実は危険?!築古の中古戸建投資におけるトラブル事例 | 不動産投資を考えるメディア

実は危険?!築古の中古戸建投資におけるトラブル事例

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最近は不動産投資の中でも、築30〜40年ほどの築古の中古一戸建て投資に人気があると言われています。都内の主要な私鉄沿線の最寄り駅徒歩15分ぐらいの築古の中古戸建物件ですが、状態や土地の広さにより数百万円から購入できる物件もあります。

何より購入価格が破格なため、金融機関の融資を受けずに自己資金だけで投資ができるというのが大変魅力的です。一方で、レバレッジをかけて自己資金の何倍もの投資をする対象としては難しい物件となります。

もちろん、自分の年収ぐらい稼ぎたいということであれば、もう少し規模の大きな不動産投資をする必要があります。しかしながら、中古の一戸建てを資産として少しずつ増やしていくことで、融資を得るための信用力は確実に上がっていきます。中古の戸建物件をベースに、資産を何十倍になったメガ大家さんも少なくありません。

営業マンが勧める掘り出し物は失敗物件?!

営業マンが勧める掘り出し物は失敗物件?!

太田さん(仮名)は、不動産所得でアーリーリタイアメントを夢見る不動産投資の初心者。しかし、太田さんの職業は派遣社員。そもそも大きな融資を組みながら不動産投資をすること自体が不可能でした。そこで格安の収益物件を探していたのです。当初、中古の区分マンションの購入を検討していましたが、自分がいいと思う収益物件はどうしても予算が足りずになかなか購入ができませんでした。コツコツと不動産投資の本を読みながら勉強しつつ、休日になれば安い区分マンションを探して不動産屋を回る毎日でした。

数ヶ月後、ある不動産会社の営業マンから声を掛けられたのが、ある私鉄沿線の駅から徒歩10分圏内にある中古の戸建物件でした。その営業マン曰く、自分のお得意様のお客様から泣きつかれてどうしても売って欲しいと言われた物件だそうです。

その物件の価格は600万円。築40年の戸建てでした。所有者である旦那さんが病死して、子どもの家に同居することになり長年住みなれた自宅を手放すことになったのです。マイホームなので築40年とはいえ内部はキレイにリフォームされ、外壁もきちんと塗装されて修繕の問題もなさそうでした。誰も購入する人がいなかったため紹介された物件でしたが、土地の価値だけでもおトクな物件でした。最悪、更地にして土地を売ればいいと考え物件を購入することに決めました。太田さんは中古区分マンションは諦めて、中古戸建投資をスタートしたのです。

ところが、重要事項説明の時に「私道持分」の話が出てきました。この物件の前面道路は私道で持分がありませんでした。私道持分がないと、道路の掘削や車両の通行に私道所有者の許可が必要になります。しかし営業担当の話を聞くと、私道のトラブルで大きな問題になった事例はなかったとのこと。営業マンの話を信用して、太田さんはその場で即決することにしました。

購入後、すぐに入居者も決まりスタート初月から家賃収入を得ることができました。アーリーリタイアメントにはほど遠いですが、少しでも家賃収入が得られたことで太田さんは満足をしていたのです。ところが、1年後に私道の所有者だった方が亡くなり、その息子が私道の所有者になった頃からトラブルが表面化しました。1年間入居してくれた人が退去し、新たに入居者が引っ越しでトラックを物件の真ん前まで乗り入れた際、私道の所有者が烈火のごとく怒り狂い、車両通行の通行料まで請求されたというのです。管理会社を通じて入居者にクレームがありました。

さらに問題はそれだけに留まりませんでした。太田さんが購入した物件は、築年数が古く、もともと浄化槽で下水を処理していました。ところが、この浄化槽の維持費が意外と高かったため、下水道に変えることにしました。そこで私道の所有者に掘削の許可を取りに行ったところ、何と承諾料を請求されてしまったのです。承諾料だけで数百万円とのことで、下水道にすることを諦めざるを得なくなりました。

最近ではわざと通りにくいように私道に植木を置いているなどの入居者からのクレーム問題が頻発。さらに私道の問題が長期化し、ついに退去に至ってしまったのです。私道の所有者との近隣トラブルに頭を悩ませた太田さんは物件を売却することも考えたのですが、売ろうと思っても私道持分がない物件はそもそも売りにくいというのが実情です。最近では、入居が決まってもすぐに退去になってしまうのでほとんど家賃収入を得られていないとのことです。

私道持分がないと近隣トラブルになりやすい

私道持分がないと近隣トラブルになりやすい

一つの広い土地を細かく分割する分譲住宅地の中には、物件の前面道路が私道というケースが少なくありません。私道とは、私有地につくられた道路のことをいいます。国や公共団体が所有者の公道と異なり、道路の所有者は一般人になります。物件には建築基準法上、幅4m以上の道路に2m以上接していなければならないという接道義務というものがあります。

ところが、一つの大きな土地を細かく分けた分譲地は道路に面していない土地も多いもの。そこで、真ん中に通した私道を接道義務を果たす道路として認めるケースがあります。私道は私有地でありながら、分譲地の住人の通行の自由にも供さなければならないという公共の目的もあります。このような曖昧な状態の所有形態が様々なトラブルを引き起こす原因なのです。

