今こそ賃貸管理を見直す!押し寄せる人手不足の波と求められる効率化 | 不動産投資を考えるメディア

今こそ賃貸管理を見直す!押し寄せる人手不足の波と求められる効率化

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廃れゆく街並み

1990年代以降、少子高齢化という言葉が社会的な懸念としてあらゆるメディアで取り上げられてきましたが、その意味は解説するまでもなく人々に認知されるようになりました。
ただ実は、それを補うかのように進化してきたあらゆる産業のIT化をもってしても、人口減少を発端とする人手不足は全く解消されそうにないのをご存知でしょうか。特に、介護や医療業界、建築業界は人手不足が激しいと言われており、不動産業界でも賃貸管理業の人手不足が懸念されています。
そこで今回は、解消されない人手不足が及ぼす賃貸管理への影響を考えてみたいと思います。

日本全体の人手不足の現状

まず、厚生労働省の発表する求人倍率を見てみたいと思います。以下は平成25年度から平成29年度(予測)までの「有効求人倍率」と「新規求人倍率」の全体の推移です。

年度 有効求人倍率/新規求人倍率
25年度 0.78倍/1.23倍
26年度 0.91倍/1.37倍
27年度 1.01倍/1.50倍
28年度 1.15倍/1.69倍
29年度(予測) 1.26倍/1.85倍

このように、有効求人倍率や新規求人倍率はここ数年で一貫して上昇してきています。一般的に、求人倍率が高いという事は、先々の事業展開や将来的な利益率の向上などの目途が立っているため求人を出すという認識から、良い景況感を表すものだとされています。
ただ、実際の景況感はどうでしょうか。
働き方改革や春闘に向けた賃金3%アップの話は出ていても、実際の労働者や一般家庭において景気が良くなったと感じている方は少ないのではないでしょうか。

賃貸管理業の人手不足をデータから読み取る

ではここで、不動産管理関連の求人倍率がどのようになっているか見てみましょう。以下は、厚生労働省の公表している求人倍率より抜粋した過去5年分の予想も含めた推移です。

(居住施設・ビル等の管理の職業)

年度 有効求人倍率/新規求人倍率
25年度 0.41倍/0.74倍
26年度 0.48倍/0.81倍
27年度 0.57倍/0.93倍
28年度 0.68倍/1.07倍
29年度(予測) 0.74倍/1.18倍

参考:厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/114-1.html

一見、有効求人倍率が1を下回っていますので人手不足には見えなさそうですが、新規有効求人倍率は28年度以降から1倍を超えてきています。
更に帝国データバンクが全国約1万社の協力を得て調査した「人手不足に対する企業の動向調査」では、正規、非正規の社員共に不足していると答えた企業が3年連続で増加しています。
また、10業種の正社員のうち「メンテナンス・警備・検査」の業界では64%、「リース・賃貸」の業界では63%と、従業員が足りないと答えた企業が半数を超える高い結果となっていることから見ても、明らかに賃貸管理業界での人手不足が深刻化している様子が伺えます。

参考:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査」
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p171105.html

管理費の高騰とスラム化という愁事

では、賃貸管理会社の人手不足により、どのような事が起こり得るでしょうか。

管理費の高騰

まず、最も可能性の高いこととして、「管理費の高騰」が考えられます。人手不足を解消するために新規採用を行うのであれば給与を上げなければならず、今の水準よりも高い給与を求めて流出する人材を少なくするためにも給与を一定間隔で上げなければいけません。
実際、有名外食チェーンは人件費高騰と人手不足を理由に数十店舗を閉鎖しており、大手宅配業者も人件費高騰で業績見通しを下方修正しています。
賃貸の管理会社も受託している物件が多ければ人手不足による倒産を免れるかもしれませんが、元々家賃の数%という手数料商売で成り立つこの業界も、人件費を上げざるを得なくなるのは容易に想像でき、それによりオーナーの負担する管理費自体も高騰していく可能性は十分に考えられます。

