不動産投資会社の設立方法、法人化のメリット・デメリットは? | 不動産投資を考えるメディア

不動産投資会社の設立方法、法人化のメリット・デメリットは?

シェアする

不動産投資会社とは?

不動産投資を勉強していくと、度々「法人化」や「会社設立」という言葉に出会います。多くの場合は「不動産投資会社の設立」を指しますが、不動産投資会社を設立すると何が変わるのでしょうか。この記ことでは不動産投資会社の設立方法と、法人化のメリットやデメリット、法人化のタイミングをご紹介します。

不動産投資会社とは?

不動産投資法人とは、その名の通り「不動産に投資を行って利益を上げる組織」のことです。ネットを検索すると大手法人の名前が上位に表示され、大掛かりな物をイメージしますが、実際には個人でも不動産投資法人を立ち上げることができます。

個人で立ち上げる不動産投資法人の場合、多くは自分で経営しているアパートやマンションなどの賃貸物件の保守や管理がメインの業務となります。早い話が「法人化した大家さん」です。大家さんと言うと、自分でアパートの庭先を掃き清め、家賃を督促し、物件を修繕したり・・・といったイメージがあるかもしれませんが、実際には賃貸管理会社に丸投げすることが多いです。自分で行うことがあまりないのが特徴なので、サラリーマン等の副業に向いていると言えます。

よく公務員などは副業ができないのでこういった法人を設立できないとも言われますが、公務員でも配偶者等の親族を代表取締役として本人は出資者となることで回避できます。各自治体や所属団体の規定もありますが、そもそも原則的には問題にならないケースも多くあります。もしも公務員のアパート経営を禁じてしまうと、公務員の親がアパート経営をしていた場合に相続できず、賃借人が路頭に迷うことになりかねないからです。

サラリーマンや公務員であっても、不動産投資法人を立ち上げるための門戸は開かれているとご理解ください。不動産投資法人は、賃貸物件を所有していれば誰も立ち上げることができるものであるという認識を持ってください。

不動産投資会社の設立方法

不動産投資会社の設立は、「自分の不動産を個人としてではなく、会社で所有する(法人化)」ということです。では、その不動産投資会社を設立したい場合にはどうすればよいのでしょうか。

不動産投資会社を設立する際、もちろん資本金は必要になりますが、それ以外に必ずかかる費用は、定款認証用収入印紙代(電子認証の際は不要)、定款認証時の公証人の手数料、定款の謄本の登記手数料(1ページに付きいくらという価格)、登録免許税、会社印の作成費用です。最低でも、これだけで25万円程度は必要になってきますので、資本金以外にも必ず用意しておきましょう。

不動産投資会社を設立する際の流れとしては、大まかに次のような流れとなっています。
まず、自分が作る不動産投資会社の本社所在地などの会社設立をする際の項目を決めます。社名はもちろんのこと、会社の住所や資本金、発起人や取締役など、会社の要となるものを指します。その後、会社に関する印(主に銀行印・社印・実印)を作成し、定款の作成に認証、登記書類(書類は全部で約10枚ほど)と、それらを申請しなければなりません。これが終われば最後は不動産投資会社の設立となります。

早ければ、大体ここまでの流れで1~2週間前後でできますので、時間的な負担はそれほどにないと言ってよいでしょう。いまいちやり方がわからないとか自信がないといった場合は、司法書士などの専門家に依頼するのも1つの手です。

不動産投資会社設立のメリット

不動産投資会社設立のメリット

不動産投資法人を立ち上げるメリットは数多くあります。

まずは認められる経費の多さです。不動産投資では多くの経費が認められますが、法人化すればさらに認められる範囲が増えます。事業的規模の賃貸経営であれば、セミナー参加費や現地視察会などの費用や交通費も経費となります。家族を役員にすれば役員報酬を支払うことも可能です。常時役員とせずとも、アルバイトやパートという形態で家族や親族を雇い入れても構いません。こういった給与なども経費となり、お金自体は家庭の中で回るので外に出ていくお金は少なくて済みます。

次に税金面での優遇が挙げられます。個人で不動産収入を得ている場合よりも、法人の方が優遇されるケースがあり、税金が安くなることがあります。多くの人の法人化の決め手となる要素がこれです。不動産収入が増えて税金の額が大きくなってきたら、税理士などの専門家に相談し、法人化の時期や可否をシミュレーションしてもらうと良いでしょう。うかつに法人化すると後述するデメリットの面が関わって結果的に損をすることになるので、不動産投資で稼げる額を考えた上で慎重に行いましょう。

