東京の空室率10%を切る区で賃貸経営を行うべきか? | 不動産投資を考えるメディア

東京の空室率10%を切る区で賃貸経営を行うべきか?

シェアする

賃貸経営を検討する上で、どの場所で一番収益を上げられるのかを判断するのは難しい問題です。入居需給の予測、土地勘、経験則などから最終的にエリアを絞り込む不動産投資家も多いでしょう。エリアを絞り込む手段として、住居の需給関係から収益が上がる箇所を絞り込んでいく方法があります。現在の住宅の需給関係を見ると、空室率が比較的低いエリアでは入居需要に対して住居の供給が少ないということになります。つまり、空室率の低いエリアに利回りの高い収益物件を持つことができれば、大きな収益を上げられる可能性が高いということです。そこで今回は東京都で空室率が10%を切っている区に着目し、今後の需要や物件価格・利回りなどの観点から賃貸経営を行うべきかをみていきます。

東京都は20年間人口が増え続けている

東京は20年間人口が増え続けている

少子高齢化・人口減少社会と言われて久しいですが、実は東京都では人口増加が続いているのです。なぜ人口が増えているのでしょうか。

東京都では出生数が増え続けているわけではなく、社会的移動といって他県エリアや他区エリアからの転入が増えているのです。こうした他のエリアからの都心への人口流入には、昨今の都心回帰も大きな影響を与えています。

2016年1月末に総務省が発表した「住民基本台帳人口移動報告」によれば、1996年から2016年までの20年もの間、東京都では人口が増加し続けているということが分かっています。もちろん、そうした社会的移動によって出産する人の数も増えて出生数も増加しているということも事実ですが、死亡数を上回るほどに増えているエリアは東京都内でも少数です。

地域別の社会増減(転入・転出による増減)を見ると、世田谷区の5893人の増加がダントツで、続いて杉並区5082人、大田区の4058人の増加となっています。自然増減(出生・死亡による増減)を見ると、1000人以上増加している区は、江東区、世田谷区、中央区、港区となっています。

臨海部・豊洲地区の開発で人口が増加する「江東区」

臨海部・豊洲地区の開発で人口が増加する「江東区」

例えば、江東区は空室率が10%を切っている非常に入居需要が高い区です。なぜそこまで入居需要が高いのかというと、江東区は1998年から人口が増加し続け、2017年には50万6511人になり、実に19年間で13万4556人も増えているというのが大きな理由です。江東区では今後も人口が増えることが予想されており、2029年には人口が約59万人に達するということが見込まれています。

江東区の人口がここまで順調に増加し続けた理由として上げられるのは、江東区の臨海部の埋め立て事業が大きく影響している可能性が高いです。豊洲や潮見を擁する臨海部では開発が進み、高層マンションの建設ラッシュが続きました。当時、江東区のマンション価格は隣接する港区や中央区とは比べて3割程度安かったため、人口を順調に増やすことができたのです。

不動産経済研究所の『全国マンション市場動向』によると、江東区で供給されているマンションの間取りは3LDKのファミリータイプの物件が多く、ファミリー層がこのエリアに転入してきたことがわかります。

工業地帯であった豊洲エリアも開発が進み、商業施設が集まるようになりました。特に石川島播磨重工業の東京工場跡地にできたのが、「アーバンドックららぽーと豊洲」「パークシティ豊洲」などの大型商業施設です。工場跡地に大規模な商業施設ができたことによって、さらにファミリー層が転入し、人口増加が加速していきました。

増加したのは豊洲エリアだけではなく、同じく工場用跡地が再開発された高層マンションが建設された亀戸や有明、南砂町エリアも同様です。2016年の人口移動調査では、やや人口転入が減った江東区ですが、未だにマンションの建築は盛んで今後も人口が増加していくことが予測されています。

不動産投資の狙い目は「江東区南砂町」

人気があるエリアは一般的に利回りの高いオイシイ物件がないという問題があります。広めのファミリータイプの物件に人気があるといっても物件自体がなかなか見当たらないとか、利回りが低いという問題があります。少しエリアを外して江東区南砂町エリアであれば、マンションだけでなく築古アパートの物件も見つかります。

南砂町エリアは、「SUNAMO(スナモ)」を始め、「トピレックプラザ」「アリオ北砂」と大型のショッピングセンターが3つもあります。また競合スーパーもたくさんあるので、物価も相対的に安くなっており、そういった観点でも暮らしやすいと言えるでしょう。

さらに東京メトロの事業計画では、南砂町駅ホームの南側にホームを増設、線路も1線増設し2面3線化して、列車の交互発着が可能になる見込みです。これによって朝のホーム上の混雑緩和を図るとしています。この東京メトロのホーム増設工事は2021年に完成予定ですが、駅内の利便性が高まることで、今後、南砂町エリアに注目が集まる可能性は大いにあるでしょう。

スカイツリー開業で魅力が増している「墨田区」

スカイツリー開業で魅力が増している「墨田区」

一方、江東区の北に位置する墨田区も空室率が10%を切っており、供給されている住居に対して入居需要が高いエリアです。墨田区は2000年以降、人口増加に転じており、外国人を含んだ総人口は1995年には22万2208人でしたが、2017年4月の住民基本台帳によると26万3456人に増加しています。今後さらに人口が増加することが見込まれています。