管理人不在による無法地帯

人手不足による管理費高騰が起こったとしたら、管理委託できないマンションやアパートが出てくる可能性も考えられます。
自主管理という方法もありますが、複数の物件を所有していれば家賃管理くらいはオーナー自身でできたとしても、建物の修繕や清掃、保全、クレーム処理といった様々な業務を全て一人でこなすことは非常に難しいことと言えます。
仮に、清掃や修繕のペースを落として家賃管理に没頭したとすると、見る見るうちに建物の外観は損なわれ、退去者の増加、入居者の減少といった最悪の連鎖を起こしかねません。逆に、清掃や修繕といった業務へウエイトを移したとするなら、家賃管理等の事務が疎かになりキャッシュフローに悪影響が出る可能性もあります。
どちらに偏ったとしても、管理の杜撰なスラム物件に様変わりしてしまうリスクは否めません。

今こそ自主管理と委託管理のバランスを考える

少々、ネガティブなお話にはなりましたが、将来的にあり得るリスクとしては頭の片隅に入れておいた方が良いかもしれません。
ただ、リスクが明確なのであれば、早いうちに手立てを模索し、徐々に実行に移すことが最善の策だと言えます。
そこで、以下にご紹介させていただくように、今後の賃貸管理に自主管理の要素を組み込んでみると良いかもしれません。

「BMとPMで区別する」

突然見知らぬ英語が出てきましたが、「BM」とは清掃や設備点検、防災関連、植栽など、ハード面と呼ばれる物に関する管理を指します。対する「PM」は、入居募集、契約事務、家賃管理、滞納やトラブル対応といった、ソフト面と呼ばれる管理を指します。
このBMとPMのうち自身ではどちらが得意かということを考え、得意な方を自主管理として、苦手な方を外部委託するという方法で管理費を抑えることができます。

「必要な知識を身に付ける」

BMとPMのどちらを自主管理で行うか決まったら、後は必要な知識を得る必要があります。
例えばBMには、消防や防火関連、電気設備、水道の点検などがありますが、有資格者でないと行えない作業や点検がありあす。
またPMの場合、簿記や会計の知識が求められますし、契約関連の事務に関しては宅建を持っていなくても行えるとはいえ、あらゆるリスクを考えるとしっかりとした知識を身に付ける必要があります。当然、苦情対応などの際は問題解決能力や交渉力も求められますので、投資家同士での情報交換なども必要になるかもしれません。

「カスタムメイド管理で委託する」

あまり知られていないことですが、昨今では、賃貸オーナーが管理費を節約しやすいように「委託内容をカスタマイズできる管理会社」が少しずつ現れてきています。つまり、法定点検を基本コースとして一定の料金を支払いつつ、オプションで清掃や入居者対応、契約事務といった内容を個別に選択できる会社が増えてきたのです。これにより、自主管理と委託管理の内訳を自由にカスタマイズでき、管理費の節約に繋げることができます。
また、PMもBMも完全に自分で行おうという場合は、少なくともPMについては「賃貸管理システム」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
賃貸管理システムとは、簡単に申し上げると「会計ソフトの不動産版」と考えていただくと分かりやすいかもしれません。物件情報や入居者情報の管理、家賃収支、修繕や点検のスケジュール管理等々、管理におけるあらゆる事務を自動化することが可能です。

まとめ

目まぐるしく変化するAIやIoT技術による私たちの生活は、今まさにパラダイムシフトの渦中にあると言われています。
パラダイムシフト。つまり、これまでの常識が大きく変化することを指しますが、人の行っていた作業や仕事をロボットやコンピューターが代替するようになってきており、それはIT化の進む不動産業界も例外ではありません。
「きつい」「汚い」「危険」という3Kに見られがちな管理業務も、自分で行える範囲を決めて、それ以外を外部委託するという業務のスリム化が真に求められる時代は、そう遠いことではないのかもしれません。

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