サラリーマン大家さんが増える!?副業解禁が不動産業界に及ぼす影響は? | 不動産投資を考えるメディア

サラリーマン大家さんが増える!?副業解禁が不動産業界に及ぼす影響は?

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スマホで副業イメージ

先ごろから、副業に関するニュースや記事を見かけることが多くなったなんて方もいらっしゃるかもしれませんが、実はそれは勘違いではありません。日本の働き方改革に対する姿勢はますます活発になってきている印象がありますが、ここへきて各メディアが随分と副業解禁について取り上げることが多くなっているのです。
この副業解禁の話題と併せて、「副業の定義とは?」「不動産投資は副業?」なんて声も聞かれますが、今回は副業解禁とは何か、不動産業界に影響はあるのかといったところを考えてみましょう。

そもそも不動産投資という副業への考え方

そもそも副業に定義は存在するのかというところですが、副業や兼業というものに定義はありません。ご存知の方も多いとは思いますが、大雑把に申し上げるとするなら「本業以外に収入を得ていれば副業」という認識でも間違いではありません。
すると、「オークションで物を売った時点で副業?」「知り合いの引っ越しを手伝って謝礼を貰ったら副業?」という疑問が湧くかもしれませんので、せめて不動産投資については一定の目安が欲しいところです。
そこで、「人事院規則 営利企業の役員等との兼業」というものを見てみましょう。これは、国家公務員法で定められている公務員の副業禁止の規定に対し、一定の規模以上の不動産経営については副業とみなすという事が決められている規則です。簡単に言ってしまえば「公務員が不動産経営をした時の副業となるライン」ということです。
その内容を見てみると、以下のような基準が定められています。

  • 賃貸する建物数が5棟以上、若しくは10部屋以上である
  • 土地については10件以上の契約があること
  • 劇場や映画館、ゴルフ練習場といった娯楽施設
  • 車庫や立体といった建築物を設けた駐車所
  • 年間の賃料収入が500万円以上である

副業禁止の規則に対して見ると、厳しい方であれば比較的に緩いラインのようにも感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、国に仕える職業の方にとって、以上の条件や規模を超える不動産投資は副業という事になるのです。ちなみに裁判官に関しては、転勤などによる自宅の賃貸以外はほぼ認められません。

さて、上記の条件も決して個人で到達不可能な規模ではありませんので、副業の定義を知りたいというのであれば、これらを一つの目安としても良いかもしれませんが、民間の企業に勤めている場合は、一概に以上のラインを目安とすることは危険です。何故なら、厚生労働省が提示する「モデル就業規則」というものがあり、多くの企業がそれを基に自社の就業規則を策定しているためです。当然その中には「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という遵守事項が明記されています。つまり、上記のようなラインに関わらず、他社業務への従事、若しくは自営などの業務を行った時点で副業と判断される場合があるためです。

ただ、実際のところはどうかというと、多くの会社で副業禁止の規則はあるものの従業員の副業には目を瞑っているところが多いのも事実。これは、同一労働同一賃金、残業削減、パラレルワークへの意識の変化といった働き方改革が社会的な背景としてあるという事以外に、憲法上の「職業選択の自由」により訴訟をしたところで敗訴する可能性が高いなどの理由があります。

副業解禁で賃貸経営や不動産業界に影響は?

不動産投資についても、収入を本業以外で得ている以上は副業に該当しそうだという事がお分かりいただけたかと思いますが、経済産業省の委託を受けて日本経済新聞社が調べた結果によると、「副業や兼業を認めていない」、若しくは「認めていないが状況によって検討する」という会社が調査回答の7割を超えるという結果があります。つまり、世の中の大半の企業が副業を認めていないという現状があるわけですが、昨今話題となることが多い「副業解禁」がそういった企業の意識や規則に変化を与えるものだとするなら、不動産業界にどういった影響を及ぼすのでしょうか。