私道の所有形態は2つに分かれます。一つは、地主や特定の人物が私道を全て1人で所有している場合です。この場合で気をつけなければいけないのは、書面による私道の使用許可がないと、相続で別の人に私道の権利が移った時や私道の権利を転売された時に使用を断られる可能性があるということです。道路が使えないとなると、賃貸物件としては致命的な問題です。

もう一つは、道路を宅地所有者が共有で所有している場合です。今回問題になった私道持分です。私道持分とはその私道に権利を持っていることを表しており、「本地○○(私道持分○○㎡含)」「本地○○㎡別途、私道持分○○㎡あり」などと販売図面や重要事項説明書に記載されています。

通常、私道持分を持っていると、物件の目の前の道路にはその持分がありません。その道路を使っている関係のない家の前に持分があったりします。なぜかというと、自分物件の目の前の道路に持分を持っていると、所有権を主張してトラブルになるからです。それを避けるために、全く違うところに持分があるのです。

持分がないと太田さんの事例のように、トラブルが起きがちです。まず、よくあるのが車両の乗り入れ禁止です。道路の真ん中に車が置いてあって邪魔だなと思っても私道持分がなければ、その権利を主張することはできません。時には通行を邪魔されることもあります。

もう一つは、地方の物件の場合、上下水道やガスなどのインフラの引き込み工事ができないということです。インフラが整備されてない物件では、新たに建築ができなくなるケースもあります。そのため私道持分のない物件は、市場価格よりも安く取引されている場合があるのです。築古の中古戸建物件で格安な物件があったからといって、何も考えずに飛びついてはいけないのです。

私道を使用するための許可を取る方法

私道を使用するための許可を取る方法

では、もし太田さんのように前面道路が私道で私道持分がない物件を購入してしまった場合はどうすればいいのでしょうか?

一般的には、私道によるトラブルを避けるために公道までに至る私道の所有者に「私道承諾書」を得るということになっています。「私道承諾書」は、上下水道やガスなどの必要な施設の埋設工事に関わる道路掘削の許可、車両や人を含む通行の許可、第三者に物件を売買した場合でも私道の通行や掘削の許可があることを認めてもらうこと。この3つを了承してもらう承諾書になります。

私道の所有者の中には、通行や掘削の許可に際して金銭を要求して来る人もいますが、私道承諾書は無償でもらうのが重要です。私道承諾書が得られない物件の場合、いくらキャッシュフローが魅力的でも購入を見合わせた方がいいでしょう。なぜなら、後になって大問題へと発展してしまう可能性が高いからです。

ただし、私道持分があっても一部の私道所有者による権利の濫用、いわゆる問題のある近隣住人によってトラブルになるケースもたくさんあるのです。私道のトラブルは現地調査を根気よく続けていると意外と判明しやすいです。

例えば、道路の舗装状態が悪く通りにくい、嫌がらせのような車止めがある、植木や倉庫などが私道にはみ出している、道路に面している家に車庫がないといったケースは私道によるトラブルが予想されます。中古一戸建て物件の現地調査では、必ず近隣住民に聞き込みを忘れずにしておき、問題がある場合は購入をしないという判断も賢明だと思います。

まとめ

築古の中古戸建物件は、低価格なため融資を受けずに投資をできることから人気があります。しかし、一方で近隣の周辺環境が資産価値を大きく変えることもあるのです。今回紹介した私道の問題や、土地の境界線を超えている隣家の木の枝などの越境物の問題もあります。

事前にトラブルになりそうな場合は、問題を解決するなどしてから賃貸を始めるというのが良いでしょう。トラブルが起きそうな状態で賃貸をスタートすると、せっかく入居が決まっても長続きしない場合も少なくありません。こうしたトラブルを避けるためにも、現地確認を怠らないようにしましょう。

一方、分譲住宅地ができた年が古い場合は、昔の建築基準法によって建築されている物件が多いため、物件の前面道路が法律に満たない場合も存在します。また、見た目は大きな家なのに中に入ってみると意外と狭い住宅もあります。そのような物件は、容積率や建ぺい率が昔のままで厳しい状態であることが多いのです。大きな家を建築することができないため、そのエリア一帯に人気がないということも少なくありません。

さらに最近では少子高齢化・人口減社会も加わって、空き家も増えてきました。このような場所に物件を購入すると、せっかく購入したのに周辺がまさにゴーストタウンのような状態になってしまうこともあり、入居者がなかなか見つからないというケースも多々あります。

築古中古物件の中には瑕疵担保責任を免責にしている物件もあります。築40年以上の木造建築は適切な予防策が講じられていないことが多いので、物件自体が実はシロアリに食べられていたり、床が腐っていたりして人に貸せるような状況ではないことも多いのです。
物件に重大な問題がある場合、本来は売主が責任を持って修繕をしなければならないのですが、それを免責にすることによって物件の価格を大きく下げている「訳アリ物件」も存在するのです。

築古中古物件の場合、単独で収益物件を見るのではなく、現地調査では周辺環境を特に注意して見ることが重要です。また、重要事項説明書に書かれていることも非常に重大な問題であることも多いので、見逃さないようにすることが大切です。

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