高まる小規模オフィス需要。住居以外の不動産活用は有効か? | 不動産投資を考えるメディア

高まる小規模オフィス需要。住居以外の不動産活用は有効か?

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オフィスビルイメージ

これまで、一般的な不動産投資方法として、区分所有マンションやアパート建築などのノウハウが様々な媒体で語られてきましたが、テナントやオフィスへの投資については、あまり多くの情報がありません。
とはいえ、オフィス投資となれば、どうしてもビル1棟の所有ということになりそうですので、資金力が物を言う世界だという認識の方も多いのではないでしょうか。
そこで、不動産投資という面において、オフィスやテナントを所有するということが有効であるかどうか、そして個人でも可能なのかといったところを探っていきたいと思います。

オフィスの空き室率は低下傾向

まず、森ビル株式会社が公表する、「東京23区の大規模オフィスビル市場動向調査」から空室率の動向を見てみたいと思います。
この20年の間で最もオフィスの空室率が高かったのが2002年の8.1%です。その後一度下落傾向にありましたが、2012年に再度7.8%まで上昇します。しかしながら、それをピークに徐々に空室率は低下傾向にあり、2016年には3.2%、同社の予測では2017年は2.8%に落ち着くのではないかとしています。
そしてもう一つ、みずほ信託銀行の調べでは、都心5区における空室率は同じく2012年以降から下落傾向にあるとしており、この2つのデータを見る限りでは、オフィスやテナント需要という面ではバランスが取れていそうだと言う事ができるかもしれません。
では、オフィスやテナントの需要だけでなく、実際の日本企業の状況も併せて見てみましょう。

参考:
森ビル株式会社「東京23区の大規模オフィスビル市場動向調査」
http://www.mori.co.jp/company/press/release/2003/04/20030410151140000367.html
株式会社 都市未来総合研究所「大量供給を迎える都心5区のオフィスビル市場の需給バランス」
http://www.tmri.co.jp/report_topics/pdf/1610.pdf

働き方の変化?企業の倒産件数がバブル崩壊以降の半分以下に!

東京商工リサーチのデータによれば、企業の倒産件数は2001年の1万9164件をピークとして、今日に至るまで下落が続き、今年2017年度においては700件前後が毎月倒産件数として報告されていますので、恐らく8500件前後に落ち着くかと思われます。

(日本企業の倒産件数推移)
2012年 1万1719件
2013年 1万536件
2014年 9543件
2015年 8684件
2016年 8381件
2017年 8500件(予測)

参考:東京商工リサーチ「全国企業倒産状況」
http://www.tsr-net.co.jp/news/status/

こういった件数を見ると減少の要因が気になるところですが、東京商工リサーチでは「中小企業金融円滑化法」や「セーフティネット貸付」を主な要因としています。
ただ、昨今の企業の雰囲気を見ている限りでは、倒産リスクに対する耐性が付いたとは考えられますが、中小企業金融円滑化法の効力が無くなった今でも金融機関による同様の融資方法が続けられていることから「倒産件数の減少は上辺のものであり、本来は倒産しているはずの企業も多い」と見ている専門家もいらっしゃいます。
もし、倒産する企業が少なくなったという数字だけの面で見るのであれば、オフィスの需給も安定しているかもしれませんが、今後の事となるとまた話は変わります。

働き方の変化はオフィス需要に繋がる?

