『めちゃイケ』終了もどこ吹く風!テレビ業界が不動産に入れ込むワケ | 不動産投資を考えるメディア

『めちゃイケ』終了もどこ吹く風!テレビ業界が不動産に入れ込むワケ

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『めちゃイケ』終了もどこ吹く風!テレビ業界が不動産に入れ込むワケ

先日フジテレビのバラエティ番組として人気のあった「めちゃ×2イケてるッ!」が、1996年からの22年間という歴史に幕を下ろしたことをご存知の方も多いでしょう。
そして同じく、1988年から30年続いた「とんねるずのみなさんのおかげでした(前身番組:とんねるずのみなさんのおかげです)」も最終回を迎え、フジテレビの看板番組2つが同時期に終了したことに心配の声も見受けられます。
ここ数年の視聴率低迷に喘ぐ中で、看板2番組が終了となればフジテレビもいよいよ経営難が予測されそうですが、実は「めちゃいけ終了もどこ吹く風」と言わんばかりに、不動産事業で大きな利益を出しているのです。
時に「一体、なに屋?」などと揶揄されることもあるテレビ業界の不動産に入れ込むワケとは一体何なのでしょうか。

進むテレビ離れと減収のスパイラル

テレビ業界は視聴率の低迷から「テレビ離れ」が以前から取り沙汰されることが多いのは周知の事実ですが、実際に視聴率がどのように推移しているのか気になるところです。
しかし、在京5局(東京にある主要局)の視聴率データを公式にまとめたものはないため、まずはヤフーニュースの記事を参考に、2004年から2017年における在京5局の視聴率の推移を見ましょう。

日本テレビ
2004~2008年 12~14%
2009~2012年 12~13%
2013~2017年 12~13%
TBS
2004~2008年 12~13%
2009~2012年 10~12%
2013~2017年 9%台
フジテレビ
2004~2008年 13~14%
2009~2012年 9~13%
2013~2017年 7~10%
テレビ朝日
2004~2008年 11~12%
2009~2012年 11%台
2013~2017年 10~11%
テレビ東京
2004~2008年 8%台
2009~2012年 6~7%
2013~2017年 6~7%

参考:ヤフーニュース「主要テレビ局の複数年に渡る視聴率推移をさぐる」
https://news.yahoo.co.jp/byddne/fuwaraizo/20171104-00077753/

徐々に視聴率が低迷してきていることは見て明らかですが、テレビ業界の主な収入源は企業広告。つまり、テレビコマーシャルがあってこそ各局が利益を出せるというのは言うまでもありません。
よって、当然ながら視聴率の悪い番組やテレビ局に対して、企業は広告費を提供してまでテレビコマーシャルを製作しようとはしませんので各局が揃って減収となるのは必至。
とはいえ、世間のテレビ離れは進む一方。
こういった視聴率低迷と広告収入の減収という負のスパイラルが続く現状で、副業として「不動産事業」を始めたとしても、企業が生き残るためという視点で見れば選択肢として間違っているとは言い難いところ。
そこで、各局が減収を補填するために放送事業以外で得ている収益として、不動産事業の割合がどのような状況なのか見てみましょう。

各局の決算書から見る不動産事業の割合

在京キー局の不動産事業の実態を探るため、2017年に発表された在京5局の決算書から独自に売上高と営業利益の別をまとめてみました。
これらの情報からテレビ局によって不動産事業に積極的であるかどうかを見ることができます。

「日本テレビホールディングス株式会社」
売上高 4264億円
(内訳)メディア・コンテンツ事業 3745億円/生活・健康関連事業 約376億円/不動産賃貸事業 約97億円/その他 約46億円
セグメント利益 532億円
(内訳)メディア・コンテンツ事業 約483億円/生活・健康関連事業 14億円/不動産賃貸事業 35億円/その他 1億円
「株式会社東京放送ホールディングス」
外部売上 約3554億円
(内訳)放送 約2192億円/映像・文化 約1210億円/不動産 約152億円
営業利益 約199億円
(内訳)放送 約60億円/映像・文化 約62億円/不動産 約77億円
「株式会社フジ・メディアホールディングス」
売上高(調整額含む) 7180億円
(内訳)放送事業 約3127億円/制作事業 約493億円/映像・音楽事業 約481億円/生活情報事業 約1307億円/広告事業 約455億円/都市開発事業 約1025億円/その他事業 約292億円
営業利益(調整額含む) 約223億円
(内訳)放送事業 約68億円/制作事業 約18億円/映像・音楽事業 約11億円/生活情報事業 約10億円/広告事業 約4億円/都市開発事業 約110億円/その他事業 約2億円
「株式会社テレビ朝日ホールディングス」
売上高(調整額含む) 約2959億円
(内訳)テレビ放送事業 約2525億円/音楽出版事業 約100億円/その他事業 約455億円
営業利益(調整額含む) 約173億円
(内訳)テレビ放送事業 約149億円/音楽出版事業 約6億円/その他事業 約18億円
「株式会社テレビ東京ホールディングス」
売上高(調整額含む) 約1427億円
(内訳)地上波放送事業 約1124億円/放送周辺事業 約349億円/BS放送事業 約158億円/インターネット・モバイル事業 約56億円
営業利益(調整額含む) 約64億円
(内訳)地上波放送事業 約63億円/放送周辺事業 約22億円/BS放送事業 約13億円/インターネット・モバイル事業 約4億円