まず、副業解禁というワードですが、これは世の中に広まった何の根拠もない風潮なのではなく、厚生労働省がいよいよ副業への意識改革へ動き出したという背景があります。
少子化や人口減少による企業の人手不足問題は多くの方が認識されているところかと思いますが、これには国も同じ認識を持っており、厚生労働省では先にご紹介した「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という文言をモデル就業規則から削除して、「労働者は勤務時間外において他の会社等の業務に従事することができる」との規定を新設する検討がされている報道が話題になっているのです。
ただ、頑なに副業を禁止している企業にとって強制力があるわけではなく、不動産投資に関わらず、副業を行う人にとって大きなメリットがあるというものでもありませんし、不動産業界に直接的な影響があるものでもありません。

とはいえ、厚労省による副業解禁が企業の意識や規則に影響を与えるものだとするなら、これまで副業に興味を示さなかった方が不動産投資に乗り出す可能性は十分に考えられます。更に、2018年6月には副業として注目されている民泊の新たな法令(民泊新法)の施行もありますので、多少なりとも不動産業界に影響はあるでしょう。
他にも、現在は東京オリンピックに向けた不動産バブルや空き家物件のリノベーションなどが話題になることもありますので、副業解禁を契機に不動産投資を始めようと思う方が今までよりも増える可能性は少なからずあります。
ただ気になるのは、アパートローンを始めとした不動産融資の締め付けが起こり始めているのではないかという意見もあるということです。日々更新されるニュースの中には、地銀のアパートローン融資の過熱といった見出しが出ることもあり、これは金融庁も懸念している事項です。中には、これらを要因とした不動産バブル崩壊を予想する方もいるほどで、どうやら副業解禁イコール不動産投資の活発化という図式にはならないのではないかという考え方もできます。

職業によっては副業を禁止される可能性がある?

さて、上記までのように、以前までと比べると副業に対する考え方はかなり緩和されてきているということが分かりますが、これは日本の働き方改革において一翼担うものとなるでしょう。
様々なサイトやコラムを見ていると、不動産投資を副業とする場合に何の障壁も無いように謳うものもありますが、実際にはそうとは言い切れません。

そもそも、企業が副業に対して良い印象を持っていなかった理由には「秘密保持義務」「競業禁止義務」「職務専念義務」といったものが主であり、会社の経営に影響を及ぼす役職の方であれば、その会社の情報を知っていることで会社に不利だが自分には有利になる「利益相反取引」を防ぐという目的もあります。
基本的には、証券会社勤務の方が株式を買うとインサイダーを疑われるようなものとは違い、不動産業界に勤めている方が不動産の売買を行ったところで咎められる理由にはなりませんし、賃貸経営を行うことも特に問題ないでしょう。
しかしながら、不動産デベロッパーに勤めている方が争奪戦となりそうな場所にある土地を購入したり、不動産管理会社に勤めている方が自身の不動産を別の会社に管理委託するといったことがあれば、秘密保持の点では会社側から注意を受けることがあるかもしれません。それこそ、不動産経営の規模が大きくなって本業がおろそかになりすぎるようですと、厳重注意を超えて退職を諭されるなんてことになる可能性もゼロではありません。

副業解禁と一言で言っても、職種によって少し気を使う必要があることに変わりないのは覚えておいたほうが良いでしょう。

まとめ

先に述べました人事院規則については国家公務員法の話であり、今回ご紹介させていただいたモデル就業規則も厚生労働省労働基準局が提示している、あくまでも雛形です。よって、個人へ直接影響を及ぼす規則ではありませんが、法人が法律上で認められた人格である以上、公的な機関が提示したルールには極力沿って行く必要があり、法人である会社が決めたルールには従うのが大前提です。
よって、副業解禁が世の中の風潮として今後も勧奨されていくようであれば、副業を全面的に認める会社も増えていくだろうと考えられますが、それによって不動産に対する影響がどのような形で現れるのかは、時間をかけて見極めるべきものになるかもしれません。

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