オフィス需要は安定しており、倒産件数が少なくなったという話とは別に、近年の企業のオフィスに対する考え方がどうなっているのか探ってみたいと思います。
まず、2017年の流行語大賞にノミネートされた言葉の中に「働き方改革」があったのは多くの方がご存知かと思います。そんな働き方改革の一環として考えられているのが「オフィス改革」です。
実は、総務省もオフィス改革に関する取り組みを始めており、パソコンさえあれば自宅でも仕事ができる「テレワーク」の促進や、一人当たりの執務スペースを削減するなど、ゆとりあるオフィス環境づくりに積極的な姿勢を示しています。
総務省だけに限らず、こういった取り組みは様々な企業で始められており、広いオフィスに業務が集約されていることで生まれる、通勤時間や固定費、社員のモチベーション低下といった生産性の低下に繋がる要因を排除する目的として「サテライトオフィス」が人気を集めています。つまり、郊外に住んでいながら大企業のサテライトオフィスで仕事ができるというメリットがあり、これが郊外のオフィス需要に繋がっているとも言われています。

昔ならば大企業であるほど大きなビルと広いオフィスというイメージだったかもしれませんが、既に効率化や生産性にシフトする企業が増えてきており、オフィスへの考え方は徐々に変化してきていると言えるかもしれません。

オフィスやテナントを所有するメリットデメリット

ここまでをご覧いただていて、テナントやオフィスへの投資について前向きな考え方やアイディアが生まれた方もいらっしゃるかもしれませんが、念のため、一般的なところでのメリットやリスクを把握しておきましょう。

オフィス・テナントへの投資メリット

  • 一般的には利回りが比較的高い
  • 住居用の賃貸とは違い、原状回復は借主負担であることが多い
  • 坪単価が高い
  • 敷金(保証金)が多い
  • 共有部などの設備管理費も借主負担であることが多い

メリットとしては主に以上のようなことが挙げられることが多くあります。確かに、住居とは違うことを考えると納得できるものですが、間接的に事業用不動産に投資する商品の多いJ-REITですら利回りが4~5%前後だと考えると、所有するテナントへの入居が決まればある程度の旨味はあると言えるでしょう。
では逆に、オフィスやテナントを所有することにどのようなリスクがあるのかも見てみましょう。

オフィス・テナントへの投資リスク

  • 住居のような流動性がないため、空室のリスクが高い
  • 退去や賃料が景気に左右されやすい
  • 業態によってニーズが全く違う
  • ローンなどの融資が受けられない可能性が高い
  • いざという時の立ち退き費用が高くつく可能性が高い
  • 一般住居住宅と違い、建物管理が煩雑になる可能性

そもそも、テナントやオフィスを所有するとなると一棟単位となることが多いと考えられます。となれば、よほど資金的余裕がなければ金融機関からの融資は見込めませんし、一度空室になれば次の入居が決まるまでは通常の賃貸住宅とは違って長くかかることがあります。
また、バブル崩壊から今に至るまでに空室率の上下が激しかったことから分かるように、景気や政策、税制改正による需要の低下も十分にあり得る話ですので、ある程度の知識や経験などが必要だとも言えるかもしれません。

また、ここまでの話の中で「ビルを買うなんてとても…」なんて思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、昨今では区分所有オフィスも注目されていますが、そこまで数が多いわけではないため、個人で買うにしても物件探しがまず難しいと言われています。
ただし、この流通量の少なさは、売却もしやすいというメリットの裏返しとも言えるでしょう。物件さえ手に入れられたらいざという時に買主が見つかりやすく、値下げに次ぐ値下げを行ってようやく売却できたなんて事にはなりづらいと言えます。

まとめ

仮想通貨ブームが始まり、既に億万長者となったなんて話も聞くようになりましたが、同時にそれらの利益を不動産に向けようという声も多くなりました。
では、いざ不動産に投資する際に重要となるのが、安定した利益を生むのかといったことです。当然ながら利回りを始めとしたキャッシュフローは必ず意識しないと、せっかくの投資は失敗に終わってしまうでしょう。
供給過多と言われるアパートやマンションへの投資がリスクだからということで、オフィスやテナントへの投資を考えたところで、一般的な居住用物件とは違う部分も多くありますので、ある程度のノウハウが必要となります。
オフィスやテナントに投資するのであれば、現在の経済動向や将来的な需要を鑑みて、抜け目なく検討する力は必要になりそうです。

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