土地と建物の「等価交換」は合理的な土地活用方法なのか | 不動産投資を考えるメディア

土地と建物の「等価交換」は合理的な土地活用方法なのか

シェアする

20181109
土地活用を検討中の方にとって「賃貸アパート・マンションの建設」「貸地」「貸しコンテナ」「広告看板の設置」など、何が一番良い方法か分からない方は多いかと思います。そんな土地活用の一つとして「等価交換」というものがあるのをご存知でしょうか。

等価交換は自ら資金を出さずに建物を建てられる画期的な方法ですが、人によっては取り返しのつかない結果となることもあります。今回は土地活用の1つとして有名建設会社も勧めている等価交換がどのようなものか、果たして土地活用として有効なのかを考えていきます。

土地活用として建設会社が推す「等価交換」とは?

「等価交換」とは、簡単に言うと「土地と建物の交換」です。一般的な等価交換の流れを見てみましょう。

  1. 地主Aは1億円の価値がある1000坪の土地を所有している
  2. 建設会社Bは地主Aの所有する1000坪の土地に2億円のマンション建設を提案
  3. 地主Aは建設費を捻出できないため土地を建設会社Bに売却して資金を得る。残り1億円分の建設費は建設会社Bが負担
  4. 土地とマンションで3億円の資産となるが、地主Aはマンション全戸のうち1/3を購入
  5. 建設会社Bは残った2/3を販売する

このように、建設費を捻出する代わりに地主が建設会社に土地を提供し、建設後のマンションのうち土地と同じ価値のマンションを地主が貰うというのが等価交換です。

等価交換は税法上では「既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例」という正式名称がありますが、非常に長い名前であるため一般的には等価交換と呼ばれています。

等価交換のメリットデメリットを整理

では、等価交換にはどのようなメリットがあるのか見てみましょう。

【等価交換のメリット】
・マンションなどの高額な建物の建設費をローンなどで捻出する必要がない
・建設後に貰い受ける資産が複数の区分所有にできるため遺産分割で揉めにくくなる
・地主が購入するマンションは原価に近い価格になることが多い
・建設や竣工後の管理など全て建設会社に任せられる
・売買ではなく交換であることから税制面のお得が多い
【等価交換のデメリット】
・交換後の土地の持ち分は所有権ではなくなる
・減価償却が特殊な方法になるため所得税が高くなる
・建設プランや建物管理の依頼などは建設会社に主導権がある

相続税対策として建設ラッシュとなったアパート建設にも見られることですが、基本的に建設費は地主が負担しなければなりません。

土地活用ですので当然のことですが、等価交換の場合は建設費は土地を一旦譲る代わりに建設会社が負担してくれますので、手持ち資金が無くても土地活用ができるというのは大きなメリットです。

地主という立場は事実上の「消滅」となる

等価交換の仕組みとメリットデメリットを見てみましたが、非常に合理的な土地活用の方法に思えます。しかし、大事な土地を守り続けてきた地主にとっては絶対に勘違いしてはいけない事実があります。

それは等価交換のデメリットにある「交換後の土地の持ち分は所有権ではなくなる」という部分。

等価交換は土地活用と言っても実質的に土地を売却しているのと同じです。等価交換でマンションの建物部分と土地の持ち分を所有する事にはなりますが、土地単独の所有権ではなく、一般の分譲マンションと同じ「敷地権」となるため地主という立場は消滅するのです。

自分の土地の所有権が消滅するのに果たして土地活用と言えるのでしょうか。

そもそも土地活用という言葉に定義はありませんが、中立な視点から見た定義ということでLIFULL HOME’SとSUUMOの不動産・住宅用語集を調べてみると以下のように記載されています。

【LIFULL HOME’S】

物置場や駐車場代わりに使用している低利用地や、未利用地をより効果的に活用することをいいます。(中略)土地所有だけで一定の税金がかかるため、その税金負担を少なくするのが主な土地活用の理由です。

■引用:LIFULL HOME’S
https://www.homes.co.jp/words/t5/525003058/

【SUUMO】

土地活用とは、土地の所有者が保有資産を増やしたり、保全することを目的として、低利用地や未利用地を現状よりも有効に活用すること。(中略)資産を現金化する上で最短手段として、保有地の「売却」というのも広い意味では土地活用の手法の一つといえる。

■引用:SUUMO
https://suumo.jp/yougo/t/tochikatsuyou/

SUUMOでは広い意味で「売却も土地活用の一つである」としています。「現金を得るのに土地を活用する」という意味では、確かに等価交換も土地活用の一つと言えるでしょう。ただ気になるのは、多くのデベロッパーの自社サイトで「等価交換で建物も土地も得られます」といったニュアンスの表現が多いこと。

一部のデベロッパーサイトでは「交換した土地の所有権は共有になる」と記載されていますが、あたかも「土地を譲渡してもマンション建設後に戻ってくる」と思わせるニュアンスのサイトが多いため、不動産に詳しくない地主にとっては最大の注意ポイントと言えるでしょう。

等価交換は土地活用ではなく「負動産」の処分

さて、上記のように言ってしまうと「等価交換はもはや土地活用ではない」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、物は考えようです。昨今増え続けている「負動産」という問題に関しては、等価交換は重要な役割を果たす可能性があるのです。

負動産というのは「誰も欲しがらない、利用する予定もない、相続すら嫌がられる土地や空き家」のこと。最近はこの負動産が増え続けたことがキッカケで空き家の増加という社会問題に発展しています。

等価交換は「立体買換えの特例」という税制上の措置を利用できます。立体買換えの特例とは、土地を売却した際に得た利益に対する税金を新たに購入した不動産を売却するまで納税を保留にできる仕組みのことです。

また、不動産でよく耳にする「小規模宅地の特例」も適用できる可能性もあり、適用されれば土地部分の相続税を50%に減額できます。

等価交換は、先祖代々受け継いできた土地を絶対に守らなければいけない地主にとって避けるべき土地活用ですが、親族の誰も相続したがらず自分でも所有に困っている土地であれば、税制面の優遇や等価交換後のマンションに住める、場合によっては賃貸経営もできるというメリットがあります。

等価交換を検討されるのであれば、自分の土地を手放す前提で交換後に所有する区分所有をどう活用するのかという視点で考える必要があります。

まとめ

記事中では地主の立場が消滅すると申しましたが、所有権が完全に消滅するわけではなく、等価交換後の区分所有にも土地の持ち分は存在します。だからといって区分所有の建物と土地を分けて売買したりできず、売却する際はマンションごと売却する必要があります。ここが地主にとって悩ましいところです。由緒ある土地を守らなければならない立場で固定資産税分をペイする程度であれば、わざわざ大金を支払ってまで建物を建てる必要はありません。等価交換ではない別の土地活用でも十分に足りるということを認識すべきでしょう。

記事の平均評価

各種お問い合わせやご相談はこちら