人口増加の背景ですが、墨田区も社会的移動(人口の転入)が主な理由となっています。例えば、2000年に開通した都営大江戸線の影響や2003年の東京メトロ半蔵門線、東武日光・伊勢崎線、東急田園都市線の3社直通運転の影響が大きいと考えられています。また、曳舟駅周辺の再開発や2012年の東京スカイツリー開業によって住宅地としての魅力も増していることが、人口が次第に増加している理由と言えるでしょう。

国立社会保障・人口問題研究所の推計では、墨田区は今後も転入超過の状態が続き、人口は増加傾向にあると言われています。人口推計では、2030年までは人口増加を続けると予測されています。

次に他の区から墨田区に流入している割合を見てみましょう。2010年の国勢調査によると江東区、江戸川区、葛飾区などの隣接の区からの転出と転入が多いことがわかります。地価も高く、延べ床面積も狭いのに墨田区から江東区への大幅な転出が増えていることがわかっています。

江東区に住居を持ちたいという人が多いことから少しプレミアが付いているようですが、今以上に家賃が高騰するなど状況が変化すれば、墨田区へ人口が移動する可能性も十分にあります。

墨田区の投資物件ですが、2017年現在、収益物件の価格は引き続き上昇しています。大きな収益が見込めるような掘り出し物の物件は、すぐには見つからないかもしれません。しかし、根気よく探せばきっと魅力的な物件に出会うことができるでしょう。

一方で墨田区は下町という土地柄、古い街並みが未だに残っている場所も少なくありません。当然のことながら、築年数が40年以上のアパートなどの物件が多く残っています。このような利回りの高い、築古の収益物件を狙っていくのもいいですが、前面道路が狭すぎて再建築不可物件になっている可能性もあります。当然のことながら、修繕も少なからず必要になってしまうので、それらもしっかり想定した上で購入を検討しましょう。

若者が集まる町「中野区」

若者が集まる町「中野区」

東京の西エリアで空室率が10%を切っているのが「中野区」になります。新宿までのアクセスが非常に良いことに加え、入居需要に合わせた賃貸物件も多く、20代から30代前半の若者を惹きつける魅力的な街となっています。

中野区は、2011年から他の区からの転入が転出よりも多くなり、2012年には30万人を突破、2016年には31万6647人に達しました。毎年2500人ほど転入数が増加しており、今後も他区からの転入が増えると予想されています。中野区は区の面積が23区の中でも狭いため、人口密度が非常に高いことでも知られています。その土台を支えているのが、個人投資家の木造アパートやRCマンションです。

若い世代が多いのが特徴で、労働力の中核をなす生産年齢人口が7割を占めています。しかしながら、区のほとんどの住民は他の区へ働きに出てしまうので、中野区はベッドタウン化しているのが実情です。若い世代が中心ということもあり、収入が上がれば他の区に転出していくというのが中野区の特徴になります。

中野区の投資物件を見てみると、収益物件のバリエーションは豊富ですが、2017年現在、全体的に物件の価格が高くなっており、大きな利益が生み出せる投資物件を探すのは少々苦労が伴いそうです。

人口は単身世帯を中心に今後も増えると予測されており、満室経営を狙った賃貸経営は可能です。一方で、古き良き商店街を残すエリアとなるため、築年数が古い木造アパートも少なくありません。そのような物件は、価格が安くても家賃も安く利回りが低いために収益を出すのが難しい問題があります。どのようなスタンスで投資をするのかをよく考えてから購入を検討しましょう。

今後の中野区の目玉としては、現在再開発が進んでいる「中野駅周辺エリア」です。
具体的には、警察大学校等跡地を開発し、オフィスビルや大学、病院、住宅、公園など多様な都市機能が集積する「中野四季の都市地区」、にぎわいや交流の拠点として整備する「区役所・サンプラザ地区」、中野駅の南側の活性化を導く中野二丁目の市街地再開発、中野三丁目の駅直近地区のまちづくりなど、各地区の特色を活かしたまちづくりが進められています。

同時に二ヶ所ある駅前広場の改修とともに、新たな駅前広場整備や西側改札となる橋上駅舎・南北通路の設置といった中野駅周辺の整備も進んでいます。これらの再開発計画により、駅前周辺は商業施設や高層マンションの建設などが行われるため、今後、中野区に転入する人口もさらに増えていくと考えられています。

まとめ

東京都内で空室率が10%を切っている「江東区」「墨田区」「中野区」を紹介してきました。
江東区は、従来から都心に近く、交通の便がいいことが注目されており、そこに豊洲などの臨海部の再開発、工場跡地に高層マンションが建設されたため、一気に人気が爆発したのです。まだまだ住居が足りず、今後も空室率は低いままで推移しそうです。
墨田区は、もともと古い下町のためマンションも少なく住みにくい街というイメージがありましたが、半蔵門線の延長による交通手段の利便性や東京スカイツリー周辺の再開発によって人口の転入が大きく増えました。
中野区は、新宿周辺で働く人のベッドタウンとして若い世代を中心に人口が増加しています。駅周辺の再開発によってこれからさらに注目を集める可能性があります。

今後も人口増加が見込まれる=入居需要の高いこれらのエリアでは、物件価格も同時に高くなっているため、投資家もなかなか手が出しづらいのが現状です。物件価格が落ち着いて来た時が、こうした空室率の低いエリアでの物件の本当の買い時なのかも知れません。

各種お問い合わせやご相談はこちら