税理士に聞いた「絶対に買ってはいけない物件」Part1 | 不動産投資を考えるメディア

税理士に聞いた「絶対に買ってはいけない物件」Part1

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初めて不動産投資をする人は、「物件を選ぶ時は何を基準にして選べばいいのか」という事について迷う人も多いかもしれません。特に不動産投資大ブームが到来し、魅力的な収益物件が少ないと言われている現在、買い方一つであなたの不動産投資が成功にも失敗にも変化してしまうのです。

そこで、不動産投資の節税からコンサルティングまで年間に何百人ものコンサルティング経験がある不動産投資専門税理士、志賀公斗先生(http://zeirishi-shiga.com)に物件の買い方から買ってはいけない物件、節税の方法などを伺いました。

空前の不動産投資ブームの裏にある落とし穴

空前の不動産投資ブームの裏にある落とし穴

編集部:「絶対に買ってはいけない物件」の内容を聞く前に、2017年3月28日現在の不動産投資の状況から教えていただけますか?

志賀:現在、不動産投資は空前のブームを迎えています。この背景には金融機関の融資が下りやすい状態が続いているということがあると思います。先日もこんな話がありました。個人の節税対策のために木造のボロ物件を探していたある投資家がいたのです。その方が持って来られた物件の概要書を見ると昭和11年(1936年)築と書いてある(笑)。平成11年の見間違いではないかと思ったのですが、「昭和」で築80年の戦前物件です。そこで融資をつけてくれる金融機関を教えて欲しいと依頼を受けて、ある信用金庫さんを紹介しました。無理を聞いてくれる信用金庫さんなのですが、本当に融資が普通に下りてしまいました。金利も2%台で返済期間も30年です。法定耐用年数を過ぎている物件、特に木造建築などには融資はしないという金融機関の暗黙のルールみたいなのが、空前の金融緩和によって変化してきましたね。

編集部:しかし、融資は下りやすくなっている一方で、物件価格は上がっていますよね。

志賀:収益物件は非常に高くなっています。家賃はほぼ一定です。それに対して収益物件の供給不足で価格が上がりつづけ、表面利回りは下がり続けています。10年ぐらい前は、首都圏でも中古で表面利回りが12?13%の収益物件も探せば出てきていました。しかし、現在は首都圏で表面利回り10%になるような物件はほとんど出て来ていません。恐らく表面利回りで、平均すると23区で5~6%、千葉・神奈川などで7~8%の物件が主流になっていると思います。表面利回りが高い物件を探すのはなかなか難しいので調達する金利を低くして、その間の利益を取るというのがメインの投資手法になります。不動産会社の多くは、3?4%ぐらいの金利高い銀行で借りることが多いのですが、これでは賃貸経営は確実に破綻します。

不動産投資で本当に失敗している人は少ない

不動産投資で本当に失敗している人は少ない

編集部:実際に高い金利で収益物件を購入されて、「不動産投資に失敗」されている方はいらっしゃるのですか?

志賀:収益物件の物件価格は上がり続けているので、これ以上不動産投資を続けられないと思ったら、物件を売って止めるという方法があります。実際に賃貸経営が回らなくなっている人は、売却して止めている投資家もいます。ですので、不動産投資に失敗した上に、莫大な借金だけが残るみたいな絵に描いたような失敗している人はほとんどいないと思います。

編集部:そうなんですね。売却して止めてしまえば、ほとんどリスクはありませんね。

志賀:そうですね。実際には回らなくなっている不動産投資家でも「投資を止める」まではいっていないと思います。不動産投資家の中でうまく稼げる人となかなか稼げない人が出てくるのは、これからでしょう。「思ったよりも収益が上がらない」「こんなはずではなかった……」と感じる人はこれからどんどん増えてくるのではないかと思っています。今は購入したらそれで満足してしまうという投資家の方が多いんです。

編集部:典型的な賃貸経営が回らなくなるようなケースを事例を挙げて教えてください。

志賀:先日、中古の表面利回りが6%のRC造の物件を購入した投資家がいました。融資を依頼したのは仲介した不動産会社が勧めたS銀行、4.5%の利回りです。満室想定の家賃が毎月360万円。毎月の返済が280万円になります。その物件は、半年間の家賃保証がついているので、家賃保証が終わるまでは毎月360万円の家賃は確保できます。しかし、問題はその後です。実際に現状での入居状態は入居者は満室時の5割しか入居していません。この状態で家賃保証が切れたらローンを返済することは不可能になってしまうでしょう。

編集部:なるほど。しかし、その物件は空室率7割!?ですよね。なぜそんなにも空室率が高いのでしょうか?

志賀:不動産会社が収益物件を高く売却するときに、行う常套手段なのですが、満室想定をした表面利回りを高く見せるために、空室の家賃設定をわざと高くするのです。単純に空室の家賃を高くすることもありますし、実際には他の部屋は敷金と礼金をきちんと取っているのに、敷金ゼロ、礼金ゼロにして、その分だけ家賃だけ高くするという小ワザを使う不動産会社もいます。

編集部:売却前に、満室に見せようと不動産会社の知り合いで埋めるという不動産会社も聞いたことがあります。

志賀:そうですね。相場を無視した家賃設定の状態のままだと、なかなか入居が決まらないということがありますね。このようなことがないように、空室になっている部屋の家賃が適正なのかどうかということを物件調査時に調べるべきですね。家賃相場はインターネットで調べられますし、レントロール(家賃明細書)で空室になる前の家賃を見れば、不動産会社が設定している家賃が現実からいかに乖離しているかということを知ることができます。

買ってはいけない物件より「悪い買い方」に注意

買ってはいけない物件より「悪い買い方」に注意

編集部:そのような不動産投資の現状を踏まえて、不動産投資専門税理士から見て、確実にこれは買ってはいけないという収益物件はありますか?

