あくまで賃貸ですから毎月賃料の支払いが必要です。事業が上手くいっていれば良いですが、そうでないならオフィス賃料は事業を圧迫しかねません。

そこで活用を検討したいのが、ビル以外のオフィスです。事業に立地やビルという要素があまり重要でないなら、東京以外でビルではない物件をオフィスとして借りてしまえばオフィス賃料を安くできます。特に昨今は、都心から少し離れた場所で空き家や空室が増加中。「事務所利用したい」と願い出れば、意外と了承してもらえる物件が多いことがわかります。

では、どうやってそんな物件を見つければ良いでしょうか。方法は非常に簡単です。賃貸ポータルサイトの絞り込み検索にて「事務所使用」とフリーワードを入力して検索すると、一般の賃貸物件で事務所やオフィスとして使用可能な物件が意外と見つかるのです。

【出典】LIFULL HOME‘S

後は許容できる賃料条件や事業として必要な設備で更に絞り込むだけです。事務所使用だと家賃に消費税がかかりますが、それでもオフィスとして利用できる物件の幅が広がれば、スタートアップやベンチャーの起業によるイニシャルコストは大幅に削減できるでしょう。

敷金・礼金不要!使いたい時だけ使う「サブスクリプション型オフィス」

一般の賃貸物件以外にもおすすめなオフィス形態として「サブスクリプション型オフィス」があります。月額制を意味するサブスクリプションという言葉は、ここ最近でよく耳にするようになりました。ただ、賃貸不動産自体が元々「月額賃料」を得るビジネスであるため、サブスクリプションオフィスと聞いても「月額制のオフィス利用=ただの賃貸オフィスでは?」と思われるかも知れません。

しかし、サブスクリプションは「月額制」である点がポイント。つまり、毎月一定額を払えば「好きな場所にある」「好きなオフィスを」「好きな時に使える」というのが一般の賃貸オフィスとの違いです。具体的なところでは、コリビングサービス「ADDress」があります。

【出典】ADDress

コリビングとは「コワーキングスペース」と「リビング」を合わせた機能を持つ住宅です。昨今では異業種の人が集まって事業について話し合う場面も多く、そのため都内のコワーキングスペースに人気が集まっています。そんな若者の需要に目を付け、空き家を活用したコリビングサービスを提供しているのがADDressなのです。ADDressは以下の記事でも「サブスクリプション住宅」としてご紹介しています。

市場規模3000兆円!?短期で家を借りるサブスクリプション住宅とは?
「アパートやマンションを購入して賃貸住宅として貸し出す。」こんな当たり前の不動産投資の概念が大きく変わろうとしています。その根拠とも言える新...

つまり、一時利用する住まいとしてだけでなく、自然の中で仕事をする場所としても活用できるのがADDressのコワーキングスペースなのです。利用料金は月会員なら税込5万円、年会員だと税込4万円だけ。敷金も礼金も不要ですから、使いたい時だけ使えるコワーキングスペースが今後シェアを伸ばしていく可能性は十分あるでしょう。

アイディア次第でビル以外がオフィスになる時代

少し前までと違い、日本のワークスタイルは大きく変わりました。終身雇用を信じて長く同じ会社で努めるというのはもはや古い考えかたへと変化し、今や若い人ほど転職や起業を考える時代になりました。ただ、起業したからといって全てが順調に成長する事業になるとは限りません。誰しも最初はPDCAを繰り返し、涙ぐましい努力をしてようやくゴールが近づいてくるものです。

そのため、事業立ち上げ直後はコスト削減が非常に大事です。都心のビルにある賃貸オフィスを無理に選択する必要はありません。現代は一時利用可能なレンタルオフィスや住所のみ借りられるバーチャルオフィス、今回ご紹介したようなコリビングサービスがあります。スタートアップやベンチャー企業は、オフィス賃料を含めて固定費をいかに抑えるかが成功のカギ。ビル以外を事務所にすべき理由は、資金繰りではなく事業に集中するためであると言えるのではないでしょうか。

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