人件費の活用と税制面の優遇に加え、相続のときにも威力を発揮します。相続人が多くいる場合、不動産の相続には持ち分の問題が発生しますが、法人の所有不動産であれば株式化して簡単に分割できます。そのため、不動産投資法人は株式会社化しているものが多いのです。土地を分割して価値が下がることもありませんし、なにより相続トラブルを回避することが簡単にできるのは大きな利点と言えます。

法人として不動産投資会社を設立するメリットがいくつかありますが、最も大きいものが節税だと言えるでしょう。
例えば、あなたの給与収入が700万円だとすると、家族構成などにもよりますが課税所得は400万円ほどになります。この場合のあなたの不動産所得は、その400万円に上乗せされる形となります。

不動産から得られる利益に対して税金が加算されるため、不動産利益が300万円ほどの場合、税金は90万円となります。しかし、法人つまり不動産投資会社を設立してしまえば、この際の課税率は低くなります。法人の場合は個人の給料など関係がないですし、税率も法人の方が個人よりも低いため、不動産利益が高ければ高いほど不動産投資会社設立のメリットが得られるのです。

最大のメリットは所得税が大幅に減らせること

法人で不動産投資をする場合の最大のメリットとしては税率を調整できることです。
こと業主の場合、「収入-経費=所得」という形で所得の金額を計算し、この所得の金額に応じた税率がかけられる形で所得税が計算されます。個人こと業主に適用される所得税法と法人に適用される法人税法でこの所得にかかる税率に違いがあることがポイントになります。

例えば、1800万円超の所得がある場合、所得税法で計算を行うと、この1800万円に40%の税率がかかってくることになります。これに対して、法人税法であれば基本税率は23.9%で済むということになります。

さらに、その年の所得が800万円以下という中小法人の条件に当てはまると、さらに軽減税率の特例というものも適用されることになります。こういった税率の差によって所得の金額が大きくなると法人の方が納税額を抑えることが可能になってきます。

加えて、法人で大きな利益が出る見込みがある場合、家族を社員という形で迎え入れ、家族に給料を払う形にして利益を還元してしまう方法もあります。これにより、法人に集中していた所得が家族に分散すると、それだけで所得税額が大きく減少する場合があります。これも法人化の大きなメリットになります。

また、個人の場合、家にかかる経費ともいえる「減価償却費」を複雑で面倒な計算を用いて出さなければいけません。その数字というのも、かなり正確なものが求められることになりますが、不動産投資会社を設立することによって、この計算はしなくてよいとされており、数字もある程度大まかであっても問題ないので、手間や時間を減らせるというメリットもあります。

税金免除期間延長と譲渡税のメリット

不動産投資を法人でやることにより得られるメリットとして次に紹介したいのが赤字の繰越になります。法人の場合、その期に赤字が発生すると9年にわたって、その赤字を利益から差し引いて申告することが出来ます。

つまり、物件を購入したといった理由で大きな赤字が出た場合、しばらくの間は利益と相殺していくことが出来るため、税金を払わないでよい期間が出てくるということです。個人こと業主であればこの赤字の繰越の期間は3年までしか認められていないので、この期間を9年に出来るというのが、まず法人化することによる大きなメリットになります。

法人の場合、物件を取得して5年以内で譲渡すると、譲渡時にかかる税金が個人こと業主の場合よりも安くなるというメリットもあります。ただ、5年超保有した後に売却することになると、個人こと業主には税金の優遇制度があるので法人よりも税率が低くなります。したがって、5年以内の短期で物件の売買を繰り返すようなこと業を行っているのであれば、法人化することには大きなメリットがあると言えます。

不動産投資会社設立のデメリット

不動産投資法人を設立する上で、最初のハードルが設立時のコストです。基本的には司法書士に行ってもらうことが多いのですが、その報酬が大体5~7万円です。さらに登録免許税や定款認証についても負担となり、概ね20万円ほどを見積ったほうがいいでしょう。

