ロンドンで起きた「タワーマンション火災」は日本でも起こる可能性があるのか? | 不動産投資を考えるメディア

ロンドンで起きた「タワーマンション火災」は日本でも起こる可能性があるのか?

シェアする

ロンドンで起きたタワーマンション火災は日本でも起こる可能性があるのか?

2017年6月14日未明、24階建て高さ68mのタワーマンションで大火災が発生し、多く住民が被害に遭ったことが報道されています。被災した物件は、1974年に建築されてから43年もの月日が経っている築古物件でした。

ロンドンタワーマンション火災で被害が拡大した理由

被災前には外壁の大規模修繕が行われていたそうですが、専門家はこの大規模修繕によって大きな被害が広まったのではないかと予測しています。断熱効果を高めるための新しい外装材に燃えやすい素材が使われていたために、ここまで火災が広がったのではないかということです。

また、被災したタワーマンションの構造上の問題も指摘されています。非常階段は一つしか設置されておらず、避難住民が殺到して対処できなくなったということ。もう一つは、非常階段代わりになるバルコニーが全く設置されていなかったということです。

さらに、防火設備も不備があったことが地元の住民団体によって明らかにされています。タワーマンションの各所に設置されている消火器の使用期限が過ぎており、使い物にならなかったのです。

被災したタワーマンションの管理は、行政から委託された民間団体が運営をしていましたが、住民団体の報告を見ると非常に防災管理がずさんだったということが浮かび上がってきます。

日本のタワーマンションで同じ問題は起きないのか?

日本でも首都圏を中心にタワーマンションが数多く建築されていますが、もし日本で同じような火災が起きた場合、同様の事態にはならないのでしょうか?

専門家の見解では、日本のタワーマンションの場合、建築基準法や消防法などで厳しい対策が施されているため、ロンドンのタワーマンションと同じように大規模な火災には繋がらないとされています。

例えば、日本のマンションは高さによって防火設備の徹底が法律で定められています。約40mのはしご車が届かない11階建ての建物は高層ビルとされて、特殊な防火施設を設置することが義務付けられます。

構造上では、建築基準法で非常用エレベーターの乗降ロビーを防火区画にしたり、避難階段に排煙設備を有する部屋(附室)を設けて特別避難階段にして煙と火が階段に充満しない仕組みにする、また消防法で連結送水管の設置を義務づけるなどです。

ちなみに連結送水管とは、消防ポンプ車を地上の送水管につなぎ、各階の放水口に繋いだホースで消化する高層マンションの消火システムのことです。このようにして、はしご車が届かない建物の火災に対応するため、内部から消防活動を行う拠点を設けているのです。

建物の設備・構造だけでなく運用にも問題が…

このように法律で厳しくルールを制定しているのにも関わらず、過去に日本で起きたタワーマンションの火災を分析してみると、運用に致命的な問題があったケースも散見されます。

例えば、あるタワーマンションでは、出火した住宅の住民がドアストッパーをかけたまま避難したため、廊下全体に火が燃え広がったという事例もあります。

また、高層階のため防火扉が風圧で閉められず半開きの状態になり、消防隊が内部の消火活動の拠点とするための特別避難階段の附室に熱と煙が充満し、消防隊が入ることができなかったという事例もあります。

あるタワーマンションでは全部屋と廊下に一斉に火災の発生を知らせるシステムが導入されていましたが、非常システムに防火対策が施されていなかったため、火災によってシステムがダウンし、住民の避難の誘導ができなかった事例もあります。

今回のロンドンのタワーマンションでも住民が火災が起きたことを知らなかったという事実がニュースで報道されていますが、日本でも過去に同じことが発生していたのです。

報道では、スプリンクラーの設置基準についても日本では一部屋ごとに十分に配備されていると紹介されました。
しかし、消防法の施行規則に「火災が発生しても防火区画等により、一定の面積に封じ込められるのであれば、スプリンクラー設置が免除される」という規定があります。つまり、一部屋ごとに防火区画を設定すれば、スプリンクラーを必ずしも設置する義務がなくなってしまうのです。

確かに出入口が外気に解放された廊下や階段にそれぞれ直面をしていれば、避難したり、消防活動をするための安全性は非常に高くなります。しかし、初期の消火に失敗すれば、たとえ防火区画がしっかりしていても火が回ってしまい、避難や消火活動が難しくなってしまうケースもあるのです。

スプリンクラーを設置すると、建設コストが高くなるだけではなく定期点検などの維持コストもかかるという問題があるため、実際にスプリンクラーを設置していないタワーマンションが多いのも事実です。

延焼を防ぐ仕組みである防火区画も工法次第で隙間だらけのものになる場合も多く、その点でも日頃の点検が非常に重要になってくると言えます。

まとめ

いくら法律で厳しいルールを設定しても人為的なミス・運用面で問題が起きれば、致命的な事態に発展してしまうケースも多いものです。特に過去のタワーマンション火災では、建物や設備が優れていても、初動対応がお粗末だったために大惨事に至った事例もありました。
防災システムは、年々ハイテク化し複雑な防災システムを配備したタワーマンションが増えているのが現状です。しかし、そのようなハイテク防災システムも専門家が運用しているかというと疑問が多いことも事実です。同様の事態を起こさないためタワーマンションごとに防災体制を見直し、オペレーション面も含めた大幅な点検が必要になってくるでしょう。

各種お問い合わせやご相談はこちら