このように、不動産事業として明確に提示しているのは「日テレ」「TBS」「フジテレビ」の3局です。
特にフジテレビの営業利益を占める割合が、放送事業が約30%、不動産事業(都市開発事業)が約50%となっており、不動産事業が放送事業を大きく上回っています。
TBSに関しても営業利益の30%が放送事業なのに対して、不動産事業が営業利益の約40%と、やはり放送事業の利益を上回っています。
日本テレビも不動産事業を行っているものの営業利益の6%ほどしか占めておらず、約90%は放送事業としての利益が占めています。しかし、2020年に竣工予定となっている地上11階建ての「麹町新スタジオ(仮称)」を建設中であり、これが不動産事業の利益を大きく伸ばすのではないかと言われています。

テレビ業界の不動産事業は時代の変化に対する防衛策?

ここまでのデータなどを見ていただくとお分かりいただけるように、メディアというジャンルを牽引するテレビ局を支えているとも言える不動産事業。
本業の放送事業ではなく全く別ジャンルの不動産事業であることに難色を示すコメントや、それを揶揄する記事などを見かける機会が多くなったのも事実です。
では、テレビ業界に見られる不動産事業へ参入は、何か特別なものなのでしょうか。

そもそも不動産事業は、軌道に乗る事さえできれば手堅く利益を生み出すものとして、企業だけでなく国や自治体、そして個人までもが資本を投じる選択肢として必ず候補に挙げられます。
例えば、鉄道会社も続々と不動産事業に乗り出してきており、JRグループや西武鉄道、京王電鉄といった鉄道会社の代表的な企業は以前から不動産事業を営んでいますが、その理由として語られがちなのが「団塊世代の引退」です。
これまで日本人口の3割近くのボリュームがあった団塊の世代が一斉に定年を迎え、併せて少子化が進む中で冷え込んでいく売り上げへの防衛策として別事業に参入する必要があったのです。

このような時代の変化を捉えた場合、テレビ業界にも同じことが言えるでしょう。
先ほどご紹介させていただいた視聴率の推移は2004年から始まっていますが、その頃のテレビ業界はライブドアによるニッポン放送の買収(フジテレビ買収と同義)や、楽天によるTBS買収の騒ぎがありました。
この頃、楽天の三木谷社長は「今後はネット動画に広告が流れていく」と語っており、既にその頃からテレビ離れを予測していたのではないかと思われます。
その後、TwitterやFacebookといった今までにないSNSが流行し、テレビよりもインターネットという時代が訪れ、更にはiPhoneを始めとしたスマートフォンの普及、LINEのサービス開始、動画配信サイトの規模が拡大するなど、可処分時間はテレビよりもインターネットへと流れ込んでいきました。
テレビ業界がこの時代の流れに逆らうことができなかったというべきか、インターネットサービスの爆発的普及を予見できなかったというべきか分かりませんが、このような世間の変化の中で不動産事業に乗り出すのは企業の生き残りをかけた防衛策であり、然るべき選択なのかもしれません。

まとめ

今回は、テレビ業界が不動産事業に入れ込むワケを、各局の視聴率や決算書から探ってみましたが、前述のとおり、企業が本業以外にも力を入れ始めたのはテレビ業界だけではありません。
最近では、1946年に創業したベースボール・マガジン社が「ベーマガ米」と名付けたお米の販売を始めたことも話題として取り上げられていましたし、過去、富士フイルムが化粧品業界へ参入して大きな話題になったこともありました。
東京オリンピックが開催される2020年頃は、奇しくも日本のバブルが崩壊してから30年となります。
各業界が生き残りをかけて副業を始める姿を見るに、まだまだバブル崩壊の余韻が残っていると見る向きがあっても不思議ではないかもしれません。

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