志賀:実は、確実に買ってはいけない物件というのは、基本的にないんです(笑)。ちょっとおかしな物件でもその分、リスクを許容できて、安く買えてリターンが増えるというのであれば、投資対象にするのもいいと思います。今の時代の不動産投資で注意していただきたいのは「物件」ではなくて、「買い方」だと思います。

編集部:「買い方」ですか……?

志賀:たとえば、悪い買い方の代表例ですが、3つあります。

  1. まず、表面利回りと調達金利の差が少ない買い方です。金利の高い金融機関でローンを組んで投資をスタートしてしまうケースですね。どんなに駅前の素晴らしい物件であっても金利差が少なければ、回らなくなります。
  2. 相場よりも高値づかみしてしまう買い方。これも収益を圧迫します。
  3. 最後は税金に関わってくるものですが、年収の高い人が個人で物件を購入してしまう場合。節税の方法が限られるので不動産投資で増やした資産をうまく残せない可能性があります。前述の方もそうでしたけれども、実際に不動産投資をスタートさせた方でも「買い方」に難ありの方が増えています。

編集部:エリアで買い方を注意しなければいけないケースを教えていただけますか?

志賀:築古物件で利回りの高いものを買いたいという人がいると思いますが、賃貸経営が回るかというと難しいところもあります。日本全体の人口は減少しており、特に10年後、20年後の地方の人口減が激しくなります。日本の人口は遅かれ早かれ、人口が減っていくのですが、それでも人口が比較的長い期間、維持される地域というのは、首都圏か地方でも主要都市だけです。このような状況で、地方の収益物件の満室想定利回りだけを当てにして、物件へ投資をするのは、リスクが非常に高いと思います。しかも、そのリスクの高い物件を金利が高い金融機関でローンを組んでいれば、目も当てられません。

編集部:地方でいうと、札幌市などのも人気がありましたが、最近はどうですか?

志賀:今から10年ぐらい前、2007年ぐらいの札幌はとても不人気なエリアだったんです。毎年冬になるととても寒いですし、大雪が降るので雪かきも大変です。住んでいる人も少ないので、アパートやマンション投資は向いてない、割に合わないなんて言われてきました。ところが、札幌エリアの評判が悪くなったおかげで、投資する人が少なくなって物件価格がすごく下がったのです。そうすると、相対的に利回りが高くなってきました。投資対象として魅力的な物件になったのです。投資家の間では、札幌は安いからいいのではないかと人気が上がってきました。今では札幌に新築アパートやマンションが、たくさん建築されて、札幌はすごく盛り上がり値段も上がっています。

編集部:市場の状況次第で投資判断が変わりますね。

志賀:ですので、「買い方」が重要なのです。

編集部:最近「不動産投資で節税しましょう」とワンルームマンション投資の宣伝を見かけることがあります。節税のために物件を購入するということはオススメしますか?

志賀:“買ってはいけない物件”を強いてあげるとすれば、マンションの区分所有投資です。これは大反対でオススメしませんね。なぜ反対なのかというと、賃貸経営として、きちんと回っていないケースが多いからです。前述した買い方でも、高値づかみをするような物件の買い方はオススメしていません。しかし、新築のワンルームマンションには、開発業者の利益や広告費用などのプレミアが付加されているので、最初から高値づかみしやすい物件なのです。次に、ワンルームマンションを数戸所有していても、家賃収入がほとんど入らず、あまり儲からないという現実があります。

編集部:なるほど。そうなんですね。

志賀:もう一つは、不動産投資の節税目的でワンルームマンションに投資をするケースです。ワンルームマンションの家賃収入を赤字にして、給与所得と損益通算して、税金を還付してもらう方法です。このやり方では確かに節税にはなるのですが、本来収入を増やすためにやっている投資なのに赤字を出すこと自体が本末転倒です。不動産所得が赤字になるのは、物件を購入した費用などの割合が増える初年度です。翌年度も続けて赤字にするためには、経費を計上するということです。しかし、節税メリットを高めるために、無茶な経費計上をしている人もいます。たとえば年間100万円しか収入がないのに、300万円や400万円も飲食代や交際費用をつけようとする人もいます。しかしながら、あまりにも実態とかけ離れたことをすれば税務調査の対象になることになります。そこで常識の範囲で経費を計上するということであれば、結局ワンルームマンションを購入しても、あまり節税効果が得られないということに気がつくでしょう。節税効果を本当に望むのであれば、木造の築古物件を購入してきちんと赤字を作る方が効果的なんです。

まとめ

収益物件が不足しており、完全に売り手市場に変化している不動産投資市場。こんな時には、どんな物件を選べば成功するかではなく、投資対象となる物件をどのように買うかが重要になります。

ポイントは3つありました。

  1. 利回りと調達金利(貸出金利)の差が大きい状態にする
  2. 物件を高値づかみしない。市場価値よりも安い物件を選ぶ
  3. 年収が高い場合はなるべく法人で購入する

この3つが大切だということがわかりました。Part2では引き続き、志賀先生に不動産投資で成功する方法の紹介や意外と経費としていない勘定科目などの節税情報も紹介いたします。

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