ランニングコストの問題もあります。税務に関する具体的な知識を持った人は少ないでしょうから、顧問税理士を雇うことになります。税理士報酬が月1万円だとしても年12万円です。決算の際には別報酬の契約となるケースも多く、これに約10万円かかると言われています。つまり税理士報酬だけで年20万円近くかかるのです。

これに加えて、法人としての住民税がかかります。法人都道府県民税や法人市民税という名目で、年に1回支払わなければいけません。個人であれば、赤字の場合には所得税から還付が受けられたのですが、法人である以上、収入に応じて減額されることはありますが、たとえ赤字でも支払い督促が来るのです。

設立時コストとランニングコストの二大欠点のため、法人化に二の足を踏む人が多いのが実情です。いくら家賃収入があってもランニングコストで赤字になっては意味がないので、設立前には前述したように専門家を交えての入念なシミュレーションが必要となります。

不動産投資会社の設立をするメリットもあれば、もちろんデメリットもあることを覚えておきましょう。不動産投資会社を設立することで節税になるということを挙げましたが、法人の場合、青色申告を行うことができないというデメリットがあります。

法人化すると青色申告ができなくなる?!

そのため、不動産の金額によっては、節税対策にならないケースもあります。個人で不動産投資を行う際には、青色申告が可能で、最大65万円まで控除されることがありますが、不動産投資会社を設立してしまうと、この控除を受けることができません。

また、不動産投資会社を設立してしまうと、これは会社であって個人のものではありませんから、たとえ不動産が赤字になってしまっていても、法人住民税の均等割課税というものを負担しなければいけないという義務があるので、こちらも念頭に入れておきましょう。

せっかく不動産投資会社を設立して節税対策を立てたのにもかかわらず、結局は赤字になってしまったなんてこともあるかもしれません。利益が見込めない場合は、個人で不動産投資を行った方が良いということもいえます。

さらに、法人化した場合に、諸費用というものが色々とかかってきます。まずは、もちろん会社を設立するのですから、そのための費用も必要になっていますし、不動産投資会社を設立してからも費用は掛かります。

例えば、社会保険に加入しなければならなくなりますし、税理士へその費用を払ったり、維持費なども必要になってくるので、ある程度のまとまったお金が常に必要になります。

法人化するタイミングは?

法人化するタイミングは?

では、どのようなタイミングで法人化するのが良いのでしょうか。この法人化するタイミングについては個々の状況によって変わってきますので、「確実にこのタイミング」とは言えません。

いくら家賃収入があがっていても、その物件にかける経費が多ければ実際の所得金額が少ないというケースもあります。また、不動産投資を専業で行っている専業大家の場合と会社に勤めているサラリーマン大家である場合もまた状況が変わってきます。特にサラリーマンとしてもらっている給与の金額が年収1,000万円を超えるような高給取りであるなら、早めに法人化を考えた方が節税効果が高くなるという場合もあります。

ただ、現在は所得の金額が900万円を超えたあたりから法人化を考えても良いのではないかということが言われています。ただし、現在所得税法や法人税法には毎年のように改正がかけられており、特に法人税率については変動が大きくなっている傾向があります。

そういった傾向も踏まえて法人化を検討し始めたら、その段階で一度税金のスペシャリストである税理士に相談してみるとよいでしょう。税理士との相談を通して、法人化するに当たって最も良いタイミングを探っていくというのが一番良い選択肢になるでしょう。

いずれにしても現在日本という国自体が法人税を引き下げようという方向で動いているという現実があります。したがって、今後不動産投資をこと業として本格的に手掛けていきたいと考えている人であれば、早めの段階で法人化するという選択肢を検討してみるのもよいでしょう。

まとめ

不動産投資会社の設立方法から法人化のメリット・デメリット、法人化のタイミングまでご紹介してきました。法人化すれば多くのメリットがあるのですが、それなりのリスクもあります。個人でも不動産投資は続けて行けるので、無理に法人化する必要は無いとも言えます。税関連の制度も毎年のように変化するため、法人化をするかしないかについては、その年ごとに慎重な検討が必要なのです。

不動産投資会社を設立すると節税効果がある反面、様々な負担も増えます。法人化を検討する場合は、自分がどれくらいの利益を得ているのか、法人化するとどのくらい損があるのか、税理士など専門家にも相談して念入りにシミュレーションしてみる必要がありそうです。

各種お問い合わせやご相談はこちら